KAZASHI TREKKING CLUB

四国の山を中心に毎週楽しく歩いています。

『線で繋ぐ西赤石山~阿讃縦走路』寒川山・翠波高原

2023年09月28日 | 四国の山


法皇山脈(ほうおうさんみゃく)は、石鎚山脈から笹ヶ峰の東部(ちち山別れ)で北東

部に出た支脈。海岸にほぼ並行して西赤石山、東赤石山、二ッ岳、ハネズル山、赤星山、

翠波峰などが連なっている。東に行くにつれて山の高さはおおむね低くなる。ハネズル

山から西は赤石山系とも呼ばれる。』


愛媛の山に出かける際にいつも通る高松自動車道。豊浜SAで奥様たちを乗せて西に向

かうと、県境のトンネルを抜け川之江JCTに差し掛かる辺りで、正面に翠波峰から続

く稜線が見える。以前にあっちゃんが『あの稜線に鉄塔がずっと続いて立っているとい

う事は稜線を歩けると言う事かしら?』と聞いてきたので、その時は『恐らく巡視路と

かもあるでしょうから歩けるでしょうね』と軽く答えていた。

引地山から剣山が繋がった後は花の山巡りをしていたのだけれど、その花の季節も終わ

りになると『西赤石山から東を繋げたいわね』と奥様たちが言い始めた。ただ西赤石山

から東に線を繋いで行っても翠波峰で終わったら何だか尻切れトンボのような感じがし

て気乗りがしなかったのだが、ふとあっちゃんの言葉を思い出し地形図を眺め、YAM

APを調べて見ると、翠波峰から平石山堀切峠から境目峠を通って五郎山まで歩いて

いる人がいた。この通りに歩くと赤石山系から法皇山脈、そして阿讃縦走路が繋がる事

になる。その話しをするとやはり奥様たちも乗ってきた。

但しここのところずっと腰の調子が悪いへっぽこリーダーにとって、赤石山系の周回コ

ースはいずれも距離といい累積標高といい結構厳しいので、まずはリハビリを兼ねて、

鋸山の東の寒川山から翠波峰間を繋げることにした。とは言えその区間は翠波峰から続

く舗装路。舗装路歩きだけに終わってしまったのでつまらないので、四国中央市側から

翠波峰に向かって何本かの破線が地形図に載っていたので、その登山道を利用して、翠

波峰へと登ってみることにした。




スタート地点は具定展望台の駐車場。地形図ではここから翠波峰の稜線に向かって、真

っすぐに破線が延びている。駐車場のトイレで用を済まして展望台の方を見て見ると、

何人かの人が大きなカメラを構えて立っていた。話を聞いてみると鷹の渡りの定点調査

をしていて、昨日は2000羽以上カウントされたそうだ。それにしても遠くを飛んで

いる鷹の一羽一羽の種類まで区別できるなんて感心する。




駐車場の反対側にあるコンクリートの階段が今日の登山口になる。スタート直後の急な

石段に直ぐに息があがる。最初の階段を登り終えると直ぐにもう一つ石段が現れる。










階段を登り終えると西側の寒川町辺りの眺望が広がっていた。今日はここ最近にない気

持ちのいい青空だ。





展望台にいた野鳥の会の人がこの破線の道は元々この道を通って翠波峰を越えて金砂湖

へと続く峠道だと教えてくれた。足元は石が転がり少し荒れてはいたが、その話しの通

り道ははっきりとしていて、以前から人の往来があったような雰囲気がした。














道には中庄公益会の境界と書かれた樹脂製の細長いポールが続いて行く。支尾根の東側

に道は続き、その支尾根を境に東側は植林地になっていた。自然林と人工林の境になる

急登をやり過ごすと作業道が現れた。










作業道が現れると今まで歩いてきた道が所々で分断され、歩かれなくなった道は荒れ始

める。境界ポールを目印に登ってはいくが掘割状になった道は倒木によって塞がれ歩き

づらくなり、その道を外れて歩きやすい所を探しながら右往左往する。











稜線の北側を縦横無尽に走る作業道を所々横断しながらとにかく稜線目指して登って行

く。陽の当たらない杉林の先が急に明るく日差しが届くと作業道になる。










作業道を横断しては杉林の中へ入るのを何回か繰り返して行くと、目の前に鉄塔が現れた。

四国中央東幹線伊方発電所から川内変電所を経て、東予変電所と讃岐変電所を結ぶ50

万ボルトの基幹送電線。阿讃縦走路でも見かけた送電線の鉄塔だ。そしてこれがあっちゃ

んが高松自動車道から見た稜線を東へと続いている送電線と鉄塔だった。













この鉄塔まで来ると稜線の林道はすぐ上にある。鉄塔から一旦巡視路を南に歩き、東西

に続く巡視路を跨いで林道に向かって直登する。少し藪いた茅とイバラを掻き分けると

林道へと飛び出した。スタート地点からここまで奥様たちに『今日は花をまったく見か

けませんね』と話をしていたのだが、林道に飛び出した途端に道の脇に小さな草花がた

くさん咲いていた。













ここからは予定通り寒川山に向かって舗装路を歩いて行く。今まで珍しく黙々と登って

いた奥様が一気におしゃべりタイムが始まった。その後ろを道の右左を覗きながら寡黙

に歩いて行くへっぽこリーダー。












舗装路の林道歩きに飽きたのかルリちゃんが、YAMAPを見ながら寒川山への尾根を

目指して道の脇の樹林帯へと入って行く。途中で尾根は豊郷ダム用の電波塔のフェンス

で囲まれていて、そのフェンスの周りを避けながら進んで行く。










最後に急登を登りきると、見覚えのある木々に囲まれた寒川山に着いた。四等三角点・

寒川山・816.97m










この寒川山が今日の折り返し地点。電波塔まで尾根道を戻りそこから舗装路を歩いて行

く。往路と同じように奥様たちはお話に夢中。私は兎に角花を見つけては写真を撮る。



ダイコンソウ


ツユクサ


チヂミガサ



道の南側の少し開けた場所からは猿田峠大森山が見える。そう言えば以前歩いた時、

大森山から佐々連尾山の稜線からこの翠波高原の建物が見えた。相変わらず道の脇に

は小さな草花があちらこちらに咲いている。ここ最近花を目当てに歩いて来て、写真

を撮った花の名前はYAMAPで同じルート歩いた人の活動日記に載っている花の名

前の写真を参考にしてきたが、さすがにこの道を歩いている人はほとんどいなくて、

なかなか花の名前を調べても分からない。



















寒川山から2kmほど歩いて翠波高原の北峰展望台に着いた。ここからは土居町辺りの

平野部が眺められる。それにしてもこの法皇山系の山裾から海までの距離があまりない

のがここから見るとよく分る。展望台の大きな傘の下で腰を降ろしてひとまず行動食を

口に入れる。











ここから少し東にある地形図に載っている破線を下って行く計画だったが、その道を降

りると下りきった場所からスタート地点の具定展望台まで国道の、しかも登りを2km

以上歩くことになる。また登って来た道を降りるか計画通りの道を下るかでしばらく話

をして、やはり違う道を下って行くことにする。

すると稜線からの下りの取付きとなる場所には、大きなトラックが停まって、伐採した

木材の積み込みをしていた。

トラックの最後尾の運転席に座った若者が、その先のアームを器用に操作して次々と丸

太を荷台に積み込んでいた。これがUFOキャッチャーなら、景品が撮り放題だな何て

思って歩きながら見ていると、あっちゃんは立ち止まってずっと見入っていた。

登山道の入り口は作業車で塞がれていたので、その先の斜面を下って登山道へと取り付く。

重機が通った跡はキャタピラで道が掘られてぬかるんでいた。電力の保線路の目印杭の

奥から下って行くと作業道になる。この道を歩いているYAMAPの活動日記のURLを

奥様たちに事前に予習するようにと送っていたが、その活動日記に書いていた通り、途中

で二股になった場所からは左の細い道に入る。











雨の流れで地表が洗われ、石が露出ていて歩きづらそうにしてルリちゃんが下っている。

すると次にまた重機が通った後の作業道に出た。ぬかるんだ道は少し粘土質なのか、登

山靴の裏に冬山のアイゼンの雪ダンゴのように土がどんどんついてくる。







すると前方で重機が動く音が聞こえてきた。ぬかるんだ道を滑らないようにその音のす

る方向に下って行くと、先ほどの重機とまた違った重機が作業をしていた。伐倒された

木を掴んでそのまま枝払いをして丸太にしていた。しばらくその作業を見ていると運転

席の人がどうやらこちらに気づいてくれた。運転席から降りて来たのはまた若者だった。

『ここ通ってもいいですか?』と聞くと、重機の左手を指さし、『この横が登山道です

よ、途中に伐採した木が倒れていると思うので気を付けてください!』と教えてくれた。

教えてもらった通り重機の左横を通らせてもらうと、左に下って行く道があった。

(この道もYAMAPに載っていた)







作業道からは一旦離れて下って行くと、作業していた若者が言っていた通り伐採した木

が道を塞いで積み上げられていた。そこからまた作業道に出て下って行くと木々の間か

ら市街地が見え始めた、














さらに下って行くと右手の視界が一気に広がり、広大な伐採地の上部に飛び出た。正面

には四国中央市の製紙工場の大きなエントツが見える。すると一人の男性の姿が。最初

は林業の人が休憩しているのかと思ったが、近づいて見ると椅子に腰かけた膝の上に大

きなカメラが見えた。話を聞いてみるとこの下に見える正法寺山城跡のこんもりとした

ピークの沿って気流が登っていて、その気流に乗って舞い上がる鷹の写真を撮ろうと、

ここまで登って来たそうだ。それにしても一人でこんな山中まで歩いて来て、一日中座

ってシャッターチャンスを狙っているなんて・・・・。

それでもやはり退屈していたのかこちらから質問するネタが切れても、次から次と話を

始めてなかなか離してくれなかった。(笑)














四国中央市の奥には観音寺市と七宝山善通寺五岳まで見える久しぶりの快晴。視界を

遮るもののない伐採地からの景色を眺めながら尾根に沿って下って行く。先ほど見えた

三角のピークの城跡の左側を巻くようにして歩いて行くと、傾いた正法寺山城跡の道標。










さらに下って行くと花崗岩の立派な石碑が建っていた。『保安林改良事業』と書かれた

記念碑の様だが、ほとんどここまで来る人もないこんな場所に・・・・?。

伐採地からは道も明瞭で、どんどんと下って行く。














伐採の作業を眺めたり、鳥好きのおじさんと話をしたりしながら比較的ゆっくりと下り

1時間30分ほどで国道に飛び出した。







ここからは国道の舗装の上を2kmほど駐車場まで歩いて行く。朝晩は涼しくなってき

たとはいえ、日中は30度を軽く超えている。その日差しを浴びたアスファルトからは

熱気が上がってくる。出来るだけ日陰を選んで歩いて行くがそれでもやはり暑い。国道

からは先ほど下ってきた支尾根が見えた。











30分ほど歩いてシャリバテ手前で何とか駐車場に辿り着いた。具定展望台で速攻でお

弁当のおにぎりを口に入れ何とか落ち着く。展望台には朝以上に調査の人たちが集まっ

ていた。














着替えも済ませお昼ご飯も食べ終えた後、次週の予定となる翠波高原北峰展望台から

平石山、そして堀切峠までの道を確認するために車で移動をする。翠波高原展望台か

らは金砂湖を見下ろしその周りの峰々が眺められた。観光名所となっている高原のコ

スモス畑は、今年は台風の影響で散ってしまったそうで、きれいに刈り取られていた。














次回歩く予定の堀切峠までは舗装路が続いている。その車道以外を歩けないかと道の両

側を三人で確認しながら車を走らせるが、木々の茂り具合や尾根の地形を見る限りなか

なか厳しそうだ。堀切峠までは車道の距離が片道10km。舗装路を避けて藪の中を歩く

となったらどれくらい時間がかかるだろうか?

いずれにせよ石鎚山系から赤石山系、そして阿讃縦走路を繋ぐ新たな目標に向かって!