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さくらんぼは高価で金額に見合程の美味さも無いとほとんど無関心だったが、行きつけのJAここら黒岩店で“正光錦”と云う品種が偶然目に飛込むと同時に懐かしい思い出が蘇った。
昔の事で何年前の事かは思い出せないが「生甲斐のある職場作り」のキャッチフレーズで職員の意識改革の名目で合理化がスタートして、受身であった番組制作も自ら提案して取材に関る様になり、自分の第一作目がこの“正光錦”を生み出したさくらんぼ畑での4分程のインタビューを主体にしたローカル番組だった。
伊達町(現伊達市)伏黒の果樹農家に長年道楽で品種改良を続けている面白い人がいて最近やっと1つだけ物になったと、同じ果樹農家の親父の実家から得た情報だった。
“正光錦”の正光は自分の名前だった事は確かで、姓は確か佐藤ではなかったかなと思う。
現在さくらんぼの一級品と云えば“佐藤錦”だが「山形の佐藤さんに“佐藤錦”で先を越されてしまったので俺は名前をとった」の言葉も鮮明に残っていた。
梨は過去の果物と勝手に解釈して自ら進んで食べる物ではなくなり、さくらんぼは高価な事からそれ以上の物だったが、思い出と共に味わってみると果汁が口いっぱいに広がりチョッピリ酸っぱくて適度の甘さは正に果物の宝石、安ければふんだんに食べられる愛すべき物なのだが。