旅路(ON A JOURNEY)

風に吹かれて此処彼処。
好奇心の赴く儘、
気の向く儘。
男はやとよ、
何処へ行く。

親切

2005年10月08日 00時38分06秒 | Weblog

人の為になることをしてあげれば、多分、親切を(施?)したことになるのでしょうが、何だか心情的にしっくりきません。困った人を助けてあげれば、名実共に人に親切にしてあげたことになるのでしょうが、親切という言葉自体に偽善的な臭いがして嫌ですね。困っている人を助けるのは人として当然のことですし、他人の為になると思ってしたことが「小さな親切、大きな迷惑」ってことは多い。
もう少し素直になればよいのでしょうが、つい斜に構えてしまって今回も回答になっていませんね。困りました。

中村元訳「ブッダ最後の旅」

2005年10月08日 00時09分21秒 | Weblog
                 中村 元


訳者中村元がその解題で述べているように、神話的な潤色を除去して歴史的人物としてのブッダを究明するために、パーリ語の原文を批判的に邦訳した「大パリニッバーナ経」に、自ら解り易く「ブッダ最後の旅」という題をつけた。この「ブッダ最後の旅」の第一章は、「鷲の峰にて」から始まる。ブッダはここで、ヴァッジ族を征服しようとする大国マガタの国王の大臣でバラモンのヴァッサカーラに対して次のように説く。

『ヴァッジ人は、
①しばしば会議を開き、会議には多くの人々が参集する。
②協同して集合し、協同して行動し、協同して為すべきことを為す。
③未だ定められていないことを定めず、既に定められたことを破らず、往昔に定められた旧来の法に従って行動しようとする。
④古老を敬い、尊び、崇め、もてなし、そうして彼らの言を聴くべきものと思う。
⑤良家の婦女・童女をば暴力で連れ出し捉え留めることを為さない。
⑥内外の霊域を敬い、尊び、支持し、そうして以前に与えられ、以前に為されたる、法に適った彼らの供物を廃することがない。
⑦真人(尊敬されるべき修行者)たちに、正当の保護と防御と支持とを与えてよく備え、未だ来たらざる真人たちが、この領土に到来するであろうことを、また、既に来た真人たちが、領土のうちに住まうであろうことをねがう。
ヴァッジ人がこの7つをまもっているのが見られる限りは、ヴァッジ人に繁栄が期待され、衰亡はないであろう。』

大臣ヴァッサカーラ、応えて曰く。
『きみ、ゴータマよ。衰亡を来たさないための法の一つを具えているだけでも、ヴァッジ人に繁栄が期待され、衰亡はないであろう。況や、7つすべてを具えているなら、なおさらです。』

神話的な潤色を除去して、歴史的人物としてのブッダを究明するために「大パリニッバーナ経」というパーリ語のお経を邦訳してみるとこういう話になる、と、原始仏教の大家である文化勲章受賞 中村元は説き続けるのです。ここまで平べったくお経を邦訳されると、なんだか新鮮な味わいがあって釈迦の思想に一歩近づけたような気になる。

葬式仏教に慣れ親しんだわが身からすれば、お経というと何だか線香臭い。諦念の香りが漂うものだ。ところが、こういうお経の解釈の仕方もある。「お経」は「お教」ではない。暁烏敏(あけがらす はや)の対極にあるような仏典解釈。「ブッダのことば」「ブッダの 真理のことば 感興のことば」とともに当分手元から放せそうにない。

南無阿弥陀仏 南無阿弥陀仏