KAZASHI TREKKING CLUB

四国の山を中心に毎週楽しく歩いています。

いざユートピアのお花畑へ、GO・GO!!

2023年07月22日 | 四国外の山
昨年の夏に大山ユートピア避難小屋の周りのお花畑の存在をネットで知った。その時は

シーズンを少し過ぎた頃だったので、『来年は出かけてみましょうと』と奥様たちと話を

していた。そして前回に三ノ沢から剣ケ峰に登った時に、剣ケ峰の山頂で出会ったご婦人に

お花畑の話をすると『今年はどこも花の開花が早いので、7月の初旬が見頃かも?』と教

えてもらったのだが、今月の第一・二週は都合が付かず、とうとう三週目に入ってしまい、

この間花はまだ咲いてるのかが気がかりだったけれど、YAMAPを見ていると、どうや

らまだ間に合いそうな雰囲気。それならと晴れの日を狙って金曜日に出かけましょうと言

う事になった。前日には中国地方が梅雨明けをして期待大で出かけてきた。





6時に坂出で待ち合わせ。自宅を5時に出て高速を西に走らせると、まだ陽が登る前の薄

っすらと朝焼けの空。『日本海側も晴れているかな?』と思いながらアクセルを踏み込む。




瀬戸大橋を越え中国道から米子道に入る頃に周りは次第に雲が多くなり、少し天気が怪し

くなってきたが、蒜山の手前になると一気に青空が広がった。『ヤッタ~!』溝口ICで

下りて県道45号線を桝水高原の中をグングンと高度を上げて行くと、南側から見る大山

とは全く違ったシルエットの、まさしく伯耆富士の大山が朝陽の中に浮かんでいた。




南光河原駐車場は満車状態だったので県営第4駐車場に車を停める。登山口へは南光河原が

一番近い駐車場なのだが、この第4駐車場からは大山の北壁が見渡せるビューポイントにな

っている。思っていた通り雲一つない空に大きな大きな大山が横たわっていた。







駐車場の上にあるナショナルパークセンターでトイレを済ませた後、道の両側に宿が並ぶ

御幸参道本通りをまずは大山寺へと足を運ぶ。本堂はまだ朱色の大きな扉を閉じていたが、

その扉の前で手を合わせ、本堂を左に回り込んで次に大山神社の奥宮へと向かう。自然石を

敷き詰めたこの参道の長さは日本一だそうだが、デコボコしていて歩きにくい。その参道が

終わると逆さ門と呼ばれる神門がある。この神門は大山寺本坊西楽院の表門(宮家のお成門)

にあったのが仏毀釈によりこの奥宮の門に移転された際に、そのまま移転したので後向きに

なったという。その逆さ門を潜り本殿へ。国内最大の権現造りの本殿は残念ながら改修工事

中でその全容は見ることが出来なかった。



















本殿を参拝した後、その社殿の右側奥の登山口から取り付いて行く。平日だったが梅雨明け

を狙って訪れた何組もの登山者と一緒になる。原生林の中の道は途中で大山頂上への道と分

かれ、左の下宝珠越の道へと進んで行く。道の脇にはヤマアジサイが咲いていた。このヤマ

アジサイは三鈷峰の尾根近くまで最後まで咲いていたが、尾根近くにあると濃い青色へと色

が変わっていった。











道は涸れ沢の中の道になり途中で一旦舗装された林道に飛び出す。ここからは『通行注意』

で、自己責任でと書かれた道標。後ろから登って来た常連の様な方が『ここから下宝珠越は

30分位ですよ!』と教えてくれる。麦わら帽子に小さなザック。地元の方だろういかにも

通い慣れているといった感じの男性だった。次第に涸れ沢は沢というより深く切れ込んだ谷

筋のような雰囲気になって来た。足元もゴロゴロ石が多く歩きにくい。









クサアジサイも咲いている



この辺りからヤマジノホトトギスが所々で見かける




振り返ると大山町の街並みと白い雲の下には日本海が見える。谷筋から尾根直下の直登の急

登になる。木の根に足の運びを戸惑いながら登って行くと、下宝珠越には25分ほどで着い

た。ここから左に行くと宝珠山。復路はこちらから下る予定だ。














下宝珠越からしばらくは緩やかな尾根道。密度の濃い樹林の中を進んで行くと右手にチラチ

ラと北壁が見え始めるが、駐車場で見たあの青空の面影は全くなく、白いガスの上にちょこ

っとだけ稜線が見える程度になってしまっていた。







中宝珠越の手前の1242mの標高点は展望台になっていた。最初は真っ白なガスで全く姿

が見えなかった三鈷峰が、しばらく待っているとその姿を現した。白い岩肌と緑のコントラ

ストは四国には無いどちらかと言うとアルプスの様な雰囲気の山容だ。視線を右に移すと北

壁の稜線が青空に映える。このまま晴れてくれればと話をしていると、後から来た大きな一

眼レフを抱えた男性が『昼からは晴れる予想です!』と言ってくれた。その言葉を信じて!
















標高点からは一旦下って行く。それもなかなかの急坂だ。『も~、どこまで下るんやろ?』と

先頭のあっちゃんが言っている。急坂を下りきった場所が中宝珠越になっていた。







中宝珠越を過ぎると右側にロープが張られた崩壊地。ここからは木の根を握ったり、ロープ

を握ったりしながらの変化のある道。
















さらにもう一ヵ所大きく崩れた場所があったが、足元はしっかりしているので問題はない。

次々と登ってくる登山者。そして上から降りて来たのは高校の登山部。この時間だとユート

ピア避難小屋で小屋泊だったのかな?










ガスが次々と現れては北壁の稜線が見え隠れしている。三鈷峰の尾根の延長にあるユートピ

ア避難小屋も薄く見える程度だ。







上宝珠越の道標はここまでの道標と同じように朽ちて落ちていた。冬は雪に埋もれてしまう

ので、どうしても腐るのが早くなるのだろう。この道標の左手に侵入禁止のロープが張られ

ていた。ここでも後から来た男性が、『ここが砂すべりの入り口ですよ』と教えてくれた。

前回の三ノ沢での下りで砂利滑りが楽しかったと言うあっちゃんの目が一瞬輝いた。すると

間髪入れずにルリちゃんが『もう変な事考えんとってよ!』と。すかさず私も『帰りにここ

から下ってしまうと宝珠山に行けませんけど、いいですか?』と言うと直ぐに諦めた。

相変わらず三鈷峰の稜線のガスは濃い。今日はこのままかな?







ホタルブクロ



上宝珠越からは左に回り込むように三鈷峰の尾根へのトラバースの道になる。このあたりか

ら道の脇には今までなかった花が目立ってくる。巨大なシシウド越しのユートピア避難小屋。

トラバースの道はキャラボクの中を続いている。何ヵ所も枯れた古木が横たわっていて、そ

の度跨ぎながらで時間がかかる。稜線が近づくと左手の景色が見え始める。天狗ケ峰からの

支尾根だろうか、その下の方には勝間ケルンと呼ばれている鉄骨の大きな三角錐が見える。







シモツケソウ



クサボタン



ダイモンジソウ










三鈷峰とユートピア避難小屋との分岐の尾根に出ると左手に三鈷峰、右手に象ケ鼻から16

36mの標高点へと続く稜線が見える。でも相変わらず北壁は姿を現せてはくれない。







コオニユリ






目の前に見えるユートピア避難小屋でお昼ご飯にすることにして尾根を歩いて行くと、前を

歩く奥様たちから歓声が上がった。『凄~い!』

稜線の両側に色とりどりの花が咲き乱れている。ネットで見た印象としてはナンゴククダイ

ソウとシモツケソウのお花畑かと思ったら、その他にも色々な花が咲いている。お花畑に感

激した奥様たちが『写真を撮って!』と催促してきた。『周りのお花に負けてませんよ!』

と胡麻をする。










ホゾバシュロソウ



シシウド




稜線上に建つユートピア避難小屋。その道筋に咲くヤマブキショウマ。そして左の山肌には

オオバキボウシとナンゴククガイソウの紫色。右の斜面にはシモツケソウの濃いピンクが目

立つ。例年に比べると今年は少なめだと書いている活動日記もあったが、それでもこの数は

特筆すべき、本当にお花畑だ!










クガイソウ



ただコンデジではこの辺りが限界。見た目ほどはきれいに写せない。








ユートピア避難小屋にザックを置いて取り敢えず象ケ鼻まで登ってみる。岩場になった象ケ鼻

までの間もお花畑が続いて行く。
















カラマツソウ







奥様たちは更に先の通行禁止の看板のある場所まで行ってみると言う。私はこのお花畑をもう

少しゆっくりと写真を撮りたくて引き返す。そして先に小屋まで戻ってお昼ご飯にする。小屋

の建屋の日陰に腰を降ろしていると奥様たちも戻って来た。先ほどまで大汗を掻いていたのに

動かなくなった途端に汗冷えで少し肌寒く感じ始めた。










ホソバヤマハハコ



アカモノ



ダイセンオトギリソウ



ダイコンソウ



シコクフウロ






その間次々と登ってくる登山者。お昼ご飯を済ませた後は三鈷峰へと向かう。その稜線上にも

山頂にも多くの人の姿が見える。



















分岐から一旦小ピークを越えて鞍部まで下ると、そこから先は西側が崩れた稜線になる。足

元の岩は割としっかりしているので手足を使って登って行く。ただ左手を見るとなかなか迫

力のある斜面になっている。
















山頂は多くの人で賑わっていた。そんな中でも話声で高知の人はすぐ分かる。その高知から

来た団体さんにシャッターを押してくれと頼まれる。二枚ほど撮った後、今度は私たちの写

真をお願いすると年配の女性が快く撮ってくれた。するとその中の一人の方から『すみませ

ん、ひょっとしてKAZASHIさん?』と声を掛けられた。『そうです!』と答えると、

YAMAPでフォローしているとしくんさんだった。『よく縦走であるかれてますよね』と

言うので『こちらの奥様たちと一緒に歩いています。いつもついて行くのがやっとなんです

。』と奥様たちを紹介する。としくんさんは登山会のメンバーと一緒に来ていて、今日は一

泊して明日は甲ケ山を歩くそうだ。甲ケ山と聞いて直ぐにあのゴジラの背が頭に浮かんだが、

としくんさんのメンバーを見ると年配の方も多い。さすが登山会、熟達者揃いのようだ。

相変わらず周りはガスの中。1242mの標高点で『午後からは晴れますよ!』と言った男

性の予想はどうやら今日は外れのようだ。するとまた今度は女性4人と男性1人のグループ

に写真を頼まれた。撮り終えると女性たちが山頂標を前に思い思いのポーズで写真を撮り始

めた。そのポーズを見て私も撮ってと真似をするあっちゃん。













時間は13時を廻っていた。少し予定より遅れ気味だったのでポーズ写真を撮って直ぐに下

山を開始する。













としくんさんとはユートピア避難小屋への分岐で分かれ、そのまま上宝珠越へと下って行く。

遅れ気味の時間を気にしてスピードを上げたいところだが、道は相変わらず倒木が多くてス

ピードはあまり上がらない。











中腹辺りまで掛った雲の下に大山から広がる緑の山裾が見えた。車を停めた辺りの建物も見

えるが、まだまだ随分と下の方に見える。崩壊地まで下って来るとさらに考霊山が正面に見

えた。そしてその奥には霞んではいるが名前の通り弓なりになった弓ケ浜が見える。










北壁はやはり全容を見せてはくれない。中腹の険しい岩肌と年々崩れていく石クズになった

沢。地形図には元谷沢、天狗沢、弥山沢と名前が載っているが、その地形が複雑すぎてどの

沢かはさっぱり分からない。










上宝珠越から中宝珠越も岩肌のロープ場や岩の間の道になっていてスピードは上がらない。

北壁は相変わらずだったが三鈷峰はガスが流れて午前よりはユートピア避難小屋とともに

綺麗に見えた。こちらも植生のある山肌はいいが、岩場の斜面は少しづつ崩れてきている

ように見える。













中宝珠越からの道はやはりブナの林が見事だった。けっして大きくはないがこれだけの数が

密集して並んでいるブナの尾根は見た事がない。










下宝珠越からは直進して宝珠山を目指す。流石に歩く人の数が今までと比べると少ないのか

足元が見えない程度に木々が茂っている。暑さ対策でズボンからショートパンツに最近切り

替えたので、枝葉が当たるタイツが破れはしないだろうかと気になる。宝珠山の山名札も同

じ様に朽ちて杭から落ちていた。今日三つ目のポイント。そういえばYAMAPのポイント

は三ヵ所だったが、その内のひとつも三角点ではないのも珍しい。







宝珠山からは下り一辺倒。最初は先ほどと同じようなブナ林。その内に笹が道を覆うように

なり、その笹道を抜けると一気に視界が広がった。中の原スキー場の最上部のリフトに出た。

冬場のスキーシーズンはここでリフトを降りて滑り始める場所だ。そのスキーで何度も来た

事のある場所だが、夏場のこの時期は初めて。その開放感に『ウォ~!』と声が出た。











正面には豪円山、その奥に考霊山。そして更にその奥には弓ケ浜。大山北壁は駐車場からし

かその姿は見ることが出来なかったが、この景色でそれも帳消し。素晴らしいの一言に尽き

る。それじゃボーゲン?パラレル?で下って行きましょう!













下草はそれほど伸びていなくて歩きやすかったが、それでも一直線の下り。しばらくすると

登山靴の中の指先が痛み始めた。ついでに膝と腰も・・・・・。










計画では最長7時間と読んでいたが、結局30分ほどオーバーして駐車場に着いた。やはり

途中で散々花の写真を撮っていたせいかな?着いた駐車場では直ぐに靴を脱ぎ、汗でびっし

ょり濡れた服を着替えて帰路につく。もちろん途中の蒜山SAでソフトクリームを食べたの

は言うまでもない。

奥様たちを坂出で降ろして自宅へと高速を走っていると、サイドミラーには陽が落ちた夕焼

けの空が写っていた。朝焼けから夕焼け。今日も一日よく遊びました!





他に見かけた花たち(一応調べたつもりですが間違ってたら・・・・ゴメンなさい)

ウツギ



ホツツジ



トキショウマ



トチバナニンジン



シモツケ



ダイセンオトギリ


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