ヘアスプレーは、1988年にオリジナル映画が作られ、2002年にはブロードウエーのミュージカルとして上演され今もロングランが続いているミュージカルコメディである。
今回、そのミュージカルを再度映画化したのがこの作品で、前回と同様にヒロインは新人を起用し、ヒロインの母親エドナ役は男性俳優が演じることが踏襲されている。
ヒロインを演じるのは、千人以上の中からオーディションで抜擢された19歳のニッキー・ブロンスキー、母親のエドナ役は、サタディナイトフィーバーのジョン・トラヴォルタが引き受けている。
ストーリーは、1960年代ヘアスプレー企業がスポンサーとなっているボルチモアのテレビ番組「コーニー・コリンズ・ショー」に出演を夢見る太目の少女トレーシーが歌とダンスの才能を発揮して番組の人気者となるという物語である。
ミュージカルなので、娘以上に太った母親エドナ役のダンスと歌のシーンが重要であるが、本物の太った女性に軽やかなステップは無理ということから男性俳優が女装して出演することとしたのであろう。
また太めのヒロイン、ニッキーの歌とダンスは、さすがに千人から選ばれただけに天才的で、彼女が発散するハッピーなオーラはスクリーンから強烈に伝わってくる。
ストーリーは、1960年代の人種差別の問題を扱っているために黒人俳優も多数出演しているが、そのなかでモーターマウス・メイベル役のクイーン・ラティファの歌唱力と存在感は素晴らしかった。
クイーンは、1989年にデビューしたラップ歌手で、女性ラッパーの第一人者として知られており、1994年にはグラミー賞を受賞している。
また女優としても活躍しており、2002年の映画『シカゴ』ではアカデミー賞、英国アカデミー賞、ゴールデングローブ賞(いずれも助演女優賞)にノミネートされている実力者である。
また、黒人の日のブラックデイに出演する女性ボーカルトリオの歌も見事で、映画を見ていると歌とダンスは白人よりも黒人のほうに才能があるのではと思うほどであった。
ちょっとニューヨークまでミュージカルを、という訳には行かない日本人にブロードウエーの雰囲気を気軽に味わえるこうした映画は有難い。
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