KAZASHI TREKKING CLUB

四国の山を中心に毎週楽しく歩いています。

相変わらずの天候不順で花散策に皿ケ嶺へ!

2023年09月13日 | 四国の山


先月のお盆前に剣山を登った時も『雨が降っても安全に歩ける山』と言う事で、少し濡

れながらも歩いた。それ以降ずっと週中の天気がスッキリとしない。今週も降水確率が

高く、特に午後からの天気が怪しい。奥様たちは『線で繋ぐ』の次のコースの縦走をご

所望していたが、なかなか厳しいコースで更にエスケープルートのない縦走路では天気

が崩れると・・・・。その上私自身の腰の調子がまだイマイチだったので、天気が良く

なる日を選んで『線で繋ぐ』シリーズを再開する事にして、今日も雨が降っても気軽に

歩ける皿ケ嶺を『意外と沢山花が咲いています』と提案すると喜んで了承して頂いた。


いつもよりゆっくりめで豊浜SAで待ち合わせをして、上林森林公園の駐車場に9時前

に着いた時には、まだ車は2台程度しか停まっていなかった。

駐車場からまずは風穴への遊歩道を登って行くとさっそくハガクレツリフネの群生が出

迎えてくれた。先週の剣山でも見かけたがここまでの群生を見るのは初めてだった。



ハガクレツリフネ





その群生に目がいきがちだが、他にも色々な花が咲いている。『これじゃ~山頂に着く

のは何時になるか分かりませんね』と言いながらも、立ち止まっては写真を撮る。

ダイコンソウ


キバナアキギリ





ハガクレツリフネの群生と同じくらい、花の終わったギンバイソウが斜面を埋め尽くし

ていた。駐車場から一緒になった女性があっちゃんに『ギンバイソウ』だと教えてくれ、

『可愛らしい白い花が好きなんです』と話してくれたそうだ。これだけの数の花が一斉

に咲いたらそれはそれは見応えがあるだろう。また7月の花が咲く季節に是非再訪して

みたい。

風穴の囲いの中からはいつもの様に冷気が上がってきていた。その囲いの横を通って遊

歩道から直登の道を登って行く。

ギンバイソウ





オタカラコウ


アキチョウジ


ヒカゲミツバ




この皿ケ嶺には何度も来ているけれど、ここまで沢山の花が咲いているのを見たのは初

めて。と言うか花を見つけながら歩く事が今まではなかったから。意識が変わると周り

の見えるものも変わっていくと言う事だろう。



シコクブシ


デバコモミジガサ




さすが皿ケ嶺は花の山。この季節だけでなく春にも秋にもまた違った花が次々と咲いて

いる。その花を目当てに松山市内からも気軽に来られると言うのもあって、地元の人た

ちが再三訪れ愛されている山だ。高知でいえば工石山になるのだろうけれど、地元香

川では、大勢の人が毎日でも登っている里山はたくさんあるけれど、ここまで花の咲く

山はなかなか無い。(知らないだけかも?)






シロヨメナ


オオバショウマ


レイジンソウ



引地山と皿ケ嶺への分岐を過ぎると道は東に向かって緩やかに続いて行く。



キンミズヒキ


オタカラコウ



それにしても三人とも写真撮影で前になかなか進まない。すると前を歩くお爺さんが

一人。すれ違いざまに『今日は11時位から雨が降るかもしれんな』と。『昨日もお

昼くらいに急に降りはじめたからな』と話してくれた。どうやらほぼ日参している常

連さんのようだ。そう言われて北側の空を見上げると、雲の色が濃くなってきていた。

















ベンチの並ぶ場所を過ぎると竜神平も近い。






ミヤマタニソバ


ヤブタバコ


タニソバ



竜神平上林峠への分岐からは更に東に少し遠回りして竜神平へ行くことにする。ここ

までの道と比べてあまり踏まれていないのか、所々で笹が道に被さりその露で足元が少

し濡れてきた。ミズナラブナの大木が点在する森の中の道。その静かな森の中で鳥の

鳴く声だけが大きく響いて聞こえている。














上林峠との分岐からは右に折れて竜神平へと向かっていく。ほぼ平らな笹の林床の中の

道に陽が差し込むと、雨の後の森の中で植物も昆虫もイキイキとしていた。

















その森の中から忽然と現れる竜神平。視界と青空が一気に広がり、足元には可愛らしい

タニソバの群生。白い花びらの先がちょこっと紫色に染まった姿が何とも言えない。



タニソバ










竜神平は、ブナ林に囲まれた盆地状の広大な湿原。以前はミズゴケに覆われた湿地だっ

たが、乾燥化が進みクマザサなどが侵食している。その湿原の中の道を歩いて行くと、

またまた可愛らしいツリガネニンジンがあちらこちらに咲いていた。






ツリガネニンジン


アキノキリンソウ






昔は小川が流れていたというその名残りで、小さな流れに架かった橋を渡って行くと、

この龍神平のシンボル愛媛大学の竜神小屋も近い。奥様たちは相変わらず度々立ち止ま

って撮影タイム!






サワヒヨドリ


イヌタデ





竜神小屋の前では何組かがベンチに腰掛け休んでいた。ここで何も言わないのにあっち

ゃんがザックからお弁当を取り出し始めた。すると横にいたルリちゃんが『え、ここで

お昼?』と聞くと、当然のような顔をして『そうよ!』と答えた。時間はまだ11時だ。

仕方がないのでルリちゃんも私もベンチに腰掛けお昼ご飯にする事に。




お弁当を食べている間も次々と歩いてくる人達がいた。途中で追い越したお爺さんもや

って来た。するとそのお爺さんが駐車場で一緒になった女性を連れて湿原の中を案内し

始めた。その様子を注視しているあっちゃんと私。『二人が立ち止まった場所には珍し

い花が咲いているはず』と、同じことを考えていたようだ。お弁当をさっさと食べ終え

て二人が立ち止まった場所まで行ってみるとヌマトラノオが咲いていた。



ヌマトラノオ







そのお爺さんが戻ってベンチで腰掛け休んでいると、周りに同じような常連さんが集ま

り挨拶をしている。その周りでも小さな花たちが咲いている写真を写していると、奥様

たちがその常連さんたちに話しかけて、湿原の中の道案内を頼んでいた。案内された先

には、これまた可愛らしいアカバナが咲いていた。



ゲンノショウコ


ダイコウソウ


タニソバ


アカバナ







アカバナを写真に撮り終わってベンチまで戻って腰掛けていると、今度は違う人の後ろ

に付いて歩くあっちゃんが手招きしている。



コオニユリ




森の中をどんどん進む常連さんの後ろを付いて行くと、ひっそりと佇んでいるアケボノ

シュスランの姿があった。まだ咲きはじめで花は開いていなかったが、確かにランの花

のように見える。






アケボノシュスラン




案内してくれた常連さんと色々話をすると、『おいわさんのHP』にも登場するWさん

との事。『違う場所にももう終わりかけだけれど咲いている』とその場所を教えてくれ

て『せっかくだから是非見て来てください』と。その教えてもらった場所には確かに茎

の上端の一輪だけ終わりかけだが花が残っていた。それでも奥様たちを大喜びをしている。

アケボノシュスラン






花散策に満足した奥様たちは今日は山頂へ登らないでいいと仰った。腰の調子が本調子

でない私も、無理に山頂にこだわる必要もなく、今日はこのまま引き上げることにする。














いつもなら超特急で下って行く二人も、今日はやはり所々で立ち止まっている。登りで

は気づかなかった花も時々目につく。




オオバヨメナ


フシグロセンノウ






風穴近くの遊歩道まで降りてくると足元に赤く色づいたモミジの落ち葉が。見上げて見

ると一本だけ色づいて木があった。ここでもそろそろ秋が近づいている。そんな秋の気

配を感じながら着いた駐車場には、十台以上の車が停まっていた。秋の花が終わると紅

葉の山にとほぼ年中楽しめる皿ケ嶺を後に、いつになく早めに帰宅となった。