普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

日本の社会環境悪化の原因(1)

2007-01-09 23:27:52 | 教育問題

<<日本の社会環境悪化の原因はどこにあるのか>>
1月8日のNHKスペシャル「日本の縮図 1000人にきく団塊の素顔」の放送中のアンケートで団塊の世代の現在の社会環境悪化にたいする責任についてのアンケートで責任あると責任がないと答えたのがほぼ半数でした。
それの結果についてゲストがいろいろ意見が別れていました。
私の考えでは、はっきりしているのは少なくとも社会環境の劣化が戦後から少しづつ進み、団塊の世代の活躍した時代に万民が認めるほど激しくなったと思います。
その原因は多くの人が指摘するのは、
1.日本古来の美風が忘れられてきている。
2.教育制度の不備
3.市場経済主義に伴う弊害
  私が度々書いている、経済の拡張に伴う核家族化、長時間の残業や長期の出張などによる、子供達に接する時間の減少、派遣労働者に関連する格差、金儲け主義などにど
4.日本が米国の保護国である実情から付随する問題
  国も国民も自主独立の精神がなくなる、責任を他に転嫁するなどなど他にも数えきれない原因がありと思います。
私はそれとは別の観点から原因の一つ、二つを考えてみました。

<<家庭の生活の変化>>

<戦前の家庭>

我が家の例ですが、(これは程度の差はあっても当時の全国のサラリーマン家庭の普通の姿と思います。)戦前は家が貧乏で、母は薪で炊いたご飯に七輪で作った味噌汁で食事、たらいと洗濯板でよる洗濯、針での衣服のつろろい、など全て手仕事です。
それで、なお味噌や季節の甘酒、餅搗きなど体を休める暇はありませんでした。
その上手内職までしていました。
それも見た目でも惨めなものでなく、近所の小母さん達と世間話し手を動かしているのを見て感心した記憶があります。

それに5人も子供がいたので、世話まで手が廻らず、姉などは私を教室まで連れて行き、授業を受けたり、銭湯に連れて行ったそうです。
私も一番下の弟を背負って遊んでいたことを覚えています。
子供達も母が忙しい時や、自分の気が向いたときは、七輪をおこしたり、カレーなどの簡単な料理を手伝ったりしていました。

勿論普段は近所の子供と遊び廻ったり、悪い事をして近所の人から叱られたり、家でいたずらして物差を持った母から追い回されたことも度々でした。
そうしながら、今思えば母の背中を見ながら育ったものです。
そんな母も子供には父親は働いてくるからと言って、貧乏ながらおかずは一皿特別につけていました。
それで子供心に、父は違った存在だ。自分も早くそんな身分になって見たいと思っていました。
父親は若い時はあまり物を言いませんでしたが、母から子供が言う事を聞かないと、そんな特別の存在の父親の叱責は私たちの身に応えたものです。
これでは相当な悪戯っ子でも、悪くなる訳はありません。
どうでしょう。貧乏だったけれど今のから思えばとても健康な家庭生活と思いませんか。
(そう言う私も、今では家庭では空気のようなものですが、子供達に言わせると怖かった存在だったそうです。それを聞いて私自身は子供には優しくしたつもりだっので驚きました。私が子供達を強く叱ったのは、子供が母の言う事を聞かない時だったのに気がついて、知らぬ間に父の真似をしていた事に気づきました。)

当時の私たちは知らず知らずに、父親から勇気、努力、我慢を、母からは母は思いやり、気配り、優しさを教わってきた気がします
そして、子供達は当然のように家庭で忙しく働いていた、その一方で父を立てていた、母から一番強い影響を受けてきました。
そして、多くの母親は教師の家庭訪問のとき、子供が悪い事をすれば、遠慮なく殴りつけて下さいと言うのが普通でした。

また子供達は、家庭では多くの兄弟姉妹、近所では多くの子供の間で団体生活のルールを自然に覚えてきました。
そして行き過ぎたいたずらなどがあれば必ず叱る大人の人がいて間違いに気をつかせてくれました。
そんな父兄だったら、そしてそんな母親の背中を見てきている子供達、社会生活のルールを身につけた子供達だったら先生達もどんなにやりやすかったと思いませんか。

<戦後の家庭>
戦後の高度成長期に家庭生活に大きな変化がありました。
金銭的には全国中流階級と言われる豊かになってきました。
それで、電気炊飯器、洗濯機、電子レンジ、電気掃除機がどの家庭に入ってきました。
私が書いたような母としての仕事は大幅に減りました。
同時に市場にはものが溢れて、母の作っていた味噌どころか、近頃はパック料理などがスーパーやコンビニで手に入るようになりました。
当然、母としての仕事が大幅になくなります。三食昼寝付きと言われた時代になりました。

真面目な母親の精力と関心は子供に注がれます。
子供から言えば母親は家で楽しているのに、自分だけにやかましく勉強しろと言う存在になります。
ひどい母親は父親の稼ぎが足りないとか、家庭に協力しなとか、子供の前でこぼしたり本人に文句を言ったりします。
その父親は戦前はせいぜい六~七時には帰ってきたのが、九時過ぎに帰るのは普通になり、子供にとっては空気のような存在になります。
中には単身赴任で、半年以上顔を逢わせないことさえあります。

母親がいくらがみがみ言っても、次第に慣れてきてしまいます。
滅多に顔を逢わせない父親、母親から父親の愚痴を聞かされているその父親が叱っても反感を覚えるだけです。
もっとひどいのは単身赴任の父親を持った子供の相手をするのは、母親だけです。

それから精力を持て余している母親が男女共同参画の波に乗って、それと金を稼ぐために職場に進出します。
そして家庭から父親だけでなく、母親までも家庭から消えて行きました。
その代わり収入は増え、子供も好きなものを買って貰えるようになりました。
そして、家庭教育の不足の分を学校や塾が補うことになりました。
収入が増えて何でも買えるけれど両親のいない家庭と、金はないがいつも母親がいる夕方には必ず父親が帰ってくる家庭とどちらが子供にとって幸福なのでしょうか

<幸福?な今の子供>
子供にとって嬉しいのは、家が大きくなって、自分の子供部屋を与えられ、閉ざしたドアの中でインターネットで世の中を覗いてみることが出来る事です。
親が覗き込めばプライバシーの侵害だと言って抗議出来ます。
そしてさらに良い事は少子化で、親の愛情を独り占め出来る事です。甘えようと思えばいくらでも甘えさせてくれます。

もう一つ子供にとって良い事は、学校で家庭のように好き勝手をして、先生から叱られても少し我慢すれば、良いことです。
少しひどいことをされると、親が出てきて体罰だと言って自分を守ってくれることです。
もし頭に来た時は、先生を殴れば良いでしょう。先生は勿論何も反撃出来ないでしょう。
もし、先生が殴り返して来たら、教育委員会がその先生を処罰してくれるので、良い仕返しになります。

これ等は皆子供にとって良い事ばかりですが、子供にとって健康的とはとても言えないでしょう。

戦前にくらべとこんな家庭や学校がより健康的だと言えますか。

このような子供や母親を持つ学校は大変ですね。
だからそんな学校の学校の先生が初詣で祈る事は、良い生徒が入ってくること、そして変な父兄がくっついていないことだけでしょう。

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