会員限定記事
北海道新聞2024年1月26日 5:00
第74回さっぽろ雪まつり(札幌市、札幌観光協会など主催)が2月4日から11日までの8日間、札幌市中央区の大通会場、すすきの会場、東区のつどーむ会場で開かれる。新型コロナウイルスの影響で中止されていたつどーむ会場が復活し、4年ぶりに全3会場のフル開催となる。
大通会場では飲食ブースや国際雪像コンクールも再開し、新たに札幌国際芸術祭「SIAF(サイアフ)2024」が開かれる。期間中は3会場に計196基の雪像と氷像が登場、札幌の冬を彩る。(報道センター 伊藤友佳子、岩内江平)
■大通会場は1~11丁目に雪像123基
主会場の大通会場には大雪像5基、中雪像15基、小雪像103基の計123基が西1~11丁目の約1.1キロにずらりと並ぶ。このうち大雪像2基では夜になると映像を投影するプロジェクションマッピングが楽しめる。
大雪像5基のうち4丁目に登場するのは道内を舞台にした人気アニメ「ゴールデンカムイ」と胆振管内白老町の「民族共生象徴空間(ウポポイ)」をテーマにした作品だ。アイヌ民族の少女アシ?パをはじめとするアニメの主要キャラクターが雪像の中に集結する。
10丁目には、北広島市に昨春開業したプロ野球北海道日本ハムの球場「エスコンフィールド北海道」の大雪像が昨年に続いて登場する。スキーとスノーボードをする2体の新庄剛志監督の雪像が登場し、新たに滑り台を取り付けて来場者が遊べるようにした。滑り台付きの雪像は7丁目に設置される。
5丁目の大雪像は馬産地・北海道にちなんだ「栄光を目指し駆けるサラブレッド」、7丁目はドイツの「ノイシュバンシュタイン城」、8丁目は1952年まで札幌駅舎として使われた「旧札幌停車場」。5、8丁目では夜になるとプロジェクションマッピングが行われ、大雪像に色鮮やかな映像の世界が繰り広げられる。
4年ぶりに復活する飲食ブースは1、4、5、10丁目に展開し、温かい食べ物や飲み物を購入できる。6丁目には「とうきびハウス」も出店し、大通公園名物の焼きトウモロコシなどを味わえる。
2丁目は札幌国際芸術祭「SIAF(サイアフ)2024」の会場の一つになる。この芸術祭は3年ごとに開かれ、冬に開かれるのは初めて。大通会場では「とある未来の雪のまち」をテーマにした世界が出現する。このうち人の動きに反応して光と音が変化する大型作品「エアシップ・オーケストラ」は夜の星々から飛来した異世界のキャラクターをイメージしている。自動運転車なども用意し、未来の暮らしや移動を考える機会をつくる。
■5丁目「道新 雪の広場」 夜は競走馬の映像も
5丁目「道新 雪の広場」の大雪像「栄光を目指し駆けるサラブレッド」は札幌競馬場をイメージしたスタンドを背景に競走馬が疾走する姿を表現している。国内で生産されるサラブレッドの約98%、約7千頭が北海道生まれだ。
夜のプロジェクションマッピングでは道内の豊かな自然の中で競走馬が成長し、レースに挑む姿を描いた動画を大雪像に投影。国内最大の馬産地・北海道の魅力を発信する。
同じ会場では、雪まつり期間中の2月10日に札幌ドーム(札幌市豊平区)で公演する英国の人気ロックバンド、クイーンと米国の歌手アダム・ランバートの来日を記念した中雪像も登場する。毎日午後5時ごろからは雪像に照明を当てながら代表曲「ウィ・ウィル・ロック・ユー」と「ウィ・アー・ザ・チャンピオン」を流し、会場をライブのように盛り上げる。クイーンファンを中心に多くの人が楽しめる内容だ。
■11丁目「国際広場」 世界9チームが雪像を競う
国際雪像コンクールは世界の国や地域、都市の芸術家や料理人、デザイナーらでつくるチームが参加し、雪像の出来栄えを競う人気行事だ。
1974年に始まり48回目となる今回は札幌市の姉妹都市である韓国・大田広域市と米国ポートランド市をはじめ、タイやインドネシア、モンゴル、ポーランドなどの計9チームが参加する。
このうちタイは現在3連覇中。前回はウミガメの雪像を通して豊かな自然環境の保全を訴えた。準優勝はインドネシアだった。各地の動物や植物、文化などが反映される国際色豊かな雪像を比べてみるのも面白い。
製作期間は2月3日から6日まで。雪像を作る風景を雪まつり期間中に間近で見られるのも魅力の一つになっている。コロナ禍の中止を経て4年ぶりの開催で、審査と表彰式は7日に行われる。
■つどーむ会場
同じく4年ぶりに復活する東区のつどーむ会場(栄町)は、氷の滑り台やチューブスライダーなど屋内外の体験コーナーが毎回人気を呼んでいる。
屋外会場の遊戯施設や企画、展示などは16カ所。チューブスライダーは7メートルの高さからチューブに乗って雪の滑り台を約80メートル滑り降りる北国らしい豪快な遊びだ。雪玉当てや雪の迷路などもあり、記念撮影コーナーでは雪の壁に掘られた人型にはまった格好で写真を撮れる。2月5日には高校生のスノーオブジェコンテストが開かれ、札幌圏12校の生徒が雪像作りを競う。会場には地域住民による雪像も1基設置される。
屋内会場のアトラクション「キッズパーク」の遊具は計7カ所で全て有料。高さ約12メートル全長32メートルの大型滑り台、高さ約8メートルまでジャンプできる巨大トランポリンなどを親子連れで楽しめる。屋内グルメコートではカレーやラーメンなどを味わえる。
つどーむ会場は午前10時~午後4時。一般用の駐車場はなく、期間中は札幌市営地下鉄東豊線「栄町駅」と会場を結ぶシャトルバスを5~15分間隔で運行する。片道100円で現金のみ。小学生以下や65歳以上の高齢者らは無料。
■すすきの会場 ネオンとともに輝く氷の世界
すすきの会場「すすきのアイスワールド」は札幌駅前通(西3、4丁目)の南4~6条間を歩行者天国にして、繁華街ススキノのネオンとともにさまざまな氷が輝く幻想的な世界を作り上げる。
テーマは「氷を楽しむ・触れる」。氷像は60基を設置し、氷の中に本物のサケやカニを閉じ込めた「魚入り氷像」や、迫力あるアイヌ文化の大氷像、道内民放5社のキャラクターの氷像などが並ぶ。日没から午後11時(最終日は午後10時)までライトアップし、氷像を照らす。
恒例の氷彫刻コンクールにはホテルの料理人ら10人が参加する。雪まつり初日の2月4日午後2時半から5日午前9時半まで会場で作業するため、完成品だけでなく、氷を彫り上げ、徐々に彫刻として仕上げていく過程も楽しめる。表彰式は5日午前11時から行う。
コロナ禍が落ち着き、多くの観光客が見込まれるため、インフォメーションカウンターを設け、グッズ販売や会場案内を行うほか、記念写真を撮るなど「おもてなし」にも力を入れる。
すすきの会場は1981年にすすきの観光協会が初開催した「すすきの雪まつり」が始まり。83年にさっぽろ雪まつり会場の一つになった。
<主なイベント>
・・・・・・・・・・
※問い合わせは次の通り
開幕前 さっぽろ雪まつり実行委員会、電話011・281・6400
開催期間中 運営本部(大通会場)、電話011・231・5065
(つどーむ会場)、電話011・787・5000
※すすきの会場はすすきの観光協会、電話011・518・2005