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品質保証再考第14回

2010年03月13日 | Weblog
品質保証のプロセス

 「新版品質保証ガイドブック」にそって品質保証や品質管理について考えているけれど、ここからガイドブックの第Ⅱ部に入る。第Ⅰ部で学んだ品質保証の基本をベースに、各項目の詳細解説がされることになる。新版品質保証ガイドブックは第Ⅰ部から第Ⅳ部で構成されていることはすでに述べた。ここからの第Ⅱ部は、「品質保証のプロセス」となるが、これは企業・組織が行っている品質保証のための活動を、「プロセス」から捉え、それぞれのプロセスにおいてどのような品質保証活動が必要になるかについて述べられている。第Ⅲ部は、品質保証のもう一つの捉え方である「要素技術」に着目し、これを解説している。第Ⅳ部は、「主要産業における品質保証」であり、家電、半導体から航空宇宙分野、福祉、教育、行政分野まで産業別の品質保証について述べている。

 「プロセス」とは本稿「品質保証体系図」の回*5)で解説した、市場調査に始まり製品開発から、試作、生産、販売、アフターサービスなど、一連の業務の流れ、段階である。一方「要素技術」とは、品質機能展開、問題解決・課題達成法や統計的品質管理など、品質管理の歴史の中で開発されてきた数々の管理手法の解説となる。また、この中には「ソフトウェア設計技法」や「ソフトウェア検証・妥当性確認技法」など一昔前には見られなかった技法もある。

 ここで3つのマトリックスが生まれる。すなわち「プロセス」と「要素技術」の組み合わせ、「プロセス」と「産業分野」の組み合わせ、および「産業分野」と「要素技術」の組み合わせである。各プロセスでどのような要素技術が使われ、また品質保証のために必要なのか。またそれぞれの産業分野で必要な要素技術とは何かなど、ガイドブックに記述の有る無しとして、巻頭に3種のマトリックス図として記載がある。

 ここからの品質保証や品質管理の詳細について、すべての内容に精通することは容易ではない。やはりガイドブックを手元において、必要の都度該当箇所を読み返すことが望まれる。しかしながら、折角のこのガイドブックがどれだけ普及しているかは、若干心細い。

 以下本題から外れるのだけれど、今年1月、新版品質保証ガイドブック出版記念シンポジウムが、東京都杉並区高円寺の日科技連で開かれた。146名の出席があり、会場は満席であったのだけれど、事務局からは、「出席者の所属する企業・団体または個人のうち、新版ガイドブックを購入しているのは21件で、本日購入申し込みをしたのはまだ1件に留まっている。」という購入を促す話があった。

 私などの世界でも類い稀な弱小経営コンサルタント事務所でさえ、いち早く予約購入したものを、シンポジウムに参集した識者とおぼしき面々やその所属団体でさえ、そのうち僅か15%しかガイドブックを購入していないことは、現在日本の知的投資への窮乏を象徴しているのではないか。その後の販売状況は分からないし、私の口を挟む問題でもないかもしれないけれど、品質王国日本に油断があるようで侘しい想いがする。


*5)品質保証再考第11回
本稿は (社)日本品質管理学会編2009年11月、日科技連刊“新版品質保証ガイドブック”を参考にしています。
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