“科学技術書・理工学書”読書室―SBR―  科学技術研究者  勝 未来

科学技術書・理工学書の新刊情報およびブックレビュー(書評)&科学技術ニュース   

●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「気候変動の真実」(スティーブン・E・クーニン著/日経BP)

2022-04-14 09:36:30 |    宇宙・地球



<新刊情報>



書名:気候変動の真実~科学は何を語り、何を語っていないか?~

著者:スティーブン・E・クーニン

解説:杉山 大志

訳者:三木 俊哉

発行:日経BP

 なぜ気候科学はねじ曲げられて伝えられるのか?「私がこの本を書いたのは、気候科学やエネルギーに関する重要な情報が歪められているからだ。純然たるデータや科学文献の記述が、政府による評価報告書、マスコミを経由して、一般市民や意思決定者へ伝えられる過程でねじ曲げられてしまう。私が望んだとおり、専門家でない読者の方々は、(米国での出版後)本書の内容が公正でわかりやすいと評価してくれた。他方、予想したとおり、一部の気候科学者は本書を批判し、私の動機や資質に疑問を投げかけた。だが、内容面の大きな誤りを見つけることはできなかった。(「日本語版発行に寄せて」より)
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●科学技術ニュース●IHIと富士通、ブロックチェーン技術を活用しCO₂削減量などの環境価値取引を実現

2022-04-14 09:36:00 |    ★炭素ニュース★
 IHIと富士通は、カーボンニュートラルの実現に向けた貢献と、新たな環境価値取引エコシステムの市場活性化を目指した共同事業プロジェクトを2022年4月1日より開始した。

 同共同事業プロジェクトは、現在世界規模で取り組みが進められている、企業や国を超えた効率的なCO₂削減量などの環境価値取引市場に対して、両社の持つブロックチェーン技術やカーボンニュートラル関連技術に基づくビジネス知見を活用した環境価値流通プラットフォームの市場適用と活性化に向けて取り組むもの。

 具体的には、IHIのIoT基盤「ILIPS」(アイリップス/IHI group Lifecycle Partner System)を通じて収集されたデータから算出したCO₂削減量を環境価値としてトークン化し、異なるブロックチェーン同士を安全に相互接続する富士通の「ConnectionChain」を活用して環境価値取引市場に流通させるプラットフォームを立ち上げ、効率的な環境価値の流通を目指す。

 両社は、同共同事業プロジェクトを通じて立ち上げるプラットフォームにより、世界各国の企業が創出するCO₂削減量などの環境価値の効率的な流通を目指すとともに、世界共通の目標であるカーボンニュートラル社会の実現に貢献することを目指す。<富士通>
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●科学技術ニュース●量研、燃料電池触媒の酸素還元反応活性を2倍以上向上させることに成功

2022-04-14 09:35:25 |    電気・電子工学
 量子科学技術研究開発機構(量研)量子ビーム科学部門高崎量子応用研究所の八巻徹也次長・プロジェクトリーダー、山本春也上席研究員、木全哲也協力研究員(当時は実習生)、東京大学大学院工学系研究科(研究科長:染谷隆夫)の毛偉特任研究員(研究当時は助教)、寺井隆幸名誉教授(研究当時は教授)、日本原子力研究開発機構(理事長:児玉敏雄)の松村大樹研究主幹、下山巖研究主幹らを中心とする研究グループは、イオンビーム照射した炭素材料に白金を保持させる新手法によって、固体高分子形燃料電池(PEFC)の触媒性能を2倍以上向上させることに成功した。また、この性能向上には、炭素材料に導入した欠陥構造と白金(Pt)微粒子の相互作用に起因するメカニズムが関与することを明らかにした。

 今回の成果は、同研究グループが掲げた目標「酸素還元反応(ORR)活性と耐久性を掛け合わせた性能で10倍向上」の達成をぐっと手繰り寄せるもの。

 水素エネルギーはカーボンニュートラル実現の切り札の一つです。水素を使う燃料電池自動車(FCV)の普及拡大には、搭載するPEFCのコスト低減が不可欠で、そのカギを握るのがPEFC酸素極のORR触媒という材料。現在のORR触媒には、高価なPtの微粒子を炭素材料に保持させた「Pt微粒子/炭素材料」が大量に使われており、Pt使用量を削減するためのORR活性と耐久性の向上が技術課題になっている。

 そこで同研究グループは、Pt微粒子と炭素材料との界面で発現するPtと炭素の相互作用を使ってPt微粒子の電子構造を操作すれば、この課題を克服できると考えた。

 量研のイオン照射研究施設(TIARA)を用いて炭素材料に欠陥構造を導入し、その表面にPt微粒子を形成させるという新しい方法で触媒を作製したところ、欠陥導入がない場合と比較して2倍以上優れたORR活性を実現できた。

 また、放射光実験と理論計算により、高活性化のメカニズムがPt微粒子から炭素材料への電荷移動に伴う界面相互作用の強化に起因したPtの酸化抑制にあることを突き止めた。

 同研究グループは、FCVの本格的普及に向け、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が策定した燃料電池・水素技術開発ロードマップを参考に、「ORR活性と耐久性を掛け合わせた性能で10倍向上」という目標を掲げて研究を進めている。

 イオンビームを用いた欠陥構造の導入による界面相互作用の強化は、ORR活性向上だけでなく、ORRに伴うPt微粒子の劣化抑制の効果も示唆している。同研究グループでは、今回の成果を踏まえて、すでに耐久性に関する研究にも着手し、その向上の端緒をつかみつつある。

 今後、掲げた目標を達成することで、PEFCのPt使用量を大幅削減するための技術の確立を目指す。将来、同技術による実触媒の製造プロセスが実現すれば、PEFCのコスト低減という課題は解決され、FCVの本格的普及や水素利活用の拡大を通してカーボンニュートラル実現への貢献が期待できる。<量子科学技術研究開発機構(量研)>
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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「モビリティ用電池の化学」(日本化学会編/化学同人)

2022-04-14 09:34:38 |    電気・電子工学



<新刊情報>



書名:モビリティ用電池の化学~リチウムイオン二次電池から燃料電池まで~

編者:日本化学会

発行:化学同人

 電池は社会を支える重要な技術で、その構造にはさまざまある。2019年のノーベル化学賞は、リチウムイオン二次電池の開発に対して、吉野彰博士が共同受賞した。リチウムイオン電池に代表される高エネルギー密度の二次電池や、水素を用いる燃料電池が、私たちの生活様式を革新するモビリティ用電池として注目されている。その二種類の電池に焦点を当て、高性能電池をつくるための最新技術を紹介する。吉野博士が巻頭に特別寄稿。
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