読書日記 嘉壽家堂 アネックス

読んだ本の感想を中心に、ひごろ思っていることをあれこれと綴っています。

ホーラ 篠田節子 オール読物連載2月号~9月号

2006-09-21 22:24:45 | 読んだ
ホーラという題名はギリシャ語で「Χωρα」となっている。

物語は相互不倫(つまり男も女も結婚しているのにということ)の二人が旅に出る、そして・・・というお話なのだ。
30歳くらいで出会い、いま40台半ば、これまでは人目をしのんだいわゆる密会をしていた。
男は建築家、女はヴァイオリニスト。

この二人が、人目を忍びながらも海外へ旅をする。
ロンドンで男が女に贈ったヴァイオリンが陰の主人公となる。

そして二人は、人目を忍ぶことに疲れ、というか、旅に出ても他と繋がっている状態を解消するため、消息を絶つようにしてエーゲ海の小島「パナリア島」へ行く。

このパナリア島についてから二人には奇妙な出来事が多発する。
そしてついに交通事故を起こし男は入院する。

その後も奇妙な出来事がおこるが、それはトルコ文化とイタリア文化の接点であった、つまりイスラム

教とキリスト教の接点であったことによる島の文化が、影響しているような・・・
女の心には「不倫」に対する「バチ」のようなもののせいではないかという思いも浮かぶが・・・

この物語で起こる出来事には「何故」の説明はない、おきたことが書いてあるだけだ。
ワタシはこのような物語を「あったんだとさ型」と呼んでいる。

なんだかよくわからないのだが、こんなことがあったんだとさ。
という型である。

今の世の中、やたらと解答を求める傾向があるが、解答のないことのほうが多いのだから、なんでもかんでも「何故」の解決をすべきではない、そしてそういう物語もまた面白いのである。

この物語も、解決、ということを望む人には「釈然としない」という印象があるだろうが、それはそれでいいと思っている私には、なんだかよくわからないけれども面白かったのである。
コメント
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