普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

普通の会社の成果主義の取り組み

2006-12-30 23:35:40 | 企業経営

いよいよ高給事務職、残業代なし「労働時間規制除外」導入…労基法改正への報道があった
(2006年12月28日  読売新聞)
 http://job.yomiuri.co.jp/news/jo_ne_06122808.cfm

<<普通の会社の成果主義の取り組み>>
この「成果主義」が導入されたとき、12月29日に書いたような普通のサラリーマン重役がすることを考えて見た。
http://blog.goo.ne.jp/mutouha80s/d/20061229

まず「成果主義」をとる以上目標を立てねばならない。
目標を立てる時、対象者は普通それまでの自分の業績を参考にして立てるだろう。
上司も本人自身の成果を上げる為に、部下に今まで以上の目標を立てることを要請するだろう。
問題は対象者の今までの業績は例えば定時間プラス今までの平均残業時間、例えば30時間をかけて達成する目標を立てるだろう。
彼がもし残業時間抜きの業績をを考えた目標を提出すれば、今まで上げて来た以下の目標を提出することになる。
問題は普通だったら今まで以上の目標を要求する上司が今まで以下の目標を認めるか否かである。
普通の会社員の常識や慣行で言えば、認める訳がないと思うのが普通だろう。
「成果主義」を取り入れた時の、給料のベースが例に上げたように、30時間の残業代を含めたものにさせて貰えるかどうがだ
勿論、会社員の常識で言えば、やはり「ノー」だ。
うまくいって今までの定時間分の給料ベースプラス、10~15時間(今までの1/2~1/3)の範囲で決まれば余程理解ある会社や上司と言う事になる。
これで、会社は今までの残業代をカットすることになり、そしてその成果を対象者に要求出来ることになる
これで期待された成績が上げられなければ、則、翌年から減俸だ。
テレビで夫を過労死で亡くした奥さんが、この制度導入を反対していたが、今度はいくら過労死で会社を提訴しても、夫の納得の上のことだと会社が逃げることが出来るのだ。
そして対象者にとって不利なのは、彼が今までサービス残業をしていて、会社によっては(多分大部分の会社)に正確な就業時間の記録がないことだ。
だから彼が自分で残業時間の記録なが無い限り、対象者が不利な取り扱いになるのは眼に見えている。
もう一つ労働省は新制度の対象者の条件として、
〈1〉労働時間の長さで成果を評価できない職種
〈2〉重要な権限や責任を相当程度伴う地位にある
〈3〉業務の手段、時間配分について、経営側から具体的な指示を受けない
〈4〉年収が相当程度高い
を考えているようだが、普通のサラリーマン経営者は、契約労働法によってどんどんパート労働者を入れたのを見ても、経団連が年収400万つまり中堅以上のホワイトカラー全てを対象者に入れたいと言うのを考えても、拡大解釈をして、行くのは間違いないような気がする。

<<バブル崩壊時のホワイトカラー大量解雇の愚繰り返すのか>>
私は、海外の工業技術支援団体にいた経験からして、多くの識者が言う様に、日本の工業が世界に伍して行けるのは、管理技術が優れているからだと思っている。
然し考えて見るとそれは、小集団活動とか、改善等の主に向上の作業員対象の管理だ。
そして、その管理が成功したのは、管理のべースとしての残業時間を含む作業時間が正確に捕まえられていたからだ。
またその作業時間の把握とその削減が
管理技術向上のインセンティブともなっているのだ。
もっと端的に言えば、残業時間を含む作業時間の効率的運用で今まで会社が世界に伍して行った大きな原因の一つだ。
その反対の例が管理職またはその扱いになっているホワイトカラーの管理の放置だ。
バブル崩壊時の彼らのレイオフがその例だ。
バブル以降のコンピューター導入で大幅に事務職や技術職の作業量が減り、スタッフに無理を強いることなく、すこしづつ
削減出来たのに放置しておき、バブルがはじけて始めて、経営者ば現状のスタッフがあまっているのに気づいたのだ
そしてその一番大きな理由が労働問題対策の一環として、中心のスタッフを管理者にしたり、管理者意識を持たせて、サービス残業などを自主的にさせてため、スタッフの作業時間の管理がおろそかにななっていたからだ。
経営者の大量のホワイトカラーのレイオフと言う反省もなしに、経費削減、残業代カットばかりに囚われて「成果主義」という捉えようもない非科学的な方法で彼らを取り扱い、日本の得意とする管理、それも今後の躍進の中心となるべき人材の管理を放棄しようとしているしか思えない。 

<<チームワークを崩す成果主義>>
日本の会社が世界に伍して行けたもう一つの強みは従業員同志と経営陣との間のチームワークだ
私が前回のブログで書いたような極端な例にはならずとも、成果主義がチームワークを壊す原因となりやすいのは事実だろう。
何故なら成果を上げるという漠然とした目標に対して、一番はっきりしているのは他の人より(他人を蹴落としてでも)大きな成果を上げることが一番手っとり早いからだ。
そこで当然会社内で競争意識が出てくる。(それが成果主義採用の表向きの目的だ。)

このチームワークや管理と言う日本の会社の強力な武器をなくして、どうして世界を相手に戦って行けるのか、経営陣に戦略があるのだろうか
私が前日に書いたような組織を無視してまで大きな成果を上げる人もいれば、可もなく不可もなく代わり現状をしっかりキープして行く人もいると言う絶妙なバランスとチームワークののもとで多くの会社が成長してきたのだと思う。
中国の台頭に気を取られて、経費削減ばかりをして、実は大きな武器まで捨ててしまおうとしているのではないか


安倍さんへ
このような成果主義の会社ばかりの国が「美しい国」でしょうか。
チーム・ワークのしっかりした家族主義的なそして国際競争力のある会社こそ「美しい国」をつくりあげるベースになるのではないでしょうか。

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