中小企業診断士 泉台経営コンサルタント事務所 ブログ

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新、経営を考える第7回

2016年06月19日 | ブログ
人を動かす

 この世の中は人で成り立っている。「企業は人なり」などと云われるが当たり前のことだ。人工知能を作り出すのも「人」なのである。しかるに企業発展のためには、この「人」を如何に活かして使うかは重要な課題である。

 まずトップが最重要である。昔は兎に角、据わりの良い人をトップに据え、実務に通じた取り巻きが事実上運営するようなケースもあったかもしれないが、現代では通用しないであろう。意志決定にワンクッション置くこととなり、社長の単なるお側用人に大権を握られる懸念があり、取り巻き連中間の権力争いも生じる恐れもある。幹部以下どこを向いて、その方針に従えば良いか迷うようでは、到底良い仕事の成果は得られない。

 このような組織では、往々にして、組織の利益よりも自身の利益を優先するような人物が跋扈して、近視眼的な成果主義で組織を駄目にする。

 実力のあるトップが、最終的に意志決定し、最終的な責任を負う組織でなければならないのだ。大手企業の社長の御曹司であるとか、難関大学の卒業生であるとか、政治家とつながっているとかの据わりの良さは裏目に出ることが多いように思う。そしてトップになるためには、若い頃から何らかの実績を積んでいなければ駄目。実績だけでは十分でないことは言うまでもないが、実績はトップになるための必須条件のひとつであるように思う。

 組織は当然にトップだけの能力で決まるものではないが、トップが優れた人材であれば、その登用する人材も自然優れた者が多くなる。優れた人物とは人を見る目が確かであるからである。

 組織では、課長クラスに人材が多いと伸びる。行政機関でも確かにラインの「部長」の肩書きを持つような方は、流石に立派な方が多いが、その下の連中に問題がある場合が多い。仕方なく使っていることが多いように見る。企業でもそうだ。課長クラスは上下の中間点にあり、どちらもよく見える。組織の人材の問題点から組織の欠陥まで見通せ、上下分け隔てなく物が言えて仕事が出来る人材が課長層に多い企業は、ここ10年くらいは確実に成長できる。

 従業員にいかに意欲的に仕事に取り組んで貰うか。これはもう大昔からの課題であり、太閤記が痛快なのは、藤吉郎時代の秀吉が、うまく配下を使い信長に貢献し、信長でさえ動かしていた様が描かれているからである。

 人を動かす方策として、ハーズバーグの「動機づけ・衛生理論」は有名である。無ければ不満となるがあっても格別やる気に繋がらないのが衛生要因。積極的態度を引き出せるのが動機づけ要因である。その「動機づけ要因」には、仕事の達成感、認められること、仕事のやりがい、仕事への責任、昇進などがあるという。給与などは少ないと不満となるが、多いからといって余分に働きたいとは思わないようだ。人間関係や作業環境なども衛生要因だが、これらは1930年前後に米国ウェスタン・エレクトリック社のホーソン工場で行われたホーソン実験の成果でもあった。

 この「動機づけ・衛生理論」は、例えばサービス業において、必須のサービスと感動を与えるサービスとあってもなくても良いサービスの切り分けにも応用できると考えたりする。





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