「情動生起」

 

 

情動の衝迫性が思考を奪うほどの強度をもつとき
（おそらく原理的に）それを吐き尽くす以外に
情動の求心的な引力圏から離脱する方法は存在しない

倫理、モラル、良識、ゲバルト処理
外在的な抑圧、制御の方法は内的な分裂を強化する

思いのたけ、泣きたいだけ、怒りたいだけ
みずからを消尽するように
最後の一滴まで絞り尽くすように吐き出す

吐き出し切ったあと
はじめて別の作動の契機、条件が整う

情動と直列したまま事態が進行するとき
多くは関係の惨劇として、まれに創発的交歓として
劇的な関係刷新の出来事として現象する

この展開を関係破壊的ではない方向へ
〝吐き出し〟の条件を満たしながら
なんらかの関係的方法が見出すことができるか否か

情動が教えることも知ることもない
情動が指定するフレームの外
みずからの生にとって「未記述の位相」の方角へ

その予期を生むために
いったんは情動に寄り添いケアする心がいる