「中央区を、子育て日本一の区へ」こども元気クリニック・病児保育室  小児科医 小坂和輝のblog

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待機児童問題解消の最も有効な手段は、政府が手当を出し、自由選択制育休(0~3歳児)環境をつくること

2016-06-12 09:46:28 | 子育て・子育ち
 本日、昨日と、朝日新聞もまた、待機児童問題で記事を連発しています。

 保育所開設、保育基準、保育士給料、育休など、問題点を指摘しています。


 私が委員を務める中央区議会福祉保健委員会でも、6月8日開催の委員会において、私も含め待機児童問題の討論がなされました。


 私は、現場の声を伺って、待機児童問題の最も有効な手段は、育休環境のもっと徹底した整備だと考えます。
 1歳児で預けられることが確実であれば、育休を早めに切り上げて0歳児から預ける必要がなくなります。
 あわせて、政府のほうでは、育休取得期間を、0歳、1歳、2歳の間までといずれでも親の側が自由に選択できる仕組みを早急につくるべきです。
 

 



〇どこに保育所をつくるか、その時の合意形成<記事1>
 
 子どもの声や車の通行量増加などへの懸念

 地中にある障害物の撤去

 建設コストの高騰

 合意形成<記事2>


〇保育士配置や面積基準の緩和<記事3>


〇待機児童の定義<記事3>

厚労省の定義では(1)自治体が通えると判断した施設に入らなかった(2)自治体が補助する認可外施設に入った(3)求職活動を休止した――などの場合は含まれず、認可施設に入れず育児休業を延長した場合を含めるかどうかは自治体の判断に委ねられる。
 

〇保育士の給料アップ<記事3>

独自に給料を加算する自治体も出ている。保育士不足の影響で、昨年4月の待機児童数が全国ワースト2位の625人だった千葉県船橋市。私立の認可施設に勤める保育士に月約2万5千円上乗せしてきたが、今年4月から約3万2千円へ大幅に引き上げた。臨時職員の時給も310円増額。関係者の間で「船橋手当」と話題を呼び、今年4月の待機児童は203人と大幅に減った。

東京都足立区も独自に人件費などを上乗せするが、保育士や保育所職員の給与を調べた結果、一部の法人では役員らに多額の報酬が支払われ、保育士の給与は低いままだった。

〇育休取得の徹底<記事4>

認可保育施設を使う0歳児は昨年4月時点で12万人を超え、国内の0歳児の12・5%に上る。待機児童の多い地域では1歳からの入所が難しく、保育所に入れるため意に反して育休を切り上げる保護者も多い。0歳児の保育に必要な保育士の数は1歳児の2倍で、コストもかかる。長期間休むと経済的に苦しくなる人には政府が手当を出し、0歳児を親が安心して育てられる環境が必要だ。



********朝日新聞20160612 1面****************************
http://digital.asahi.com/articles/ASJ6C5JLGJ6CUCLV008.html
<記事1>
開園中止・延期、13保育所 今春「住民との調整」理由に

2016年6月12日05時00分



 朝日新聞社が全国の主要82自治体に実施した待機児童調査で、今年4月に開園予定だったのに中止・延期された認可保育所などが、15自治体で計49園あったことが分かった。このうち「住民との調整」が理由だったのは、7自治体で計13園あった。子どもの声や車の通行量増加などへの懸念から住民が反対し、自治体に十分な説明を求める動きが広がっているようだ。▼4面=各地で「待った」

 調査は20政令指定都市と東京23区、昨年4月時点で待機児童が100人以上いた39市町の計82市区町が対象。中止・延期があった49園で影響のあった定員は計3230人で、今年4月時点の待機児童数(約1万4千人)の約2割に上る。

 理由で最も多かったのは、地中にある障害物の撤去などの「工事の遅れ」で20園。「住民との調整」の13園は2番目に多く、影響のあった定員は計1006人で待機児童数の7%ほどだった。建設コスト高騰による入札不調(7園)などを上回った。

 工事の遅れがあった自治体によると、数カ月の遅れで開園にこぎつけることが多いという。これに対し、住民との調整では「中止」が4園、「開園時期未定」の延期が6園あった。3園は7月までに開園する。

 東京都調布市では、住宅地に認可保育所を開設しようとしたところ、近隣の住民から「静かな地区なのに子どもの声でうるさくなる」「調理室から臭いが出るのでは」などと懸念する声が出た。住民説明会を4回開いたが、着工のめどは立っていないという。

 大阪府豊中市も住宅地への建設を予定していたが、「通学路で子どもがたくさん通るのに、保育園の送迎で車や自転車の通行量が増えては危険だ」という声が、周辺の住民から上がったという。説明会を2回開いたが折り合わず、事業者が撤退した。

 (藤田さつき)

 

 ■「住民との調整」による開園の中止・延期

        中止 延期 影響定員

千葉県市川市   1  0  108

東京都台東区   0  1   63

東京都世田谷区  0  5  455

東京都調布市   1  1  135

横浜市      0  2   75

神奈川県茅ケ崎市 1  0   50

大阪府豊中市   1  0  120

――――――――――――――――――

合計       4  9 1006

*********朝日新聞20160612 3面*********************
http://digital.asahi.com/articles/ASJ6C5RH3J6CUCLV00B.html
<記事2>


保育所、住民の理解カギ 開園に「待った」の声 待機児童調査


 認可保育所などの整備に対し、都市部で住民から相次いで「待った」をかけられている実態が、朝日新聞社の主要82自治体への調査で浮かび上がった。待機児童問題が深刻で、自治体が各地で整備を急いでいる中で反発が出ていると見られる。住民の理解を得ることも待機児童解消へのカギを握るようになっている。▼1面参照


 「以前は住民から『説明が足りない』との声はあまり聞かなかった」。開園が中止・延期になった複数の自治体の担当者らは口をそろえる。今年4月開園予定の施設の建設を中止した神奈川県茅ケ崎市は、住民の反対による断念は初めてだったという。担当者は「整備を進めるため、これまで進出していなかった住宅地にも建設するようになったためでは」と感じている。

 東京都調布市では昨年11月の着工前の説明会で、「着工が決まってから説明するなんて」と抗議が出た。住民を個別に回ったがうまくいかず、計画を断念。その前年までは同じスケジュールで進めていても住民から「反対は出なかった」(担当者)とする。

 待機児童数の全国最多が続く東京都世田谷区では、住民の反対で、今春の5園の開園を延期。担当者は「同時並行で何園もの整備を進めなければならない。以前のように集中的に住民と話し合いを進めるのが難しい」と悩む。

 解決策を探る動きもある。今春、認可保育所を開園できなかった千葉県市川市。事業者の公募要項を改め、「申請前」と「決定後」に住民説明を実施すると明確化した。住民の理解を十分に得る前に計画が進んだ、との反省からだ。

 東京都台東区は延期となった施設について、3カ月遅れの来月1日の開園予定にこぎつけた。送り迎えの自転車を収容する駐輪場を近くに整備し、周辺の道路には車道と路側帯を区分する白線を引き、住民への説明会は6回にわたった。担当者は「今後も密集地への整備が出てくるだろう。住民の声を丁寧に聞いて対応していきたい」と話す。(藤田さつき)



**********朝日新聞20160611 1面*********************
http://digital.asahi.com/articles/ASJ681JSLJ68UTFL001.html

<記事3>

待機児童数、高止まり 80自治体に1.4万人 朝日新聞社調査



 認可保育所などに入れない今年4月時点の待機児童=キーワード=数について、朝日新聞社が全国の主要自治体を調べたところ、回答した80自治体で計1万3991人いた。34自治体(42・5%)で前年より増加。政府が求めた保育士配置や面積基準の緩和を予定するとしたところはなく、この対策は空振りしそうだ。目標とする2017年度末までの「待機児童ゼロ」達成の厳しさが、改めて浮き彫りになった。▼2面=保育の質低下、自治体懸念


 ■保育基準緩和「応じる」ゼロ

 調査は20政令指定都市と東京23区、これ以外に昨年4月1日時点で待機児童が100人以上いた39市町の計82市区町を対象に実施。10日までに80自治体(97・5%)から回答を得た。

 待機児童の合計は前年より654人(4・5%)減ったものの、依然として高水準だ。東京23区は526人(10・9%)増の5358人で、都市部での増加が目立つ。保育施設に入れずに親が育休を延長した場合などを自治体が待機児童として数えなかった「隠れ待機児童」は、朝日新聞の集計で計4万3105人いた。

 待機児童が最も多かったのは東京都世田谷区で、前年より16人増の1198人。東京都千代田や名古屋、京都など7市区がゼロ。「隠れ待機児童」の最多は3110人の横浜市(待機児童7人)で、次が2548人の川崎市(同6人)だった。

 政府は3月、1人の保育士がみる子どもの人数や子ども1人あたりの保育スペースについて、国の基準より手厚い独自基準を設ける自治体に国基準まで緩めるよう求めた。これに対し、回答した中で独自基準がある55自治体のうち、48自治体が「緩和予定はない」、6自治体が「検討中」、1自治体が未回答で、現時点で緩和に応じる自治体はゼロ。「保育の質」の低下を懸念する意見が多かった。

 政府は保育士不足解消策として、給与を2%(月平均約6千円)上げるとした。これには46自治体(57・5%)が「不十分」と回答した。

 (伊藤舞虹、足立朋子)


 ◆キーワード

 <待機児童> 厚生労働省によると、昨年4月1日時点で全国に2万3167人いて、5年ぶりに前年より増えた。厚労省の定義では(1)自治体が通えると判断した施設に入らなかった(2)自治体が補助する認可外施設に入った(3)求職活動を休止した――などの場合は含まれず、認可施設に入れず育児休業を延長した場合を含めるかどうかは自治体の判断に委ねられる。こうしてカウントされなかった「隠れ待機児童」は同日時点で約6万人いた。



*********20160611 朝日新聞2面***********************
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12404031.html
<記事4>


保育の質低下、自治体懸念 規制緩和に慎重 待機児童問題


 待機児童問題が東京23区など都市部を中心に依然として深刻な実態が、朝日新聞の主要82自治体への調査で浮かび上がった。「保育園落ちた」との匿名ブログをきっかけに政治問題化し、政府は3月に急きょまとめた対策で規制緩和策を打ち出したが、現場との意識のずれもあらわになった。▼1面参照


 ■職員、減る余裕 保護者、事故に不安

 規制緩和が可能かどうか――。東京都中野区は4月、区内の私立認可保育所の28園に緊急アンケートをした。同区の保育士の配置基準は1歳児が5人に1人。政府の要請を受け入れれば国基準(6人に1人)まで緩めることになる。結果は回答した18園のうち16園が「出来ない」だった。

 その一つの認可保育所「とちの木保育園」は、1歳児4人に保育士1人とさらに手厚くする。保育士の女性(50)は以前、国基準に近い園で働いた。昼食は子どもの口にスプーンで食べ物を入れるだけで精いっぱい。「おいしいね」と声をかける余裕もなかった。「もっとしてあげたいのにとの気持ちが積み重なり、そこを辞めました」

 中野区の4月時点の待機児童は前年より85人増えて257人になったが、アンケート結果などを参考に当面は緩和しない方針だ。

 今回の調査では、国を上回る独自の基準を持つ55自治体で、緩和予定があるとしたところはなかった。「検討中」は6自治体あったが、このうち仙台市は保育園団体から緩和しないよう要望を受けており、「慎重に検討したい」(山田聡環境整備課長)とする。

 東京都世田谷区も検討中とした。0歳児1人当たり面積基準が5平方メートルで、国基準(はいはいする0歳児は3・3平方メートル)より広い。シミュレーションでは、国基準なら0歳児339人が新たに入れると出た。ただ、実施すれば来春に1歳児クラスに持ち上がり、子どもが1歳になってから職場復帰しようとした家庭の枠が減る。田中耕太保育課長は「実際の緩和は難しい」と話す。

 「保活」で苦労し、今も入所を待つ保護者にも緩和に否定的な声がある。

 8カ月の息子がいる東京都中央区の会社員女性(35)は今春、認可保育所など計約20園に落ちた。仕方なく育休を延長し、9月から月約12万円する認可外施設に預けて復職するが、緩和は望まないという。「国の基準を守った認可保育所でも死亡事故が起きている。いくら困っているといっても、緩和された園にわが子を入れたくない」


 ■月6000円賃上げ、「不十分」大半

 待機児童解消には保育士の給料アップも重要だ。平均賃金は全産業より月11万円安い月22万円。資格があるのに低賃金を理由に働かない人も多く、保育士不足で子どもの受け入れを制限する施設が相次いでいる。

 政府は来年度から月平均約6千円引き上げ、技能や経験のある人は全産業の女性労働者との賃金差(約4万円)をなくすとする。だが、回答した80自治体でこれを「十分」と答えたのは3自治体。46自治体が「不十分」とし、必要な月額(6択)は22自治体が最高額の「5万円以上」とした。

 独自に給料を加算する自治体も出ている。保育士不足の影響で、昨年4月の待機児童数が全国ワースト2位の625人だった千葉県船橋市。私立の認可施設に勤める保育士に月約2万5千円上乗せしてきたが、今年4月から約3万2千円へ大幅に引き上げた。臨時職員の時給も310円増額。関係者の間で「船橋手当」と話題を呼び、今年4月の待機児童は203人と大幅に減った

 ただ、周辺にしわ寄せがいった。近接する千葉市は今年、市立保育所で62人確保する予定で101人に合格を出したが、結局55人しか残らなかった。昨年ゼロだった待機児童は11人に。独自に加算する自治体に流れたとみており、担当者は「市単独での取り組みには限界がある」とこぼす。

 一方、人件費を上乗せしたとしても保育士に行き渡らないとの指摘もある。

 東京都足立区も独自に人件費などを上乗せするが、保育士や保育所職員の給与を調べた結果、一部の法人では役員らに多額の報酬が支払われ、保育士の給与は低いままだった。担当者は「増額するだけでなく、保育士の職位や仕事内容に応じた給付体系を設定するなど、現場に行き渡る制度が必要だ」と話す。

 (長富由希子、畑山敦子、藤田さつき)


 ■<考論>予算、子どもへ配分増額必要 保育園を考える親の会・普光院亜紀代表

 待機児童を減らすには保育士の賃金を抜本的に改善し、質を保った認可保育所を増やす必要がある。ところが、日本は子どもへの予算配分が欧州各国より少ない。女性活躍や出生率上昇を目標にするならもっと配分すべきだ。今後の少子化を見込んで施設整備に消極的な自治体もあるが、将来高齢者施設に転用するなど工夫はできる。

 今回の緊急対策のように、日本には質を落として安上がりに待機児童を減らそうとの考え方も根強い。幼児期の教育・保育が保障されると、所得・学歴の向上、犯罪率の低下といった社会への利益還元が大きいことが様々な研究で明らかにされ、先進国は保育の質を高める努力をしている。こうした理解を深めることも重要だ。


 ■<考論>0歳児育てられる働き方に 甲南大(社会保障論)・前田正子教授

 都市部では保育所に使える土地や建物が少なく、待機児童の解消には社会全体で働き方を見直すべきだ。その一つが育休取得の徹底だ。認可保育施設を使う0歳児は昨年4月時点で12万人を超え、国内の0歳児の12・5%に上る。待機児童の多い地域では1歳からの入所が難しく、保育所に入れるため意に反して育休を切り上げる保護者も多い。0歳児の保育に必要な保育士の数は1歳児の2倍で、コストもかかる。長期間休むと経済的に苦しくなる人には政府が手当を出し、0歳児を親が安心して育てられる環境が必要だ。

 長時間労働も見直すべきだ。入所選考を有利にするために時短勤務を取らない保護者もいるが、預かる保育士も疲弊させてしまう。
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