尾形修一の紫陽花(あじさい)通信

教員免許更新制に反対して2011年3月、都立高教員を退職。教育や政治、映画や本を中心に思うことを発信していきます。

教員免許更新制のおかしさ

2011年03月06日 20時36分04秒 |  〃 (教員免許更新制)
 教員免許更新制度反対のブログのはずだから、今日はその話を書きます。
 この制度は多くの問題があると思いますが、前に書いたように制度の細部あれこれ以前に、制度の考え方自体が間違ってます

 更新講習を自分で見つけて、自費で受講して合格し、自分で手続きして更新しないと、失職する

 これが教師をバカにした制度だとわからない人がいる。官僚や政治家にいるだけでなく、教師自身にもいます。10年以上面倒くさい縛りばかり強くなって、頭を低くして、定年まで嵐が過ぎ去るのを待つしかないと思ってしまった先生たちです。
 慣れてしまったんです。自分の意見は教育行政に通らないということに。

 じゃあ、そういう「おどし」みたいなやり方で勉強させることを、教師自身はやっていないかって?
 やってますよ、もちろん。
 定期テストの成績が悪く、提出物や出席も悪い生徒がいたら、このままでは「1」になるよと言って、課題や補習や追試を行うことは高校ではよくあります。(今回もやった。)
 
 しかし、それは「そうされても仕方ない生徒」だからです。みんなチャンスを与えられたことに安堵し、一生懸命取り組んでいますよ。(つまり「おどし」じゃなくて「チャンス」だったわけ。)

 だけど、いつもちゃんと出席し、テストも90点くらい取ってた、そういう生徒が今までの点数は無視されて、「最後のレポート出さなきゃ、全員1」って言われたら、どうですか?
 (しかも、この課題提出は有料なんだよね。)

 じゃあ、今までのテスト頑張ったのは何だったの?普段の勉強なんてどうでもいいんですね。最後のレポートだけが重要なんだ、バカにするなよって思うんじゃないですか?

 つまり、研修せよとか、大学行って勉強せよとかいうなら、そういう制度があってもいいですよ。
 でも、それはペナルティ型ではなく、それをやったら昇給の条件になるとか、ボーナス型でなければ、効果はない、というか逆効果なんです。

 教師の大部分は、管理職でも組合のリーダーでもない。指導力もまあ、特に優れてもいないし、特に問題もない。特に問題もおこさず、普通に仕事している、大部分の「指導力フツー教員」にとって、なんで講習受けないと失職するかがわからない。

 普通に問題なく仕事してただけでは、なんでダメなの?

 こういう制度ができると、普通に仕事で頑張ることの意味が失われるのです

 今、社会の変容、教育界の変化の大きさに教師は戸惑い、疲れています。デジタル・ネイティヴ世代の若い教員もいるけど、数は少ない。50代以上の教師は、慣れないパソコンで書類作りばかり奔走させられ、新しい要求が行政からどんどん増え、生徒も変化してきて…。まあ、それらは何とか我慢して頑張るけど、教育行政がバカみたいな政策ばかり打ち出し、ほとんどキレかかっているんじゃないでしょうか?

 もうバーンアウト(燃え尽き)寸前の教員が多いと思います。
 この、教師はバーンアウト寸前という現状認識があれば、免許更新制なんて言わないはずです。
 だって、いやいややっても効果ないからです。むしろ、疲れて逆効果。

 ところが、この制度に賛成の新聞社もあるんですよね。別にいろいろな意見があるのはいいですけど、だったらまず自社にもそういう制度を作ってほしいです。
 私的企業だから、法律はいりません。自社で導入すればいいだけ。

 新聞記者は10年ごとに、自費で大学で講習しないとクビという制度です。そうすれば新聞記者の能力がアップして、やる気出すはずですから。

 
コメント (2)
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