普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

雇用問題と企業の責任

2009-01-10 15:53:15 | 企業経営

 今回の製造企業からの大量解雇は大きな社会問題になっており、野党側は国会で政府・与党の責任を追求しています。
 これに対して大企業側は当初、生産削減を決めただけで解雇したのは請負会社や派遣会社だと言い、経団連は景気回復が先決だと他人事のように言い、解雇者のケアは政府の責任と言わんばかりの態度でした。
 そして事態の深刻化に伴いてやっとワーク・シェアリングも考えねばならないと言い始めています。

 日本より経済状況が悪いと言うEUでも操短や一時的な休業まであるそうですが、今回の日本のような素早い大量解雇はないそうです。
 その理由は労働者派遣法の制定と株主からの経営者責任追求への対応に神経質になっている為だそうですが、それにしても労働者派遣法の何とも企業にとって便利な法律なんでしょう。

[労働者派遣法の企業側のメリット・デメリット]
 Wikipediaの労働者派遣事業 
の記述によると、
メリット
・派遣社員への給与を、固定費としてではなく変動費として計上することが可能。
・企業が派遣元へ支払う金銭は消費税法上「課税仕入れ」となる。その結果国などに納める消費税等を安く済ませることができる。
・労働力を必要な時必要な分だけ、確保する事が容易。
デメリット
・派遣元企業のマージンが大きい場合には、派遣労働契約が長期化すると長い目で見て高コストになる。

と書いてありますがれのすが、デメリツトの記述も実際は派遣元企業間の競争や派遣先企業との力関係で余程の例外を除いて、派遣元企業がマージンが大きく取り過ぎると仕事を失うことを意味します。
 詰まり労働者派遣法は企業にとって良い事ばかりです。

[私の考える企業側のデメリット]
 然し考えて見ますと、企業にも上記以外にデメリットがあります。
・放漫経営に繋がり安い
 それは労働者派遣法が余りにも便利が良過ぎて、経営が放漫になりリスク管理がおろそかになる事です。
 つまり企業の競争力強化のために、生産を拡大を続け、需要が落ちれば非正規社員を切れば済むと言う安易な考え浮かび安いと思います。
 これがもし労働組合がしっかりしている正規従業員の増員とすれば、生産の拡大にさいして、もつと慎重になったはずだと思います。(*注記)
 今回の大量解雇の原因となった米国発の金融・経済危機も消費に頼り過ぎ、怪しげな住宅バブルに支えられた米国経済など、素人の私でも判ることに対して米国への輸出に頼る製造業が生産縮小など何ら手を打たなかったのも、いつでも非正規社員の首を切れる便利な労働者派遣法に一因があったかも知れません。

・ロボット扱いにする貴重な人材
 それと何時も書く事ですが、資源として人材しかない日本、技術しか頼るしか無い日本で、幾ら非正規社員と言っても単なるロボット扱いにして、その潜在能力を発揮させないなど勿体ないと思うのですが。

[企業の社会責任]
 日本政府は大企業の成長を優先し、その波及効果で日本全体の経済発展を基本政策としてきたそうです。
 労働者派遣法もその流れで企業側の申し入れに従って作ったものだと思います。
 それで日本の企業も何とか競争力を保ち、それなりの発展もしてきました。
 企業はそれで日本に貢献したと収まっていて良いのでしょうか。
 一般の人達から見れば、非正規社員の犠牲の元で企業が発展してきたのです。
 そして企業の競争力確保のために労働者派遣法を政府に作って貰い、今になって首を切った人達をケアするのも政府の責任だと言うのは、まさに「おんぶにだっこ」としか言えません。
 企業も苦しいでしょうが、金を出し合って今回の大量解雇された人達を助けあう資金の創設など出来るとがいろいろあると思います。
 そして、それによりいくらかでも企業の社会責任を果たすべきだと思うのですが。

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*注記:大分キャノンの違法行為
  そう言えば国会で民主党の枝野さんが、経団連の会長の御手洗冨士夫さんのお膝元の大分キャノンで、非正規社員を大量解雇する一方期間工の採用を始め、しかもその条件に労働組合に入らない事を入れたとして法律違反だと追求していました。、
 優れた識見を持ち世間の人達からも尊敬されていた土光 敏夫さんなどに比べると最近の経団連会長も随分落ちたものですね。