旅路(ON A JOURNEY)

風に吹かれて此処彼処。
好奇心の赴く儘、
気の向く儘。
男はやとよ、
何処へ行く。

数学

2009年12月08日 21時05分42秒 | Weblog
著名な予備校に務めた経験をもつ数学の講師と話す機会があった。講師いわく。「高校生の学力の低下が著しい、特に数学がいけない。受験数学に対応しすぎた結果とうとう数学までも暗記科目になってしまった。」私が聞く「微分とか積分について、その考え方を知った時の感動をいまだに忘れない。最近の高校生は微分や積分にすら感動しないのですか?」「高校生にとっての数学は、受験数学ですからね。微分や積分といっても単なる試験問題の回答法としての意味しかありません。そうですね、東大に合格する受験生の90%程度は暗記科目としての数学しかできないでしょうね。数学に限らず高校性や予備校生の学力低下が顕著です。」と数学講師。「じゃ、受験数学ではなくて本物の数学の学力をつけることができるような私塾をつくられてはいかがでしょう?」数学の講師いわく「市内だけで100を超える塾や家庭教師の派遣会社があります。無理です。生き残ることはできません。」妙に声が弱々しかった。

最近、朝日新聞が「高学歴」の特集をやっていた。まわりのひとがあの人は高学歴だと感じる事例を2つ挙げていた。損害保険の約款を英訳した。高学歴の人はみなさん、ほぼ完璧に日本語に翻訳できた。法務部から数10ページの文書が送られてきた。高学歴の人は、もれなく前半のある個所と後半のある個所の矛盾に気がついた。ここでも入試が言語情報の読解分析能力に偏重していることが明らかになったようだ。入試科目としての数学の場合、幾何・代数情報の単なる記憶能力のテストになってしまったというのだろうか。数学講師の話がよくわからない。数学に哲学的論拠を与えたといわれるカントやその現代的解釈にひとつの指針を与えたといわれるメルロ・ポンティの現象学を読んでみることにした。

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