読書日記 嘉壽家堂 アネックス

読んだ本の感想を中心に、ひごろ思っていることをあれこれと綴っています。

青春のうた 第17巻 1960年代後期③

2006-09-18 18:02:44 | 読んだ
やっぱり1960年代の歌は知らないほうが多く、ゆえに思い入れもあまりないのである。というわけで・・・

1.悲しみは駆け足でやってくる/アン真理子 1969年7月発表

'69年といえば昭和でいえば44年、ということは中学校入学した年である。
この歌の出だし
「明日という日は 明るい日とかくのね」
はズイブンはやったフレーズであり、本書の解説にもあるように「その後の<漢字分解系>といわれる歌詞に多大な影響を与えた」のである。

しかし、当時中学生だった私は「当たり前のこと」をなんでそんな風に歌うんだろう?と思っていたのであった。

で、しばらくしてから「明日」は明るいばかりではないことに気づいたのであった。気づいたときには世間一般は「明日が明るくない」ことになっていたのであった。

2.帰り道は遠かった/チコとビーグルス 1968年12月発表

出だしの部分だけ知っている。
この歌を聴いて別に思うことがなかったんだろうと思う。

で、今回、この歌の作詞が作家の藤本義一だったことがわかりちょっと驚いた。
それから、この歌がなんというかあっさりとか淡白とかんじられなかったのは歌詞が粘っこいのと歌い方がバタくさいということなんだと、改めて思ったのだ。

3.受験生ブルース/高石友也 1968年2月発表

この歌が身にしみて感じられるのはずっとあとのことで、当時は「フーン」と思っていた。

身にしみるといったって、受験が苦しいとかあほらしいとか、思っていたわけでもなく、通り過ぎなければならないものなんだろう、となんとなく思っていただけで、そんな「なんとなく」という部分がその後失敗につながったのではないかと思っているのである。

この歌はコミックソングなのか、風刺なのか、実感(いわゆる私小説風)なのか、入り混じっていて、聞くときの心境で、許せるときとなんだか腹が立つときがある。

4.自衛隊に入ろう/高田渡 1969年2月発表

この歌を聴いたのはたぶんずっと後のことで、そのころにはこの歌が持つ意味というか皮肉がもう時代遅れになっていたのではないかと思う。
というか、自衛隊は必要ない、ということを真剣に言うのは非現実的みたいになってしまったのである。

この歌詞からはもっと本質の部分を言いたかったんだろうと思うが「自衛隊に入ろう」という部分が誤解されてしまったのだろうと思う。

自衛隊を考えるということは、世界を考えることであり、世界を考えるには「マダマダ」だと思うので、真剣に自衛隊のことを考えられない。
それがワタシの言い訳である。

5.別れのサンバ/長谷川きよし 1969年7月発表

当時の私には「難しい」歌であった。
いい歌だなあ。とは思っていたが、感覚だけでありました。

盲目の歌手、ということが、この歌を難しいと感じさせたもうひとつのものであったと思う。
中学生のころでありますから、盲目、ということにどう接していいのかよくわからない。よくわからないから、あまり近づかないようにする、というのが当時のワタシでした。

それから「サンバ」のリズムというのが、なんだかついていけなかった。

この歌を歌ってみたいとは思うのだが、まだ歌えずにいるのである。

6.あなたの心に/中山千夏 1969年9月発表

初めて聴いたとき、ひょっこりひょうたん島の「博士」が歌っている!と思った。
「ヒェー」と感じた。

ひょっこりひょうたん島の中で歌われてもいい感じの歌だった。

この歌は最初中山千夏の作詞と歌ということが話題だったが、徐々に作曲の都倉俊一に話題というか焦点が移っていったというような気がする。

中山千夏にはいいイメージでいたのだが、政治活動に身を投じ始めたころから、なんだかなあ、と思い始めたのであった。


追伸
 今回、振り返ってみると、面倒くさいことや難解なことは避けて通ろう、という姿勢が1960年代後半あたりから私の中に形成されてきていることが確認された。
 たぶん、このあたりがいわゆる社会の多様化というか、いろいろな発言が自由になったころなんだと思う。
 そして、口をつぐんで今までどおりにやろうとしている人も、一生懸命自分の意見を述べて社会を変えようとしている人も、胡散臭く感じていたんだろう、と思うのである。
コメント
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