尾形修一の紫陽花(あじさい)通信

教員免許更新制に反対して2011年3月、都立高教員を退職。教育や政治、映画や本を中心に思うことを発信していきます。

免許更新制度の問題点①

2011年03月25日 21時17分33秒 |  〃 (教員免許更新制)
 今月中は毎日書くけど、「教員免許更新制反対日記」だから、今日からその問題を何回か続けて。
 面倒くさい話が続くので、きっと順位は落ちると思うけど、今書いておかないと。

 前に何回か書いてますが、その時は「本質的におかしい」という話だったので、今回は細かい点を書きます。まず、なんで「35歳、45歳、55歳」なの?という問題。

 大学は浪人して入る人も多いし、入ってから留年する人も多い。社会人になってから入り直す人もいるし、大学院に進んでから教員免許を取る人も多い。以上の分類は僕の身近なところに皆いるけど、自分も浪人組です。従って、自分が教員免許を取ったのは23歳の時です。高校の免許は4年生大学卒が必須なので、一番若くて22歳ということになります。

 今だと35歳で最初の更新だから、あれ? 免許は10年期限というけど、最長で13年有効じゃないですか。
一方、27歳とか28歳で取ったら短いし、それより30歳過ぎて免許取ったら、数年で更新じゃないですか?

 つまり、有効期限10年と言いつつ、最初はバラツキがあります。これって不平等ではないですか?これは、更新講習を年齢で区切ったことからおこる矛盾です。教育委員会は何年に誰に免許を出したかをわかってるんだから、全員平等に「免許取得から10年で更新」にするのは、簡単なことです。

 でも、もっと分りやすい年齢による区切りを選んだ。一度社会人になってから、教員免許を目指す人にとっては、これは嫌がらせみたいなことだと思います。様々な経験を持つ人々を教師に迎えようという動きとも明らかに矛盾します。ここには、教員管理優先主義が見られます。

 もう一つ、そもそも「なんで55歳で更新なの?」です。
 現時点では公務員の定年は60歳です。だから、(この制度を作るなら)50歳が最後の更新であるべきです。(そうしたら僕はこの制度と関係がなかった。)

 いや、多くの学校で定年を過ぎた先生もいるではないかというかもしれません。その通り。東京都では65歳まで、再雇用制度などがあります。だから、65歳まで働けるんだったら、55歳で10年有効の更新をするのは正しいのではないか?

 いや、違う。それなら、「必ずすべての教師が、希望すれば65まで働ける」という制度にしてからにしてくれ、と言いたいです。65歳まで働ける権利があるというのなら、55歳の更新講習は問題ないです。
 でも、東京都では「再雇用は権利ではない」ということで、現に希望して面接に行っても落とされる先生が多数いました。裁判になった例も何件もあります。有名なところでは、卒業式の国歌斉唱に不起立だった先生たちが再雇用に不合格となり不当であると訴えている裁判。あるいは、三鷹高校前校長の土肥信雄さんも不合格となり裁判に訴えています。今はそれらの問題の中身には触れませんが、要するに60歳定年以後に働ける保証はないわけです。

 つまり、55歳の更新講習というのは、たった5年間の勤務を保障するだけのもので、これは明らかに不平等です。つまり、35歳や45歳の先生がお金と時間をかけて講習すれば、それ以後10年間の勤務が保証されるのに、55歳の場合は5年間の勤務しか保証されないのだから。(憲法14条違反)

 更新制度自体も頭に来るけど、55歳の場合はまた別の問題があるということでした。
 今日はこれで。もっと知りたい人は、土肥裁判(http://dohisaibansien.blogspot.com/)などを調べてみてください。
コメント (1)
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