“科学技術書・理工学書”読書室―SBR―  科学技術研究者  勝 未来

科学技術書・理工学書の新刊情報およびブックレビュー(書評)&科学技術ニュース   

●科学技術書<新刊情報>●「天文学者たちの江戸時代」(嘉数次人著/筑摩書房)

2016-08-19 11:07:04 | ●科学技術書・理工学書 <新刊情報>(2018年5月4日以前)●

 

<新刊情報>

 

書名:天文学者たちの江戸時代~暦・宇宙観の大転換~

著者:嘉数次人 

発行:筑摩書房(ちくま新書) 
 
 日本独自の暦を初めて作った渋川春海をはじめ、海外の知と格闘し、暦や宇宙の研究に尽力した「江戸の天文学者」達の思索をたどる。

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★科学技術ニュース★東京大学と国土地理院、超高精度の「光格子時計」で標高差の測定に成功

2016-08-19 11:06:20 |    物理

 科学技術振興機構(JST)戦略的創造研究推進事業および文部科学省 光・量子科学研究拠点形成に向けた基盤技術開発事業において、東京大学と国土地理院の研究グループは、直線距離で約15㎞離れた東京大学(東京都文京区)と理化学研究所(埼玉県和光市)に光格子時計を設置し、2台の時計の相対論的な時間の遅れを高精度に測定することで、2地点間の標高差を5㎝の精度で測定することに成功した。

 光格子時計は、東京大学大学院工学系研究科の香取秀俊教授が考案した高精度な原子時計で、次世代の「秒」の定義の有力候補として世界中で研究されている。

 「秒」の定義に求められる時計の「再現性」を担保するためには、その時計の「振り子の振動数」を他の研究機関に伝送し、複数の研究機関で「振り子の振動数」の同一性を検証することが重要。

 一方、アインシュタインの一般相対性理論によれば、異なる高さに置かれた2台の時計を比較すると、低い方の時計は地球重力の影響を大きく受け、ゆっくりと時を刻む。この結果、超高精度な時計の遠隔比較では、時計の再現性の確認にとどまらず、従来の時計の概念を超える「相対論的な効果を使った標高差測定(相対論的測地)」という応用を拓く。

 同研究グループは、先行して開発した「低温動作ストロンチウム光格子時計」を東大に1台、理研に2台設置して光ファイバーでつなぎ、遠隔地比較を行った。

 同じ高さに置かれた理研の2台の光格子時計の振り子は1×10-18で振動数が一致した。一方、東大の時計の振り子は理研よりも1,652.9×10-18だけゆっくり振動し、これから2地点の標高差1,516㎝が算出された。

 この「相対論的測地」の結果は、国土地理院が行った水準測量と5㎝の誤差範囲内で一致し、世界で初めて遠隔地時計比較によるセンチメートルレベルの標高差計測に成功した。

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●科学技術書<新刊情報>●「プログラムで愉しむ数理パズル」(伊庭斉志著/コロナ社)

2016-08-19 11:05:56 | ●科学技術書・理工学書 <新刊情報>(2018年5月4日以前)●

 

<新刊情報>

 

書名:プログラムで愉しむ数理パズル~未解決の難問やAIの課題に挑戦~

著者:伊庭斉志

発行:コロナ社

 同書は,プログラムを通して数理パズルを楽しみ、その背後にある考えや応用につながるアイディアを理解しようというもの。筆者は、自分のためにプログラムを書き始めて、その面白さに魅入られ、博士課程で幾何定理の自動証明という人工知能の一分野をテーマとしてコンピュータを利用するうちに、コンピュータは道具でありながら、かつ創造的な手段であることに気付く。ガウスやオイラーが現代によみがえったとすれば、きっと彼らもコンピュータを駆使していたと思う。そのため同書では、さまざまな数理的なトピックをプログラミングの実行を通して理解するように解説している。その内容は,数学の未解決問題、確率パズル、数理パラドクス、中立進化のメカニズム、数理最適化など多岐にわたり、人工知能や人工生命の最新のトピックへの関連も紹介している。

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