普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

教育環境の劣化と企業と官庁の責任(1)

2006-12-05 22:42:04 | 政治

<<丸暗記の秀才をかき集めて来た大会社と官庁>>
バブル中またはその前は、私の勤めていた会社の業態で言えば、当時の通産省は、工場の大型化を進めて来ました。
会社は欧米特に米国から技術を導入し、それを基にエンジニアリング会社に工場を建設させていました。

だから建設や運転に当たる技術者は、外国から貰った技術資料やマニュアルを読んで理解出来れば良かったのです。
口の悪い私の上司は、彼らを「カタログ・エンジニア」と悪口を言っていましたが、何か問題が有れば、ライセンスの提供先、エンジニアリング会社や工場の建設会社、機械メーカーに折衝するだけで済んでいました。

その当時は、周辺諸国では韓国、台湾、少し遅れてシンガポールを除いては、日本と競合する国はありませんでしたし、日本人の優秀さ、勤勉さ、企業に対する忠誠心で結構何とかやって行けました。
そして、バブル。
国民は中流意識を持つ他国から羨む国になりました。

その間に丸暗記の秀才は順調に昇進して、会社の幹部まで登り詰めました。
そして、彼らは日本古来の考え方、伝統や美風などの観点からの市場主義への疑問や問題意識もなく、その記憶力と理解力でアメリカを市場主義をすぐ呑み込んで行きました。

大学は企業からの要請もないまま、丸暗記の秀才を社会に供給するだけで良かったのです。

戦前は、旧制の高等学校では、エリート達が、勉強だけでなく、日々自分の生きる道や国家のあり方、哲学などを互いに論じあって、それなりの教養や自分なりの考え方を持っていました。
そんな人達が独自の理念を持った会社に入っていましたが、昭和後半には殆ど現役を退き、市場主義を信仰している人が大半を占めるようになりました。

<<核家族化の進行>>
日本の高度成長時代、多くの会社は日本や外国の工場や会社を、各地に拡大して行きました。
そのため多くの従業員が、住み慣れた土地を離れて、家族離ればなれに暮らすことになりました。

私自身も一生親を見るつもりにしていたのですが、転勤命令を受けて、親達と別れることになり、母親を泣かせてしまいました。
所謂核家族化の始まりです。

これについて、家族と言う価値観の変化もあり、市場経済の恩恵にあずかっている日本としては、致し方ないことで企業を責めることは出来ないのは当然です。

然し、日本経済の拡大のための企業努力が核家族を生み、いまのいじめや少子化と言う教育環境破壊の大きな原因の一つを企業が作っているのは間違いないことでしょう。
それに対して企業がどう対処するかが、その姿勢を問われることになると思います。

<<中国の台頭、市場主義の浸透>>
シンガポールは、社会主義政党の一党独裁の国です。
私も同国で約1年半過ごして感じていたのですが、シンガポール政府の社会主義に囚われない、実利的な、工場や会社の誘致、熱心な国民の教育を見ていました。
政府の殆どは中国人で占めていたので、同じ実利的な中国の指導者が何時かは、共産主義の枠から飛び出して、実利的な市場経済の向けて来るのではないかと思っていました。
その時日本はどう対処するのだろうかと心配していました。

幸か不幸か私の心配が当たりました。
日本は安い労働力を持つ中国と戦うことになりました。
それに対する丸暗記の秀才達がなった日本の会社幹部の対策はそれこそアメリカ型市場主義に基づく対応策そのものでした。
1.バブル破裂時の下級、中間管理職のレイオフ。
2.契約労働者の導入→階級社会の形成
3.工場の海外進出→産業の空洞化
4.途上国に対する技術研修制度の悪用
5.サービス残業という名のただ働き→成果評価と言う名のただ働きの制度化
これらが、日本の社会環境、特に教育環境の悪化にどれだけ大きな影響を与えていることは、皆認めることでしょう。

<<大企業と官庁へお願い>>
幸い、企業はは回復の方向に向かっているそうです。
この際、企業は日本の環境悪化など会社は無関係だと考えないで下さい。
これは近い将来に日本企業にも悪い影響を与えて来出すのは、間違いないと思います。
それよりも、多くの会社の創始者の理念、会社は利益だけでない、社会の為にあるのだと言う理念を思い出して下さい。
そしてその利益の一部でも、教育環境の改善のために、還元して下さい

<<大企業と官庁が変われば学校も変わる>>
学生、生徒やその父兄の大半は、子供達の最終目標は会社や官庁に入って働くことだと思っているでしょう。
そしてそこに入る手段として学校に行くのだと思っています。
学校も色々の大義名分は別として、学生生徒の目標に併せた教育をするでしょう。
だからその最終目標が変われば、それに一番近い所にいる大学が変わります。
それが変われば高校、そして中学校、小学校が変わります。
企業、特に大企業や官庁は前に述べたように、国民の生活に直接の影響を及ぼしているほか、その国民全体の将来に影響を与える教育にも大きな影響を与えていることを忘れないで下さい。

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