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時事散歩Ⅴその3

2016年05月07日 | ブログ
トランプ氏と安全保障

 海の向こうの話ではあるけれど、わが国の同盟国であり、安全保障上も経済的にも最も重要なパートナーである米国のトップを決める大統領選挙。それにしても、これだけ物議を醸した候補者も過去には居なかったのではないか。

 しかし、米国人だけでなく多くの現代人の本音を探れば、トランプ氏の発言となる。ヨーロッパでは押し寄せる難民や不法移民の群れに困り果てている。かと言って人道上粗末にも対応できない。

 トランプ氏が声を高くしているのは、メキシコ国境から米国に入りこむ違法移民問題だ。現状ではそのような違法移民を十分取り締まることは難しい。だから国境に塀を作ると言っている。そしてその費用はメキシコ政府が出すべきだと言っている。

 他国に侵入して、または住んでいながらテロを働くイスラム教徒が居る。これを選別して取り締まることは難しい。だからトランプ氏は、「すべてのイスラム教徒は入国させない」という。

 その発言は、人道上許されないとして批判が沸き起こる。しかし、一方で「そうだ、そうだ」とトランプ氏に賛同する者も多く居る。綺麗事の建前政治にうんざりしている民衆は多い。核兵器廃絶なども最たるもの。言い出しっぺがまず廃絶してはどうか。仮に米国がすべての核兵器を撤去した途端、何が起こるか。ロシアや中国は、どのような行動に出るだろうか。

 米国では個人の拳銃所持でさえ規制できない。核兵器をなくすことなど単なる建前の議論であることは見え透いている。だから本音のトランプ氏に共感する人々が予想以上に多かったのだ。

 予備選途中で、トランプ氏の対抗馬であったクルーズ上院議員がインディア州での予備選の結果を受けて撤退した。大統領本選は民主党のヒラリー氏との間で行われることが事実上決定した。

 それにしても、大富豪であっても政治家としての経験のないトランプ氏が、米国を率いることになった場合の不安はわが国をも覆う。直接的な経済的損得だけで物事を計るのは政治家ではない。しかし、トランプ氏は、日米安保の駐留米軍の費用は日本負担を求めるという。現在でもわが国は米国に思いやり予算諸々で1兆円近く負担しているらしいのだけれど、全額だと言っているらしい。それではお引き取り下さいとなり、日本駐留の米兵を自国の基地に転属させれば問題ないが、解雇すれば失業者が出る。それらは織り込み済みなのだろうか。

 米軍基地に反対している日本人は喜ぶだろう。お隣の中国などもこれで日本にさらにチョッカイ掛けやすくなると大いに喜ぶだろう。太平洋のパワーバランスが大きく変化する。グアムやハワイの基地が米軍のアジアの前線基地に変わる。

 一連の過激発言は、選挙のためのもので、大統領になればそこまではやらないだろうし、やれないだろうとは、一般の人の推測であるが、常識は通用しないかも知れない。わが国はトランプ氏とアジアの安全保障について徹底議論が必要となるが、自国は自国の軍隊で守るという原則に立ち返る良いチャンスではある。非核三原則は撤廃して、早急に核武装の必要が生じるであろう。

 誰が大統領になろうが、安全保障体制に空白期間は許されない。




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