波紋

一人の人間をめぐって様々な人間関係が引き起こす波紋の様子を描いている

「世界への道」④

2020-07-23 18:12:45 | Weblog
新しい仕事についてから毎日の生活が変わった。それは仕事もさることながら日々新しい人との出会いがあることである。福島にいるまでの約30年は家庭だけの世界であり、家族だけの世界だった。当然そこで話すことも聞くことも僅かなことだけで、そこには何の発展もない。刺激も学びもなかった。そんな人生から全く新しい世界へと飛び立ったのである。毎日の出会い、毎日の出来事が新鮮であり、刺激であり、夢であった。そこには今まで自分が予測も考えも及ばない世界があり、そこから新しい刺激を受け学び、考え、進展があった。親会社へ行くこともその意味では大きな学びがあった・そして仕事が進むにつれて新しい世界は生まれるような気がしていた。台湾の仕事が始まるとそこから、海外からの新しい情報が入るようになった。アメリカ、ドイツ、イタリー。フランスから問い合わせがあり、新しい取引への交渉が始まった。自分では到底背負いきれない任務が次から次へと始まるのである。そこでⅮ社の国際事業部とコンタクトを取り、すべての交渉の取次ぎを委託することにした。さすがにエリートを取りそろえたグループで一人一人が素晴らしいタレントであった。私はその魅力に取りつかれて夢中であった。
自分が英語が堪能であり、それなりの経験と学力があれば、彼らともう少し対等に語り、仕事も進められるのだがと思いつつ、彼らの力を借りて日々の情報を進めていた。リーダーの部長は中でも優れた人であり、そのスタイルも洗練されてスマートであった。私は彼らと交わりを持っているときは、いつの間にか自分もその一人になっているような気がしていたのである。

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