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世相を診る 第4回

2022年02月10日 | ブログ
「老人支配国家に明日はない」

 文藝春秋2月号の特集記事「2022年はどうなる?」にフランス人で人口統計学者で歴史学者、人類学者でもあるエマニュエル・トッド博士(70歳)の記事がある。戦後わが国に品質管理を伝えたデミング博士も統計学者と聞いたが、統計を深く学んだ人には、学者としての範疇を超えた輝きがある。

 『「老人支配」は先進国に共通するもので、「老人的思考」が支配的になり、若者も「老人のように考える」ようになってしまった。有権者の高齢化で「普通選挙」が事実上「老人支配」の道具と化している。「何も生産しない老人」が力をもち、「生産する若者」が阻害されている。「普通選挙」を信奉する私でも「70歳にもなる私のような高齢者からは投票権を剥奪すべきではないか」と思うほどです。「労働する人々」「子供をつくる人々」こそ社会の中心にいるべきで、政治権力も彼らに戻すべきなのだ。』

 現在、選挙権は年齢以外の制約はない。痴呆や寝たきり(選挙に行けない)などでの選挙権の有無はどのようにしているのか知らない。選挙権定年制にするとして、何歳にするかは意見の分かれるところ。70歳から100歳まで10歳刻みで候補年齢があろう。その前に被選挙権にこそ定年制を敷くべきか。

 『東アジア諸国では「一人も子供を産まない女性が25~30%にも達し、出生率が異常に低く、日本と中国は1.3程度、韓国と台湾は1.0程度である。出生率は2.0に近い水準でなければ、社会は現状の人口規模を維持できない。・・・・「老人支配」の下で「経済」ばかりが論じられているが、「人口」こそ真の問題である。その点で後れをとっているのが、韓国と台湾。「経済的に成功した国」として持て囃されているが、「人口学的な自殺」を遂げつつある。・・・

 「台湾をめぐる地政学」も私には馬鹿げたものに見える。台湾にとって真の問題は「人口」だからだ。米中対立がどうなるにせよ、このままでは台湾は、50年後に存在できない。・・・

 これまで米国は「中国が台湾を攻撃した場合、どう対応するかは意図的に明示しない」という「あいまいな戦略」を採用することで一定の均衡を保ってきた。ところがバイデン大統領は、米国の台湾関係法に明記されていない「台湾防衛義務」について繰り返し言及している。・・・発言の戦略的意味を強調する議論もあるが、私には言葉自体が空虚に聞こえる。

 まず米国が多大な犠牲を払ってまで台湾を守ることはないであろう。・・・つまり「台湾を守らない」。それだけではない。そもそも「台湾を守れない」のではないか。

 1996年春、台湾に向けてミサイル発射演習や軍事演習を繰り返す中国に対し、クリントン政権が二つの空母打撃群を急派した時、中国には為す術がなかった。』(次号に続く)

『 』内は、内容は記事のそのままの引用ですが、文体を変えています。




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