静かな下町風情の裏通りは、どこか懐かしい
いわはんのご主人が茅(かや)でつくるバッタ
おはなはん通りを抜け、この旅一番の目的地、臥龍山荘を目指します。突き当りの交差点を左に進むと、空き地のかどに今ではめずらしい赤い円筒形のポストが見えます。(散策マップを見ると、「東京ラブストーリー」でリカが別れの手紙を出したポスト。とあります。)
そして、この四つ角を右に進むと、いきなりというか、とても下町の風情のある通りが目に入ってきました。縁台に腰かけて何かを織り込んでいるご老人がいたので、「何を作っているんですか?」と尋ねると、このご老人、はずかしそうに「バッタです」とのこと。道路の反対側を見ると、「でんがく」と書かれた赤い提灯が目立つ小さなお店があり、店先には、茅で作ったバッタが売られているではありませんか。それにしても器用なものです。確か200円だったと思います。こちらは田楽のお店だったんですね。他にも野菜や、「ふかしイモご自由にどうぞ」とありました。あとでわかったことですが、このお店は、「いわはん」といい、このご老人もパンフレットにも紹介されている有名人でした。
そしてこの通りの突き当りを右手に進むと、臥龍山荘がありました。入口は少し下ったところにあります。正面には、肘川の水深が結構ありそうなエメラルド色の淵があって川舟が見えます。
山荘の入り口から団体の観光客が、ガイドさんに案内されて次々と出てきます。来る前、ここを訪ねる人は、そういない、ぐらいに思っていたら、とんでもありませんでした。あたりまえのことですが、大洲を訪ねる人は、かならずここを訪ねるでしょう。小さな門を潜ると、そこはもう露地風の庭園です。右手の石垣の間から、大きな木が幹を出しています。ということは、石垣を作る前に木があったということでしょう。ちょっとびっくりします。受付は、意外とこじんまりとしています。「どこから来られましたか」と聞かれたので、「岡山です。」というと昨日も、岡山からの人が多かったとの話でした。館内の写真撮影はできません、ということでしたが、縁側から庭を撮る分には構わないとのことでした。あとは、順路に従って進みます。(つづく)
(ちょっと余談ですが)
町並みを歩いているとき、1軒の骨董屋さんを見つけました。立派そうな染付のお皿が何枚か道路側に向けて置いてありました。ガラス戸から見える室内は、お道具類がびっしり。この光景を見て、NHKの人気番組「釣瓶の家族に乾杯」で、いつの放送かすっかり忘れましたが、物(商品)が有り過ぎて整理が付かない。と家族の方が話すシーンを思い出しました。あの番組で、出てきた骨董屋さんも、こんな感じだったなと、この時思ったのです。
しかし、何とそのお店が、まさにその番組に出ていたそのお店だったということがあとでわかりました。これには正直びっくりしました。こんなことってあるんですね。「釣瓶の家族に乾杯」で大洲が登場したのは、昨年の11月だったようです。
臥龍山荘下の川岸には遊覧乗船場がある
石垣の間から立派な木が出ている