未熟なカメラマン さてものひとりごと

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古都・奈良を歩く その3 元興寺の彼岸花

2012-10-08 08:38:48 | 観光名所

元興寺本堂から見る石像と彼岸花

昼食後、最初に向かったのが興福寺です。バスは国宝館前の駐車場に予定の時間に到着しました。個人的に興福寺国宝館は、平成20年以来2度目の訪問となります。
外観は創建当時の食堂(じきどう)を模した瓦葺の建物です。薄暗い館内に入ると、まるで別世界、国宝や重文の仏像がずらりと並んでいます。お目当ては、もちろん阿修羅像、前回の時はガラスケースの中に陳列されていたと思うのですが、LEDなどの照明を使用することにより、文化財に与える影響がほとんどなくなったとして、ガラスが取り払われて、直接見ることができるようになりました。阿修羅像は、734年に建立された西金堂に安置された八部衆のうちの1躯です。細身の体と憂いを秘めた表情は、何ともいえません。大きさもほぼ等身大ですから特に身近に感じます。この像を収めたどんな写真集にもまして、実際この目で見る実物が、一番美しいと思いました。1300年の時を超えて、いったいこの像は、何人もの人を見て安らぎをあたえて来たことでしょう。

国宝館を出たあと、初めて東金堂に入りました。この建物も隣に並んで立つ五重塔とともに国宝です。すぐ気付くのが、唐招提寺にも似た重厚な柱です。これも天平様式のエンタシスといわれるものなのでしょうか。
興福寺は、境内を仕切る土塀がなく、妙に広々とした感じがします。奈良公園の一部と化し公園の中に建物が点在し、いわゆる伽藍というイメージは感じられません。創建当時から実に記録に残っているだけでも100回以上の火災にあったというから驚きです。焼失、再建を繰り返し、再建されなかったものも多いということなのでしょう。しかし中金堂が再建中で、南大門の再建も計画されているそうですから、少しずつ、創建当時に近づいているということなのでしょう。100年、200年先が可能であればその完成した姿を見てみたいものです。

興福寺での滞在予定時間は1時間しかありません。国宝館、東金堂を見たあとで、残り時間は35分、せっかくなので周辺を歩いてみることにしました。最初に向かったのが「ならまち」の元興寺です。興福寺から数百メートルの距離ですから、さほど遠くありません。夏は、石像にキキョウという絶好の被写体がありましたが、この季節、確かハギがあったことを思い出しながら歩いていました。
「ならまち」というのは「奈良町」のことですが、別に行政の地名があるわけではありません。奈良市の中心市街地の南部に位置する、歴史的町並みが残る地域のことを総称していいます。

現在では、町屋の原型を保ちつつ現代風に改装された飲食店や雑貨店、公共文化施設、社寺が町内各地に点在することから、奈良の新たな観光スポットとして賑わっています。この中で中心的な存在なのが元興寺です。受付を過ぎると、目の前に本殿(国宝)が見えます。右手に廻ると、ハギが建物を取り囲む感じで植えられています。このような大きなハギは見たことがありません。このお寺の一番の魅力はおびただしい石像群です。そして、この石像群の間に咲くキキョウは夏の風物詩ともなっており、絶好の被写体でもあるわけです。この日、もうキキョウは終わっていると思っていましたが、かろうじて何輪かがまだ花を咲かせていました。そして、何と赤の彼岸花が咲いているではありませんか!白もあります。これには期待をしていなかったので、ほんとにうれしく思いました。時間も気になるのでゆっくりできませんが、本堂にあがり、薄暗い部屋の中から、外の石像群と彼岸花は、コントラストが効いてなかなか絵になる景色でした。そして日本で現役最古と云われる天平時代の屋根瓦を確認して、元興寺をあとにしました。途中、猿沢池の亀を撮影して駐車場に戻ると出発5分前でした。
このあと、最後の目的地、平城宮跡を見学して、奈良をあとにしました。

結局、予定になかった、二月堂裏参道、指図堂、大乗庭園、奈良ホテル、元興寺などを見て回りましたが、なかなか充実した一日となりました。今日はほんとによく歩きました。この肉体的疲労感が逆に心地よい感じがします。

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