“科学技術書・理工学書”読書室―SBR―  科学技術研究者  勝 未来

科学技術書・理工学書の新刊情報およびブックレビュー(書評)&科学技術ニュース   

●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「マルチメッセンジャー天文学が捉えた 新しい宇宙の姿」(田中雅臣著/講談社)

2022-01-11 09:32:58 |    宇宙・地球



<新刊情報>



書名:マルチメッセンジャー天文学が捉えた 新しい宇宙の姿~宇宙の物質の起源に迫る~

著者:田中雅臣

発行:講談社(ブルーバックス)

 人類がこれまでに得たさまざまな宇宙の観測手段――可視光の望遠鏡に始まり、赤外線、電波、X線……さらに近年では「ニュートリノ」を用いた素粒子天文学や重力波天文学など。それらを組み合わせ、これまで解明されていなかった「宇宙の謎」を解き明かしているものが「マルチメッセンジャー天文学」である。鉄より重い元素はどのように作られるのか? ブラックホールの合体、中性子星の謎、そして、宇宙の始まりに何が起こったのか? いま人類は、これら宇宙への根源的な問いに迫ろうとしている。米国科学アカデミーが2021年に発表した「今後10年における天文学の3つの重要テーマ」のひとつに挙げられる「マルチメッセンジャー天文学」。超新星爆発などの突発天体、さらにマルチメッセンジャー天文学の新鋭研究者として知られる著者が、実際の観測データを紹介しながら、その基礎から最新研究までを徹底的に解説する。
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●科学技術ニュース●東レ、マイクロLEDディスプレイ向け材料を開発

2022-01-11 09:32:29 |    電気・電子工学
 東レは、このたび、マイクロLEDディスプレイの実現と性能向上に重要な役割を果たす、LEDチップを高速に配列するための「レーザー転写用材料」、LEDと配線の接合プロセスを簡素化する「接合材料」、およびディスプレイの大型化に寄与する「基板端部配線材料」を、東レエンジニアリングと連携して開発した。
 
 マイクロLEDディスプレイに求められる幅広い材料と製造・検査装置を、東レグループとしてトータルソリューション提案することで、マイクロLEDディスプレイの発展・量産化に貢献する。

 マイクロLEDディスプレイは、輝度や色域、コントラストや信頼性などの特性に優れるほか、高発光効率LEDを光源に用いることで低消費電力を実現でき、高性能かつ環境低負荷な次世代ディスプレイとして期待されている。一方、本格的な普及に向けては、製造コストを抑えるために、多数の微小なLEDチップを規則正しく、高速に配置する技術が求められていた。

 東レは、ディスプレイの製造工程で多数のLEDチップを基板上の任意の位置に高速で配置するための「レーザー転写用材料」を開発した。同材料を、東レエンジニアリングが展開するレーザー転写装置や検査装置と組み合わせて用いることにより、マイクロLEDの製造スピードを上げられるだけでなく、各LEDチップの色調を考慮した選択的な配置により、色ムラのないディスプレイを実現できる。

 加えて、感光性導電材料RAYBRIDの技術を発展させ、「接合材料」と「基板端部配線材料」を開発しました。
 
 「接合材料」は、LEDチップの電極と基板上の配線を接合するための材料で、従来に比べ低温・低圧・短時間での接合を可能にするとともに、これまで課題とされていた不良LEDチップの交換を容易にし、製造時の歩留まり改善につながる。
 
 「基板端部配線材料」は、基板の表面から裏面に信号を伝達するための材料で、簡便なプロセスで配線を形成することで、複数のディスプレイを継ぎ目なく並べて大型化することを可能にする。<東レ>
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●科学技術ニュース●JAXA、小惑星「リュウグウ」帰還試料の分析結果を公表

2022-01-11 09:32:04 |    宇宙・地球
 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、2020年12月に小惑星探査機「はやぶさ2」によりC型地球近傍小惑星「リュウグウ」の表層2箇所から計5.4gの試料を持ち帰った。

 始原的な隕石を分析することから、地球を生命惑星とした太陽系形成期のプロセスを理解する努力がなされてきた。また、C型小惑星は、炭素に富む小天体であることが望遠鏡観測から推定され、始原的な隕石の母天体であると考えられてきたが、これまで物的証拠はなかった。
 
 持ち帰られた試料のサイズ・重量・可視/近赤外反射スペクトル分析を進めた結果、帰還試料は現地での撮像観測から知ることができた小惑星全体の特徴を反映しており、水・有機物に富む始原的な特徴を持つことが明らかになった。

 既知の隕石と比較すると、最も太陽の組成と近い始原的な隕石と似ているが、より暗く、比重が小さいという特徴を持つことが分かった。「はやぶさ2」は、その由来が明快であり、かつ、太陽系初期の情報を雄弁にもたらす試料を帰還させたと言うことができよう。

 2021年6月に開始された初期分析では、より詳細な分析が行われており、試料が太陽系形成論を進展させる潜在能力がより明らかになることが期待される。

 初期記載の結果をまとめると、帰還したリュウグウ試料はリュウグウ表層試料の代表的な試料であり、可視・近赤外スペクトルの特徴や顕微鏡観察の結果から高温包有物が見られない点などから既知の隕石ではCIコンドライトに最も似ているが、密度が小さいこと、反射率が低い点では異なっていることが明らかになった。今後、引き続いて行われるより詳細な分析、すなわち、初期分析・2次キュレーション分析、公募分析に対して参照となる情報を提供することが出来た。この初期記載成果は今後の国内外のサンプルリターンミッションに対しても、キュレーションとして初期にどこまでしなければいけないのかということについての標準とすべき、好例となった。<宇宙航空研究開発機構(JAXA)>
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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「目で見て体験! Kubernetesのしくみ」(花井志生著/技術評論社)

2022-01-11 09:31:30 |    情報工学



<新刊情報>



書名:目で見て体験! Kubernetesのしくみ~Lチカでわかるクラスタオーケストレーション~

著者:花井志生

発行:技術評論社 

 近年普及が著しいKubernetesだが、手元でのクラスタ構築の難しさ、宣言的な管理の裏側の見えづらさなどから、多少触ってみるだけではその効果を実感したり、しくみを理解したりすることが困難なのが実情。そこで同書では、Raspberry Pi上の「状況に応じてLEDが光る」Webサーバクラスタを構築し、障害を起こしたPodの再起動の様子などを実際に目で見ながらKubernetesのしくみを学んでいく。Raspberry Piの構築が面倒な方のために動画も公開中。
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