キャッシュフロー
売上高とそれに掛る費用のすべてが、現金で入出金されていれば起こらない問題が、貸し倒れ。われわれ若い時分は先輩に連れられてなど結構飲み歩いたりしたけれど、地元の飲み屋さんは地元の大企業の社員だと大抵ツケ飲みにさせる。ツケが効けば現金を持たない時も飲みに行けるし、来てもらえるから客、店双方に都合がいい。しかし反面賑わっているお店でありながら、ツケ貸しをしてその多くに遁ずらされると倒産することも起こり得る。当時はまだクレジットカードなるものはなかった。
そうなっては大変だから、ボーナス時期など工場門前や社員寮にまでマスターやママさんが借金取りに来たりすることになる。下手をすると借金を払わない知り合いのツケがこちらのツケに増額されてくる恐れもあったりしたけれど、お店だってホステスの給料やお酒の仕入れ、お店の家賃と定期的に出費があって資金繰りが大変なのだ。
企業には企業間信用に基づき「売掛金」が発生する。製品の納入後入金されるのは3ヶ月後だったりすれば、その間の運転資金(売上債権+棚卸資産-買入債務)は確保しておかねばならない。バブルの後には「不良債権」という言葉を随分と聞いたけれど、回収できなくなった売掛金や貸付金の抵当に取った土地が大幅に下落したために生じたものだ。大手金融機関*16)でもそのために倒産した。
そもそもキャッシュフロー会計とは、損益計算書や貸借対照表からだけでは見えにくい現金の動きを明確にして、資金繰りに困らない経営を行うためのものだ。企業の利益は売上から原材料費はじめ諸経費を差し引いて残額ということになるが、期首に比べて売掛金が増えておればそれだけ利益から現金は少なくなっているし、買掛金や支払手形の額が減少しておればその分、売上に依存していない現金の流出が起こっているためキャッシュは少なくなっている。在庫だってそうだ。期首に比べて期末在庫が増えておれば、在庫の分は費用計上しないため、利益から現金が流出していることになる。
一方、減価償却は費用計上されるが、実際にはその期に出費されたものでないため、キャッシュフローには有利だ。元々設備投資や土地購入費用(但し、土地は減価償却の対象ではない)などはキャッシュフロー会計では投資キャッシュフローとして、これまで述べてきたキャッシュフローである営業キャッシュフローとは別会計のような扱いになる。銀行からあらたな融資を受けたり、借入金を返済したりというのも損益計算書の売上や経費にあたらないため見えにくいが、キャッシュフロー計算書の財務キャッシュフローとして増減が管理される。
すなわち、キャッシュフローには「営業キャッシュフロー」、「投資キャシュフロー」及び「財務キャッシュフロー」の三区分ある。健全なキャシュフローとは、営業キャッシュフローが十分プラスであり、そこで蓄えた現金を使って新たな投資を行うことである。因みに営業キャッシュフローと投資キャッシュフローの合計をフリーキャシュフローといい、投資家に対して分配可能な自由に使えるキャッシュフローでもある。トータルのキャッシュを増やそうと思えば、投資は行わず借入金だけ増やせば当面のキャッシュは増えるが、投資につながらない借金というものは、営業活動によるキャッシュの流出の穴埋めであることが多く、不健全なキャシュフローと言える。
*16)山一証券、日本長期信用銀行、北海道拓殖銀行など
売上高とそれに掛る費用のすべてが、現金で入出金されていれば起こらない問題が、貸し倒れ。われわれ若い時分は先輩に連れられてなど結構飲み歩いたりしたけれど、地元の飲み屋さんは地元の大企業の社員だと大抵ツケ飲みにさせる。ツケが効けば現金を持たない時も飲みに行けるし、来てもらえるから客、店双方に都合がいい。しかし反面賑わっているお店でありながら、ツケ貸しをしてその多くに遁ずらされると倒産することも起こり得る。当時はまだクレジットカードなるものはなかった。
そうなっては大変だから、ボーナス時期など工場門前や社員寮にまでマスターやママさんが借金取りに来たりすることになる。下手をすると借金を払わない知り合いのツケがこちらのツケに増額されてくる恐れもあったりしたけれど、お店だってホステスの給料やお酒の仕入れ、お店の家賃と定期的に出費があって資金繰りが大変なのだ。
企業には企業間信用に基づき「売掛金」が発生する。製品の納入後入金されるのは3ヶ月後だったりすれば、その間の運転資金(売上債権+棚卸資産-買入債務)は確保しておかねばならない。バブルの後には「不良債権」という言葉を随分と聞いたけれど、回収できなくなった売掛金や貸付金の抵当に取った土地が大幅に下落したために生じたものだ。大手金融機関*16)でもそのために倒産した。
そもそもキャッシュフロー会計とは、損益計算書や貸借対照表からだけでは見えにくい現金の動きを明確にして、資金繰りに困らない経営を行うためのものだ。企業の利益は売上から原材料費はじめ諸経費を差し引いて残額ということになるが、期首に比べて売掛金が増えておればそれだけ利益から現金は少なくなっているし、買掛金や支払手形の額が減少しておればその分、売上に依存していない現金の流出が起こっているためキャッシュは少なくなっている。在庫だってそうだ。期首に比べて期末在庫が増えておれば、在庫の分は費用計上しないため、利益から現金が流出していることになる。
一方、減価償却は費用計上されるが、実際にはその期に出費されたものでないため、キャッシュフローには有利だ。元々設備投資や土地購入費用(但し、土地は減価償却の対象ではない)などはキャッシュフロー会計では投資キャッシュフローとして、これまで述べてきたキャッシュフローである営業キャッシュフローとは別会計のような扱いになる。銀行からあらたな融資を受けたり、借入金を返済したりというのも損益計算書の売上や経費にあたらないため見えにくいが、キャッシュフロー計算書の財務キャッシュフローとして増減が管理される。
すなわち、キャッシュフローには「営業キャッシュフロー」、「投資キャシュフロー」及び「財務キャッシュフロー」の三区分ある。健全なキャシュフローとは、営業キャッシュフローが十分プラスであり、そこで蓄えた現金を使って新たな投資を行うことである。因みに営業キャッシュフローと投資キャッシュフローの合計をフリーキャシュフローといい、投資家に対して分配可能な自由に使えるキャッシュフローでもある。トータルのキャッシュを増やそうと思えば、投資は行わず借入金だけ増やせば当面のキャッシュは増えるが、投資につながらない借金というものは、営業活動によるキャッシュの流出の穴埋めであることが多く、不健全なキャシュフローと言える。
*16)山一証券、日本長期信用銀行、北海道拓殖銀行など