中小企業診断士 泉台経営コンサルタント事務所 ブログ

経営のこと、政治のこと、社会のこと、趣味のこと、人生のこと

新、経営を考える第10回

2016年06月28日 | ブログ
信義と経営

 ことわざの解釈を勝手に読み違えることはよくある。「情けは人のためならず」では、安易に情けを懸けるのは掛けられた人に甘えを生じてしまう恐れがあり、却ってその人のためにはならない。という風に解釈した人も居た。「背に腹はかえられぬ」など、いくら「信義」だ「正義」だといって、霞を食っては生きられない。腹の足しにならないプライド(背)などは所詮後回しだ。「衣食足りて礼節を知る」如くであると解釈していたのだけれど。単なる読んで字のごとく、「皮一枚の背中よりも、大切な内臓のある腹が重要である。重要なことのためにはちょっとしたことは犠牲にしても仕方がないこと」と、ことわざ辞典にはある。

 それだからかどうか、このところの隣国の経済規模の圧力で、米国企業も欧州そして日本の有力企業も靡く、そして靡く。腹を満たすためには人権も報道の自由も芸術の表現の自由も捨て去るのである。ハリウッドの映画だって、中国で上映するための中国政府(中国共産党)による検閲を通す為に、台湾やチベットのダライラマ、時には冷戦に言及するものなどがカットされるのは普通のことになっているそうだ(日経ビジネス2016.06.20号「世界鳥瞰」) 。文化・芸術としての映画作りの矜持は捨てさられる。

 わが国の大企業の経営者などにも、自国の首相は批判するが中国には阿ねる不埒ものがいる。政治家にもその手の人物が大手政党の党首として、憲法9条改正反対、安保法制は破棄と、共産党と一緒になって息巻いている。身内企業の隣国での事業拡大のための布石としか見えてこない。

 母国を愛する心根や自国への信義を捨てて、お金優先でセコク生きても、どこかの知事の様な末路を辿ることは目に見えている。長い目で見て結局この国の民衆のためなどにもけっしてならない主張であり、行動なのだ。

 会社企業は、法人として自然人のような資格が与えられる。企業間信用なるものもそうだし、有限責任制度などもそうだ。そしてこの国では隣国と違い、自由と民主主義が担保されている。

 他国の領土をいつの間にか自国領と偽り、軍艦まで派遣して領海侵犯をする。自国から遠く離れた環礁もその周辺国家を押しのけて自国領として、挙句に軍事施設を建設する。記者会見で質問したジャーナリストの内容が気に入らないと延々と慟哭する中国外相*4)。そのような独裁国家に自企業の繁栄のためと阿ねる輩に、法人である企業経営者の資格など無い。

 企業も政治家も信用第一なのだから。



*4)6月1日にオタワのカナダ外務省で開かれた王外相とカナダのディオン外相の共同記者会見でのやりとり。あるカナダメディアの女性記者が、中国共産党体制に批判的な香港の銅鑼湾書店の関係者が連続失踪した事件や、2年前に中国在住のカナダ人夫婦がスパイ容疑で拘束された事案を挙げ、中国の人権問題への対応をディオン外相に質問した。これに、王外相が横から口を挟さんだ。「あなたの質問は中国に対する偏見に満ちており、傲慢だ。まったく受け入れられない」「中国の人権状況を最もよく理解しているのは中国人だ。あなたは中国に来たことがあるのか」。王外相は、記者に向かってペンを横に振るしぐさも繰り出し、強い口調で2分以上に渡って“説教”を続けた。カナダ紙「オタワ・シチズン」社説(電子版)は、こうした王外相の言動について、「人権のみならず、健全な民主主義国家の報道の自由に対する驚くべき攻撃だった」と断じ、「記者らに対する侮辱は、大した話ではない。だが、民主主義の基本である報道の自由に対する侮辱は重大な問題だ」と訴えた。-6月19日産経ニュース電子版-
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする