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大理彫梅3

2012-11-16 16:44:24 | Weblog

写真は大理の町角の市場にて。(2004年撮影。)地元の方も気軽に「小梅」などの梅製品を買っていく。料理の材料にしたり、調味料にしたり、そのまま食べたり、お茶うけにしたり、大活躍するのだ。

【涼味の飲みもの】
 この梅の食品は、昔からよく食べられていたようで、明(1368年~1644年)の時代に科挙第一席の状元(現在、中国では大秀才の異名ともなっている)となりながら、その後、失脚して雲南で35年間、つまり亡くなるまで住むことになった、楊慎の詩に、

五月滇南煙景到(五月になって雲南の南は、景色がけぶるようになった。)
清涼国裡無煩暑(ここは涼しい国なので、暑さもわずらわしくはない。)
双鶴橋辺人売雪〈大理の南門近くにある〉双鶴橋あたりは雪売りが出て、)
水碗啜調梅点蜜和屑(お碗に梅の汁と糖の汁を雪のくずで整えた飲み物をすする。)
(「滇南月節詞」より。楊慎編集の『南詔野史』におさめられている。この詞は1年12ヶ月を月ごとに雲南各地の風物を取り入れて詠んだ詞で、食べ物もたくさんでてくる。)

 というものがあります。
 5月といっても旧暦なので、夏の盛り。「双鶴橋」から大理を詠んだ詩だと考えられます。その最後の行の「梅」は、前回ご紹介した大理白族の伝統的食べ物「潡梅」というのが、大理白族出身の雲南民族大学人文学院教授・楊亜平らの説です。(楊亜平・丁忠蘭「楊慎《滇南月節詞》飲食詞語考釈」『雲南民族大学学報』2010年11月号)
 まあ難しく考えなくても、梅のこしらえものであることはまちがいなさそうです。暑い盛りには、この梅を食べたり、山から取ってきた雪を食べたりして、涼をとっていたのですね。

【梅干しが「彫梅」に?】
 また、ネットを検索していると、「日本式彫梅泡飯」というメニューがでてきました。(http://www.beitaichufang.com/recipe/6793/)
これは、中国の料理雑誌「貝太厨房」が創業10周年を記念して簡単にできる料理を呼びかけたところ、投稿されたものの一つです。投稿者のプロフィールをクリックすると上海に暮らす料理好きのお方らしい。もしかしたら日本人かもしれません。

 その写真には白いご飯の上に日本の梅干しをのせ、のりやごまを振りかけたお茶漬けが。
 梅干しに、なんの切り込みもないというのに「彫梅」という訳をつけるとは・・。漬け込まれた梅という以外の共通点はないのに。

 もし、彫梅と思って口に入れたら、あまりの酸っぱさと、しょっぱさに(種もあるし)、きっと本物の彫梅を知る大理の方はおどろくこと必至でしょう。

参考文献:李正清著『大理喜州文化史考』(雲南民族出版社、1998年)
コメント
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