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日々是好日18

2010年12月22日 | Weblog
GOPAN(ゴパン)

 1年を振り返る季節となった。世界で日本で、スポーツ界や自社、個人でいろんな出来事があったけれど、それらのうちの重大ニュースをベスト10やベスト50くらいに絞って紹介するのは恒例である。そんな中、日経BP社の「ヒット商品ランキング」も注目である。

 因みに昨年(2009年)のヒット商品第一位は「プリウス&インサイト」。勿論トヨタ、ホンダのハイブリッド車である。これらは今年も相当に売れた。今年のランキングでは第7位。但しホンダ車は「インサイト」が「フィットHV」に変わっている。昨年2位の「キリンフリー」(ノンアルコールビール)は今年「アサヒビールなど」が加わって、アルコールだけでなく、「カロリー、糖質もゼロのビール風味飲料」となって第6位。その他2年連続のランクインには昨年26位で今年は第4位につけた「ハイボール」がある。私などが若い頃にも飲み屋ではウイスキーのトップメニューだった。飲む場所を変えてのリバイバルである。

 今年の第1位は同点で「Twitter(ツイッター)」と「ipad(アイパッド)」第3位が「食べるラー油」と続くけれど、これらいずれも私には縁がなかった。8位に今年の流行語大賞ともなった「ゲゲゲの」の語源である「ゲゲゲの女房」。すかさず「下下下の内閣」というのがあったけれど、まさに憲政史上稀に見る二代続く低級内閣であることに異論は全くない。

 毎年ヒット商品ランキングを見て、恥ずかしながら自分には意味不明のものが幾つもある。商売柄敏感でなければならないけれど、ランキングに登場してから知る商品があることは例年のことだ。今年白物家電では最上位の第11位にランクインでしているGOPAN(ゴパン)もそのひとつだった。

 日経ビジネス2010.12.20-27年末合併号にGOPANとその開発秘話がある。GOPANは米粒からパンを作る家庭用パン焼き器。鳥取市の三洋電機コンシューマエレクトロニクスが2001年から開発に取り組み今年7月に売りだした。米粉からなら出来ても、米粒からとなると相当の創意工夫がいるし、高価な米粉でなく、どこの家庭にもある米粒をそのまま使えることは、コストと簡便性を飛躍的に好転させる。発売と同時に注文が相次ぎ、生産が追い付かない状態が続いているそうで、来年4月を目処に月産倍増の2万台*19)を目指す。

 三洋電機は昨年12月TOB(株式公開買い付け)によって、三洋ブランドのままで、パナソニックの完全子会社となった。そんな折、私が参加した企業再生塾の総まとめ課題として、大手家電メーカーから1社を選び事業デューデリジェンス(事業の審査・調査)を行うこととなった。その対象企業に私は三洋電機を選んだ。そんなこともあり、後追いながらGOPANのニュースは嬉しかった。

 同社の製品は2008年にも「エネループ」*20)で13位にランクインしていたが、会社の沿革をみると、思っていた以上に業界初、わが国初、世界初と冠された自社開発商品が多いことがわかる。それはわが国の高度経済成長のトップランナー業界としての姿を反映するものではあるけれど、1947年にGHQ(連合軍総司令部)による公職追放指定で、松下電器を離れた松下幸之助氏の義弟にあたる井植歳男氏が興し、2007年まで家電大手最後の同族会社と言われた同社が、意欲的に創造的な仕事をしてきた証左でもあろう。最近は、太陽電池や二次電池*21)で業界をリードしている。

 三洋電機はまた、多くの企業が不況に襲われる度に、全国有数のスポーツクラブでさえ廃部する中で、業績不振の中2008年にはラグビー部が悲願の日本一を成し遂げたり、オグシオと称されるスター選手を生みだし、マイナースポーツであったバトミントンを世間の注目を集めるまでに成長させるなど、スポーツ界への貢献がある。まさに多様性人材集団の香りがGOPANの成功にも通じているような気がして爽やかである。





*19)2010年12月21日、日本経済新聞
*20)充填して繰り返し使える乾電池型蓄電池。従来品に比べて自然放電が極めて少ないことが特長。
*21)繰り返し充電可能なリチウムイオン電池などの化学電池。ハイブリッド車や電気自動車用として大きな需要が見込める。
 
本稿は日経BP社2010.12.20-27年末合併号と同社各年の「ヒット商品ランキング」を参考にしています。
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