人類の宿痾
今回のウクライナ侵攻は、ロシアの暴挙と言うよりプーチンさんの暴挙なのだろうけれど、大変なことになっても誰も止められない。すわ第三次世界大戦だ。核戦争だと聞けば、弱い者いじめも直接軍事力の行使で助けることはできない。ウクライナがNATOに入りたいと要請する。同盟国であれば、一緒にロシアと戦ってくれる。しかし、米国もNATOの欧州各国も今更ウクライナを受け入れて、一緒にロシアと戦うわけにはゆかないようだ。
ロシアは中共のような経済大国ではないが、ソ連時代からの遺産のようなもので、軍事力は世界のトップクラスを維持しているようで、核弾頭ミサイルの保有数は米国以上という。そのことがプーチンさんの暴挙につながった。
ロシアの暴挙に、日本では「核共有」の意見が出始め、自衛のための軍事力向上が課題になってきた。ドイツなども軍事力の増強を目指すという話を聞く。一挙に先の大戦前に逆戻りである。いま中共の軍部は戦争をやりたくて仕方がないそうだ。三等国から経済力、軍事力、で米露と比肩するほどに成り上がった今、暴れたくてうずうずしている様が見えるようだ。いずこも権力者は権力を振り回したく、武力を持てば使ってみたくなるからやっかいだ。人類は過去の戦争の歴史から全く進歩していないのだ。権力者個人の欲望に歯止めが掛からない。いずれ自身への最悪のブーメランになることを認識しようとしない。
日本の武道が、その技術の習得に加え、精神の陶冶を重視したのは、身に着けた戦闘能力を制御するためであり、国家もそうでなければならないのだが、通常そうはなっていかない。
自衛の軍事力は当然に必要であるが、そのために軍部が強くなると、文民統制を維持し続けるのは難しくなる。東南アジアでもミャンマーは、クーデターでスーチー政権を潰したまま。タイも度々軍事クーデターが起き、軍部を中心とした国家安全保障会議が権力を持っているという。人類の宿痾のようだ。
戦後わが国は米ソ冷戦の狭間で、圧倒的な米国の軍事力に国防を依存してきたことで、自衛隊が国家権力に影響を与えることもなかった。しかし中共の躍進で、米国も世界の警察官であることを放棄した。わが国も米国頼りだけでは立ち行かなくなってきた。憲法を改正して軍隊を持つ必要に迫られて来た。馬鹿な政治家がこれまた馬鹿な財界人と結託して、自分たちが儲けるために中共を太らせ続けた付けが回ってきたのだ。馬鹿な政治家の筆頭は自身の罪を知ってか知らずか、今も懲りずに講釈を垂れている。
開発途上国の政治家は、自国の経済発展のためと偽って、中共の「一帯一路」などに協力している。政治家個人が僅かな賄賂を得るために、将来の自国の国民を苦しめることになることを分からない振りで、今が良ければいいと割り切っているように外からは見えてしまう。
いずこも無責任な政治家が国民に不幸を呼び込んでいるが、日本など国民一人一人の投票で政治家を選ぶシステムが機能しているのだから、政治家の悪化は国民そのものの罪であることをもっと自覚する必要がある。一時的な株価の変動で、内閣を悪しざまに言う人々などその代表である。