理化学研究所(理研)と韓国漢陽大学の国際共同研究チームは、安全かつ温和な条件で、1モル%未満の少量で機能し、脱水・脱アルコールを必要としないエステル化、トランスエステル化に有効な新しい多孔質の高分子酸触媒「フェノールスルホン酸樹脂触媒(PAFR)」の開発に成功した。
エステル化反応、トランスエステル化反応は、医薬品合成、機能性材料合成、各種石油化学製品などの製造で用いられる応用範囲が広い反応であるため、重要視され、さらに、バイオディーゼル燃料 の合成にも応用されている。
しかし現状では、触媒として硫酸など危険性の高い劇物が数モル%以上使用され、また反応過程で生成(副生成)する水、アルコールの除去を要したり、高温条件が必須であるなどの問題があった。
今回、国際共同研究チームは、この問題を克服するため、多孔質高分子酸触媒PAFRを開発した。
PAFR触媒は1モル%未満で機能し、各種カルボン酸とアルコールのエステル化反応、各種エステルとアルコールのトランスエステル化が効率的に進行する。対応するカルボン酸エステルを高い収率で得られるだけでなく、副生成する水もしくはアルコールの除去も必要ない。
また、脂肪酸を原料としたバイオディーゼル燃料(FAME)の効率的合成にも成功した。