普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

農村の自立化への道

2007-01-18 23:18:48 | 農村問題

1月14日に登山したS岳へのアプローチの道の両側に拡がる、刈り取り後の田んぼを眺めながら二つの事を思い出していた。

<<昔の農村風景>>
戦後直ぐ阿蘇の根子岳から見た春の阿蘇の野。
菜種の黄色蓮華のピンクの碁盤目が外輪山に突き当たるまで拡がっている景色。
その頃は少なくとも九州では、稲の刈り入れが終わると、直ぐに麦の植えつけの準備に掛かり、その刈り入れが終われば、直ぐに田植えの準備にかかり、田が遊んでいる時間が殆どなかった。
その僅かの間または、麦を植えないところは、蓮華を植えて田んぼの地力の改善をしたり、菜種を植えて、油を取っていたものだ。

<<農村問題に対する朝日新聞の対応>>
戦後日米間の貿易摩擦が発生し、米国が貿易収支の改善のために、日本に農産物の輸入を迫った時の、朝日新聞の投書欄。
農民が工業製品の輸出のお蔭で、犠牲になっていると言う抗議の投書の山。
これはある意味では正しいかも知れないが、実は工業製品を輸出している会社からの税金の可なりの部分が食料生産補助に廻り、他国に比して高い米価を設定して貰っているお蔭で、日本の工業や他国の農業に比して低い労働生産性にも関わらず、相当程度の生活水準を維持していること周知の事実だった。
然し、これに反論する投書はなく、これに対する新聞社からの解説もないままだった。
実は私事だが、父の時から取っていた朝日新聞を止めたきっかけとなったのは、それまでの自社の主張に反する事実は極力載せない報道姿勢に頭に来ていたところへ、当時から企業を目の敵にしていた同社の投書の扱いだった事を今でも覚えている。
この朝日新聞の自分の主張に反する投書はほぼ絶対と言って良い程載せない伝統は今でも続いているようだ。

<<現在の農村を取り巻く状況>>
それでは事実を並べて考えてみよう。
(1)現在の田んぼは殆ど米だけした作っていないので年の半分は遊んだまま
(2)昔は、米と麦を作るほか、畦には大豆まで植えていた
(3)農林省発表の2010年度目標の重量ベースの品目別自給率 %
米 96(うち主食用 100)、小麦 12、大・裸麦 14、カンショ 97、ばれいしょ84、だいず 5
(4)米食の減少傾向
(5)将来を見据えたエタノール燃料の確保の必要性の増大
(6)農業への会社参入OK
(7)圧力団体化した農協を始めとする農業団体の存在
(8)それを支援団体とする自民党の政権が変わらない事
(9)農村の改革の遅れ
(10)農村の花嫁問題、過疎化、高齢化
この事実を見て何とかしなくてはと思う素人は私だけではないだろう。

農村の問題は色々論議尽くされているが、素人が考えても異常と思えるほどの、米生産への補助がその最大原因である事は間違いないだろう。
つまり有利な米だけをつくり、後は田んぼを遊ばせても、後は都会に出稼ぎに出た方が遥かに有利だからだ。
しかし、狭いに日本で、少ない自然資源である田、農産物生産の可能性がある田の稼働率を50%前後に置いて行くのは明らかに、勿体ない気がする

<<生産性向上精神に富んだ会社の参入>>
もし、優れた工業製品会社のように、生産性向上精神に富んだ会社が農業に参入すれば、多分、
1.田を今のように遊ばせるような会社は居ないだろう。
2.今、各戸で持っている農機具をもっと有効に使うだろう。
3.どうしても出てくる何らかの農閑期には、他の地域に派遣するとか、地域に作った農産物加工などの工場に従業員を回す等人をもっとうまく使うだろう。
4.農業技術開発は今のように公共機関だけに頼らず、自分でも開発に関わり、結果として今の工業技術のように、農業部門でも、世界に誇れる技術が生まれるだろう。
5.1~4のお蔭で農業の生産性が上がり、農業従事者の士気が上がり、補助金政策による今までの歪んだ状態も改善されて行くだろう。
6.成長して行く会社には若い人が戻り、農村の過疎化、高齢化から回復出来るだろう。花嫁問題ももちろん解決する筈だ。
7.補助金に頼らぬ農家、農村の自立化へ進み、補助金も減少出来るかもしれない。
思いつきだけでも、自民党の支援団体である農協などの票が減る可能性があるかもしれない他は、良い事だらけのような気がする。

これには在来型の農業を固守する人達や農協、弱いものの味方?の朝日新聞などから、クレームや批判が来るだろう。
それは、どのようにも対応出来るし、考えられる問題の防止策もあると思う。
それでもまだ問題点が出ると思うが、会社の参入の利点の方が余りにも大きいとおもう。
色々言うのなら、地もとの農家や農協自身でも会社を作れば良い。
但し競争原理を無くすような、独占企業化は国や、市町村側で禁止し、偏った保護政策を避けなければ、会社参入の効果は全くなくなるだろう。

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