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コーチング その4

2017年05月10日 | ブログ
傾聴のスキル

 プロが使うコーチングのスキルは、100種類くらいあるそうだが、最も大切なスキルを3つ上げると「傾聴」「質問」「承認」となる。通常、企業のマネージャーが部下とのコミュニケーションにコーチング技法を用いる場合、まずはこの3つを会得することが必要である。中で、「傾聴」は日常生活にも大切なスキルであり、マナーの部分もある。「質問」や「承認」のスキルとなるとずっと専門的になるが、「傾聴」はコーチングの専門家でなくとも必要なスキルである。

 人望のある人には聞き上手の方が多いと云われる。「聴く力は人徳に比例する」とも言われ、「コミュニケーション上手は聴き上手」と言われる。そしてコミュニケーションは、仕事であれプライベートであれ、他人との付き合いの基本となるものだ。

 わが国でも古来、「雄弁は銀、沈黙は金」などと、やんわりと多言を諌めている。「多言は身を害す」とのことわざもあり、おしゃべりは、とかくいらざる事をしゃべったり、漏らしてはならぬ事を漏らしたりして、身を誤るから慎まねばならない。と諭しているのだ。政治家に失言が多いことでも頷けることだ。

 聴き上手になるために気を付けることは、コーチングの教科書でなくても、一般の教養書にも話を聞くときの時のマナーとして述べられている。コーチング以前のビジネスマンとしての素養でもある。

 コーチング本には、アクティブ・リスニング(積極的傾聴)の三要素として、「繰り返し」、「あいづち」、「うなずき」を上げている。相手の話のポイントとなる言葉をオウム返し(繰り返し)にすることで、相手には言葉と思いを受け止めて貰った安心感を与える。あいづちでは、「なるほどね」「そうそう」「そうですね」「たしかにね」など役立つフレーズがあり(同意のあいづち)、「へ~」「ほ~」「そう~」「そうですか」「おもしろいね」「わかる気がする」(共感のあいづち)、さらに「から」「ので」「だから」などの順接(一方が成立すれば他方も成立する関係)の接続詞を使った催促のあいづちや、「つまりこういうこと」「ポイントはこうですね?」など整理するあいづちを使って、徹底的に話を聞く姿勢が話し手の信頼感を高める。

 また、話を聞く際の心構えとして、可能な限り相手に好感を持つこと、相手の話を共に楽しむ気持ちを持つことや心を開いて接することは重要である。相手の話を途中で遮らない、途中で横取りしない、最後まで聞くなどはコーチング以前のマナーの範疇である。

 コーチングにあっては、話し合いの場所を選ぶことから始め、相手と対面であるよりはテーブルなどを挟み、90度の角度で向かい合うこと、カウンター席などの隣に陣取る座り方も話しやすいポジショニングであるといわれる。

 話を最後まで聞くことは勿論であるが、部下からの提案などに対して、初めから否定する発言はコーチングにはない。たとえ間違った提案であっても、頭ごなしに否定するのではなく、「なるほど」「面白い視点だね」「そういう風に考えたことはなかったなあ」などフレーズのレパートリーを増やしておく準備も大切である。結論を急がず、できるだけ部下に考えて貰うような対応がコーチングの基本である。




本稿は、「コーチング入門」<第2版>本間正人・松瀬理保共著2015年8月刊、日本経済新聞社、及び<新版>「上手な聞き方・話し方の技術」福田健著2008年2月刊、ダイヤモンド社を参考にして構成しています。
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