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時事散歩Ⅴその2

2016年05月04日 | ブログ
日本に田中角栄は必要か

 この命題は、文藝春秋5月号の対談記事の「日本には田中角栄が必要だ」を捩ったものだ。ロッキード事件から40年、世は角栄ブームだという。もっとも以前から歴代総理の人気投票などで角栄氏はトップにランクされていたように思う。

 ただ、田中角栄氏が自民党を牛耳っていた時代の空気の中で、企業の平社員で過ごしていた私などから見れば、褒められる存在とは今も思えない。

 確かに今太閤と云われた立身出世の人で、人情の機微に優れ、しかもコンピュータ付きブルドーザーと呼ばれるほど、数字に強く何といっても実行力があるように喧伝されていた。官僚づかいもうまいという評判であった。しかし、勉強の出来た秀才など賢いようで隙だらけで、人間力には案外乏しいから、壷を心得た角栄氏などからみれば返って御し易かったのではないか。それだけのものだ。

 功績として日中国交正常化があり、列島改造論で、新幹線網の拡充、高速道路、地方空港や港湾設備など国土のインフラ整備を提唱し実行したことがある。確かに国土のインフラ整備は重要であるが、その過程で政治家であるゆえに知り得た情報を元に、利権を得て、蓄財した部分があることは否定できないのではないか。時には野党の政治家にまで選挙資金を供与するほどのお金は、ロッキード疑惑は米国の罠であったにしても、自らが額に汗して得た労働の対価であったとは思えない。

 今またパナマ文書なるものが、世界の政治家を脅かしているけれど、国家リーダーの激務にはそれなりの報酬があって当然であり、必要以上の倹約生活を政治家に求めるのも逆差別ではあるけれど、税金ぐらいは真っ当うに払うべきだし、金権政治や地位を利用した蓄財は前近代的な政治様式である。

 日中国交正常化にしても、中国のわが国に対する足蹴にさえする態度からみて、けっしてそれを遂行した政治家に功績があったとは言えないように思う。尖閣問題にしても正常化交渉の際に、領土問題が存在することを認めるような発言を聞いたという有力政治家の陳述さえあり、火種を残した張本人ではないのか。

 人間は「棺を蓋(おお)うて事定まる」と云われるが、本人の力量は実は両親に負うところが大きい。実は本人の実相は子をみれば分かる。子は親の鏡とも言う。両親は選べず、生まれ落ちた境遇を許容するしかない。しかし、自身の子については伴侶の選び方から始まり自己の責任で定まる。自分は貧しても子には与えることはできる。命を削って育てることはできる。

 しかるに、総理になれなかった安倍晋太郎氏は今の晋三総理を育てたが、角栄氏は真紀子氏しか育てられなかった。

 またリーダーの値打ちはその後継者に見られる。角栄氏の派閥には竹下、羽田両元総理はじめ、小沢一郎氏、渡部恒三氏など多くの有力な政治家が居たが、結局何をやったか。竹下氏は田中派を乗っ取り、小沢氏などはその派閥を二分して自民党を飛び出し、二大政党制などと銘打って、権力の私物化を図り、民主党などというヌエのような政党に与して政権を取り、挙句どれだけの国益を失わせたか。未だ普天間基地移設は進まず、加えて残党は共産党と組んで安保法制を廃案になどと猛っている。

 小説家が何を書こうがフィクションであり、勝手だけれど、やっぱり現代のわが国に田中政治は要らない。



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