現在が考える「過去」
現在が考える「現在」
現在が考える「未来」
すべての時制は「いま、ここ」に
一つに溶けて心の内に現象している
願っても願わなくても、Backstageは時制を分泌し
つねに世界を時間化し、時制的奥行きをもつ姿で描き出す
かつて-いま-これから
この時間的配列はひとりひとりの記憶と予期に由来する
「いま、ここ」に現象する記憶と予期が生み出す固有の時間
同時に、この時間化した世界はつねに〝情動に濡れている〟
後悔、希望、なつかしさ、よろこび、いかり、かなしみ
多色の多層の情動が溶け合った時間の流れ
すべてが合流する体験流としての「いま、ここ」
ひとりひとり、世界は固有の時間に染まり、情動に染まり
固有の体験流として遷移していく
*
もう一つある
ヒトが生きる時間にはもう別の位相がある
「客観的時間」
すなわち、ひとりひとりの時間が関係的に交わり
多重の時間記述から生成する〝関係項〟としての客観的時間
情動とのリンクを外され、単位化され、線形的に配列され、
無機的に、デジタルに、「過去-現在-未来」を刻む〝時〟
実存における時間、客観としての時間──
ヒトの生きる時間は、かくして二重化され、
ふたつの時間の共同、せめぎあい、弁証法的展開として動いていく
固有の生という実存のうちがわに必然的に生成するひとりひとりの時間
集合的営みが要請し、共同化され、二次的に生成したデジタルな時間
集合的営みを可能にする二次的生成物としての「客観的時間」
客観的時間を参照項として、その規定性を受け入れ
集合的ゲームのプレーヤーとなること──この要請は絶対的必然をもつ
この必然的生成に、さまざまな生きることの矛盾、アポリアの起源がある
*
客観的時間が生の全域を埋め尽くすとき
ヒトは固有の時間のみならず、世界経験の本質から外れ
客観的時間を核とする〝関係項〟の秩序に規定され支配されて生きることになる
このことを回避ためになすべきことがある
世界経験の固有性、実存の時間を見失わないために
関係秩序の起源(母)としての生の固有性をキープするために
いったん「客観的時間」の規定性をいったん解除すること、そのうえで
時間の生成的本質、時間の二重性の本質を原理的に捉え返す作業がいる