昭和ひとケタ樺太生まれ

70代の「じゃこしか(麝香鹿)爺さん」が日々の雑感や思い出話をマイペースで綴ります。

雲におもう

2009-10-09 16:21:50 | じゃこしか爺さんの見て歩る記
 月に一回の割で10数年来通っている地域の病院へ行った日のこと、思いのほかに診察が早く済んだ上に、いつもは薬の受け取りを後回しする薬局でもその時に限って待っている人が少なかったので、また後で出直すのは面倒だったから、少し待ってでも貰って行くことにした。
 病院と薬局を合わせても予定していた時間の半分ほどで済んだので、その分今日予定していなかった外歩きでもと、少し大回りをして河畔へ出掛けた。

 折からの大型台風18号が近付いているとかで天気は下り坂とのことだったが、北側の空にこそ雲がやや多かったものの、南の空にはまだ雲は少なく日差しは暖かくて先ず先ずの日和と言えた。
 歩き疲れてベンチに一休みして雲に目をとめた。やはり台風の影響からか、遥か山の彼方からまるで湧き水のように湧きあがって来る雲は様々な形に変化しながらも、忙しなく流れて留まることは無い。
 そこで想い出したのが、この一句である。
   
    ◎逝く夏や 遥かなる雲 湧き止まず 
 
 今は亡き女優・夏目雅子(昭和60年9月僅か27歳で夭逝(白血病)。
 彼女は良く知られた女優だから、多くの作品に出演しているのだが、私は西遊記の三蔵法師や鬼龍院花子の生涯などの役を演じた若い美人女優と、俳句の取り合わせの意外性からか一番印象深い。
 彼女の三蔵法師役はまさに神々しいほどだったし、鬼龍院花子の{なめたらいかんぜよ}台詞は、今なお忘れられない。 

 また、雲で想い出すのは、山村暮鳥の詩の一節              
               
 ◎ おおい雲よ ゆうゆうと ばかにのんきさうぢゃないか どこまで行くんだ
   ずうっといわき平の方まで行くんか・・・


遥か彼方から湧き出るよう雲が・・・

さまざまに形を変えてゆく・・・