“科学技術書・理工学書”読書室―SBR―  科学技術研究者  勝 未来

科学技術書・理工学書の新刊情報およびブックレビュー(書評)&科学技術ニュース   

★科学技術ニュース★理研など、副生成物処理が不要なエステル化反応の触媒を開発

2016-05-27 11:23:06 |    化学

 理化学研究所(理研)と韓国漢陽大学の国際共同研究チームは、安全かつ温和な条件で、1モル%未満の少量で機能し、脱水・脱アルコールを必要としないエステル化、トランスエステル化に有効な新しい多孔質の高分子酸触媒「フェノールスルホン酸樹脂触媒(PAFR)」の開発に成功した。

 エステル化反応、トランスエステル化反応は、医薬品合成、機能性材料合成、各種石油化学製品などの製造で用いられる応用範囲が広い反応であるため、重要視され、さらに、バイオディーゼル燃料 の合成にも応用されている。

 しかし現状では、触媒として硫酸など危険性の高い劇物が数モル%以上使用され、また反応過程で生成(副生成)する水、アルコールの除去を要したり、高温条件が必須であるなどの問題があった。

 今回、国際共同研究チームは、この問題を克服するため、多孔質高分子酸触媒PAFRを開発した。

 PAFR触媒は1モル%未満で機能し、各種カルボン酸とアルコールのエステル化反応、各種エステルとアルコールのトランスエステル化が効率的に進行する。対応するカルボン酸エステルを高い収率で得られるだけでなく、副生成する水もしくはアルコールの除去も必要ない。

 また、脂肪酸を原料としたバイオディーゼル燃料(FAME)の効率的合成にも成功した。

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●科学技術書<新刊情報>●「脳をどう蘇らせるか 」( 岡野栄之著/岩波書店)

2016-05-27 11:22:38 | ●科学技術書・理工学書 <新刊情報>(2018年5月4日以前)●

 

<新刊情報>

 

書名:脳をどう蘇らせるか 

著者:岡野栄之
 
発行:岩波書店(岩波科学ライブラリー)

 神経が大人になっても作られていた。衝撃の発見は研究に没頭していた著者に臨床への夢を呼び覚ます。治らない脳や脊髄を蘇らせたい。その思いがiPS細胞を使った脊髄損傷の再生治療として実を結ぼうとしている。発見までの紆余曲折と治療への長い道のりで培ってきた技術と絆を礎に、中枢神経系再生の構想は大きく広がる。

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●科学技術書<新刊情報>●「コロイド・界面現象の測定ノウハウ」(阿部正彦/日刊工業新聞社)

2016-05-26 06:21:48 | ●科学技術書・理工学書 <新刊情報>(2018年5月4日以前)●

 

<新刊情報>

 

書名:現場で役立つ コロイド・界面現象の測定ノウハウ

編著:阿部正彦

発行:日刊工業新聞社  

 界面活性剤を利用する際の界面の状態の正確な測定と評価法を網羅的に紹介。商品開発現場などで、界面活性剤が関わる種々の測定法から得られるデータの正しい読み解き方や測定に際したキーポイントなどをわかりやすく解説。

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★バイオニュース★日本製紙、石巻工場に世界最大級のCNF量産設備を建設

2016-05-26 06:21:26 |    ★バイオニュース★

 日本製紙株式会社は、石巻工場(宮城県石巻市)に、セルロースナノファイバー(CNF)を大量生産する設備の建設を決定した。

 これは、TEMPO触媒酸化法により化学処理した木材パルプからCNFを量産する設備であり、投資金額は16億円で設備能力は年間500トン、稼働開始は2017年4月を予定。

 これにより、石巻工場は、「木とともに未来を拓く総合バイオマス企業」の基幹工場のひとつとして、印刷・情報用紙から、発電事業、リサイクル事業に加え、新素材であるCNFの生産拠点として基盤強化を図る。

 TEMPO酸化CNFは、木材パルプをナノレベルまで細かく解繊したもので、繊維幅が3~4nmと均一に完全ナノ分散したセルロースナノファイバーであり、結晶性が高い繊維であることが特徴。

 また軽量かつ弾性率が高く、熱寸法安定性が良好で、ガスバリア性が高い、といったこれまでの素材にはない優れた特性を有している。

 さらに、CNF表面にカルボキシル基が高密度で規則的に配列しているため、金属イオンや金属ナノ粒子を大量に担持させることができ、様々な機能付与が可能です。

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★科学技術ニュース★東北大と東大、大環状有機分子から全固体リチウムイオン電池の負電極を開発

2016-05-26 06:21:02 |    化学

 東北大学と東京大学の共同研究グループは、全固体リチウムイオン電池の新しい負電極材料を開発した。これは、世界で初めて、「大環状有機分子がリチウムイオン電池負電極の好適材料となる」ことが示された研究成果。

 この新しい分子材料(「穴あきグラフェン)分子(CNAP)は、汎用されている黒鉛(グラファイト)電極の2倍以上もの電気容量を実現し、その大容量は65回の充放電後にも保たれた。

 また、共同研究グループは、分子材料内に精巧につくりこんだ細孔が、大きな電気容量の秘密であることを解き明かした。

 新材料のもととしたのは「ナフタレン」。防虫剤として良く知られた分子「ナフタレン」だが、それを化学の力により「大容量電池のための材料」に変換できることが示された。

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●科学技術書<新刊情報>●「IoT時代のエクスペリエンス・デザイン」(朝岡崇史著/ファーストプレス)

2016-05-24 17:46:49 | ●科学技術書・理工学書 <新刊情報>(2018年5月4日以前)●

 

<新刊情報>

 

書名:IoT時代のエクスペリエンス・デザイン

著者:朝岡崇史

発行:ファーストプレス 
 
 既存のサービス業はもちろんのこと、すべての製造業は新しい形のサービス業へと形を変える。AIによるビッグデータ活用とアナリティクスにより、顧客の近未来のエクスペリエンスの予測と改善提案が企業のサービスの根幹として提供され続けることになる。いずれにしても変化の激しいマーケットでは市場の競争ルールをその手にしたものだけが生き残るのだ。エクスペリエンスとエクスペリエンスの戦いになる。

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★バイオニュース★ユーグレナ、資源エネルギー庁の補助事業者に選定

2016-05-24 17:45:48 |    ★バイオニュース★

 ユーグレナ(本社:東京都港区、社長:出雲充)は、経済産業省資源エネルギー庁の「平成28年度微細藻類燃料生産実証事業費補助金」において補助金事業者として採択を受けた。
 
 同補助金は、福島県の土着の微細藻類を活用した国産バイオ燃料の生産システムの確立に向けた実証事業への一部補助を行うことにより、微細藻類由来の国産バイオ燃料の生産技術の確立を図り、安定的なエネルギー需給構造の構築を図ることを目的としたもの。

 研究期間は、交付決定日から2017年3月末日まで。

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★科学技術ニュース★NEDO、EVでガソリン車並みの走行距離を目指すプロジェクト始動

2016-05-24 17:45:28 |    電気・電子工学

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、リチウムイオン電池(LIB)の性能を超える革新型蓄電池の実用化に向けた共通基盤技術「革新型蓄電池実用化促進基盤技術開発(RISINGII)」の開発に着手する。

 同プロジェクトでは、大学・研究機関、企業の連携(集中研方式)により、エネルギー密度や耐久性、安全性などの車載用蓄電池に必要な性能を高いレベルで両立させる研究開発を、容量5Ah級の蓄電池を試作して実施。

 2030年にガソリン車並みの走行性能を有する普及価格帯の電気自動車(EV)などへの車載化を目指す。

 NEDOは「革新型蓄電池先端科学基礎研究事業(RISING)」(2009年度~2015年度)において、2030年にガソリン車並みの走行性能を有するEV等に搭載されるオリジナリティの高い革新型蓄電池の基礎研究に取り組んできた。

 その結果、3タイプの革新型蓄電池(亜鉛空気、ナノ界面、硫化物)で、エネルギー密度300Wh/kgを検証し500Wh/kgの見通しを得た。

 2020年代前半までに革新型蓄電池の有望な電池タイプ・構成材料を絞り込んでセルの基本仕様を固め、電池モジュール・システムの開発フェーズに移行する。

 同事業終了後に、企業における実用化開発が可能となるところまで、研究フェーズを移行させることを目指す。

 委託先は、京都大学、トヨタ自動車、パナソニック、ソニーなど。


 

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●科学技術書<新刊情報>●「中央銀行が終わる日」(藤川 浩著/オーム社)

2016-05-24 17:45:04 | ●科学技術書・理工学書 <新刊情報>(2018年5月4日以前)●

 

<新刊情報>

 

書名:中央銀行が終わる日~ビットコインと通貨の未来~
 
著者:岩村 充

発行:新潮社

 マイナス金利の衝撃! フィンテックの台頭! 新たな通貨戦争が勃発する――。日本銀行の金融政策はなぜ効かなくなったのか? 仮想通貨はなぜお金として機能するようになったのか? 「金利付き貨幣」の出現は、経済の仕組みをどう変えるのか? 日銀を飛び出した異能の経済学者が、「貨幣発行独占」崩壊後の新しい通貨システムを洞察する。マイナス成長がもたらす大格差時代を生き抜くための必読書。

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●科学技術書<新刊情報>●「エネルギー科学」(名古屋大学未来材料・システム研究所編/コロナ社)

2016-05-23 10:08:45 | ●科学技術書・理工学書 <新刊情報>(2018年5月4日以前)●

 

<新刊情報>

 

書名:境調和型社会のための   エネルギー科学

編者:名古屋大学未来材料・システム研究所

著者:長崎正雅ほか

発行:コロナ社

 新しい持続的エネルギー生産技術、新しいエネルギー変換技術、新しいエネルギー輸送・貯蔵・利用技術の3章から構成。原理と特徴、開発の現状および今後の課題を、それぞれの専門家がこれまでの実績を踏まえて科学的な見地から解説。

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