写真は宜良のアヒルを使った学成飯店の「宜良ダック(=烤鴨)」。頭と足の部分が皿の両側に器用に付いていたのだが、一緒に行った人が不気味がって、写真を撮る前に、隠してしまった!(2004年、昆明にて撮影。現在も変わらず営業中。)
※いつもお読みくださり、ありがとうございます。いよいよ、新章、突入です。
【豪快な‘北京ダック’】
小学生の頃、東京・等々力に住んでいた親戚のおじさんに「こんなの食べたことないだろう~。」と言われて連れて行かれたのが、北京ダックとの初めての出会いでした。アヒルを丸ごと味わうのではなく、皮の部分だけを薄く、花びらのようにそぎ落とし、それを、小麦粉で作られたクレープのような皮に、細切りのキュウリやネギ、甘めの味噌などとともに巻いて食べる。
「贅沢な味だなあ。」と子どもながらに思ったものです。皮のパリパリが香ばしく、それでいてジューシー。でも、中のお肉がもったいないなあ。
以来、中国各地で、あると聞けば、北京ダック製法の食べ物を口にしてきたのですが、雲南でもそのチャレンジは続きました。(「製法」とつけるのは、いろいろな料理法がじつはあるから。それは、後ほど。)
その名も「学成飯店」。昆明にいくつか支店があるのですが、私がよく通った店は市の西側・白馬小区の新聞センターの斜め向かい側にある小さな店でした。アヒル料理が自慢のお店です。
北京ダックは中国語で「北京烤鴨」と書くことから、「烤鴨」を注文してみました。すると、なんとアヒルのくちばし付きの頭と足を長細い皿の両側に載せ、肉の部分は豪快にぶつ切りされたものが出てきました。これを、花胡椒入り粗塩や、ネギ、甘味噌など各自で合わせていただくのです。
他のアヒル料理も、新鮮なたっぷりの唐辛子とともに炒めたアヒルの細切れなど、北京ダックとはかけ離れた豪快さ。皮のパリパリとその内側の脂身が甘みを出すのか、ビールとよく合って、店はいつでも繁盛していました。
【アヒル養殖のさかんな町】
このお店のメニューや壁を見ると、目に留まるのが
「宜良の良質な『無公害』(中国では減農薬などの意味です。)アヒルを使った料理が自慢です。」
の張り紙です。
宜良は昆明近郊の農業のさかんな町。どうやらアヒルの養殖もさかんな様子です。
そういえば2004年当時、昆明の新聞には、宜良「湯池」におけるアヒルの養殖問題が始終、ニュースになっていました。湯池ではアヒルの養殖がさかんすぎて、池の水が汚れて困る、という内容でした。過剰な化学肥料と農薬の投与も問題となっていました。
湯池といえば、昆明の有名旅行社(シンガポール資本)が所有する温泉SPAホテルがあるところ。新聞の広告面ではしょっちゅうホテル所有のゴルフ場に有名人がきた、などと煽って高級感を演出しているところでもあります。
一体どんなところなのか、と興味がわき、いつか行ってみたいところとなりました。
(つづく)
写真下は香港の「鹿鳴春」の北京ダック。(2011年春撮影。)切り方がやはりおしゃれ。「鹿鳴春」はもともと、北京にあった北京ダックの老舗の店である。中国の政治的混乱を逃れて香港に居を移した。