日本各地にある巨大な大仏・観音像のほとんどが戦後建立されたものである。
特に、バブル期に数多く建立された。
高さを競うように巨大化し、周囲の景観を損ねているものも少なくない。にもかかわらず、宗教的背景があるために容認せざるを得ないという不思議な関係がある。奇妙な文化である。
身近な大仏は鎌倉大仏だが、これは国宝なので事情が違う。
巨大観音は大船観音。高崎観音、韮崎平和観音とともに関東三観音のひとつになっている。
当初の計画では立像だったが、地盤が軟弱なために半身像なってしまったという。建立時期が古いので違和感はないが、山の上に巨大な白い顔だけが見える景色はやはり異様である。
大船観音寺の入場券の裏に、観音像の説明が書いてある。
昭和4年、人心の安定と国家の隆昌のため建設に着手し、戦争による中断を経て、昭和35年4月世界平和を願う温容ゆたかなお姿に変わって感性しました。
近年、日本で暮らすアジアの人々の心のよりどころとして、毎秋「ゆめ観音」と題して各国の音楽舞踊が奉納されています。
護国観音のはずが、敗戦によって、建立理由が世界平和に変わってしまった。実は、巨大大仏、巨大観音の建立理由で一番多いのが世界平和である。
大船観音が与えた口実、そんな気がする。
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