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鍋こもごも② 雲南チベット族の鍋

2014-12-13 17:29:04 | Weblog
迪庆藏族自治州徳欽県の鍋物料理屋で出会った豆乳鍋。持ち手のない洗面器のようなシンプルな形状の鍋に鶏肉のブツギリをメインに次々と野菜やキノコを投入していった。(2004年6月撮影)。

【どの宴会でも足踏み歌の合唱】
豆乳鍋に出会った一箇所目は雲南北部のシャングリラからさらに奥にいった迪庆藏族自治州徳欽県でチベット族研究の先駆者と呼ばれる老先生の宴会に呼ばれた時です。

 鍋を前にして、先生自ら私の皿に「これはおいしいよ」といっては次々と取り分けてくださいます。宴を開くホスト側が遠方の客を手ずからもてなすのは中国ではよくあること。
とくに客の皿に
「ぜひ、食べていただきたい最高の料理」
 と考える食材を次々とよそるのは最高級のおもてなし。ただ、5000メートル近い白馬雪山をシャングリラから乱暴な運転で越えたばかりでやや高山病気味だったため、皿に盛られるのは、ありがたくもやや苦痛のひとときではありました。

 鍋の中身は漢民族の鍋のようにほうった食べ物の形状がわかるようなグロテスクなものはなく、鶏肉主体のあっさりとした鍋。
 鍋にはトウガラシはまったく入ってはおらず、取り皿のほうにめいめい好みで唐辛子の粗挽きを入れて辛さを調節しています。見ると、お年寄りの方は唐辛子はあまり使わず、ニンニクの唐辛子漬けをかじりながら辛さを調節している様子。

具材も、地元でとれる野菜(白菜とセリ科の野菜の刻んだもの、周囲がなみなみになった葉物など。ぬめりなどの特徴はない。)とどこか日本でもみるようなひょろひょろとしたキノコが多く入っているのが特徴です。

 このあたりはマツタケの一大産地で日本にも多く輸出されています。ただ、地元にはもっとおいしいキノコがたくさん獲れるため「日本人はマツタケを珍重しているそうですね?」と不思議そうに聞かれることがよくありました。
(日本で「中国産」と書かれたマツタケのほとんどは四川省の雲南よりの地域とこの雲南北西部の地域のものです。ちなみに松茸(ソンロン)という発音を現地ではじめて聞いたとき、何かの龍(ロン)のようなものが名産なのかと勘違いしてしまった!)

 さて、宴もたけなわ。豆乳鍋で心も身体も満たされたころに同郷の歌い手がやってきてチベット族の歌を披露してくれました。その歌に合わせて宴を囲む人々が自然と足踏みしながら大声で歌いはじめます。
 そのお腹から響く声に感動しました。これは我々の席だけのことではなく、隣の部屋からも何曲も楽しげに足を踏みならしながら歌っているのが聞こえてきます。この辺りのチベット族は歌が自然と出る人達なのでしょう。        (つづく)
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