RENOTE2023.05.30
オソマとは、野田サトル原作の漫画・アニメ『ゴールデンカムイ』の登場人物。太い眉毛とどんぐりまなこが特徴のアイヌの少女で、主人公の杉元佐一の相棒である同じくアイヌの少女・アシリパの従妹にあたる。和人に興味を持ち、傷を癒すためにアシリパたちに連れてこられた第七師団の兵士・谷垣源次郎に懐く。作中ではアイヌの文化の紹介だけでなく、第七師団の造反組・尾形百之助の狙撃から谷垣の命を救うなどの活躍を見せた。
オソマの概要
オソマとは、野田サトル原作漫画・アニメ『ゴールデンカムイ』の登場人物。太い眉毛とどんぐりまなこが特徴のアイヌの少女。父親のマカナックルによく似た風貌をしている。病魔除けの幼名として「糞」という意味の名前を付けられている。主人公の杉元佐一(すぎもとさいち)の相棒であるアイヌの少女・アシリパの従妹にあたり、度々アシリパの家で過ごす姿が描かれている。和人に興味を持ち、アイヌとは違う耳たぶの彼らの耳を指さしては、「シンナキサラ!」と叫ぶ。また、アイヌの遊戯具を使って遊びに夢中になる姿が度々登場する。
毒矢の傷を癒すためにアシリパたちに連れてこられた第七師団の兵士・谷垣源次郎(たにがきげんじろう)に懐き、子供ながらに好意を寄せるようになる。第七師団の造反組である尾形百之助(おがたひゃくのすけ)らがコタン(村)を訪れた際、偶然とはいえ尾形の狙撃から谷垣の命を救うなどの活躍を見せた。
オソマののプロフィール・人物像

CV: 朝井彩加
主人公・杉元佐一(すぎもとさいち)の相棒であり、キーパーソンとなるアイヌの少女・アシリパの従妹。父であるマカナックルによく似ており、太い眉毛とどんぐりまなこが特徴的な少女である。アイヌ独特の風習に沿い、病魔除けの幼名として「糞」という意味の名前をつけられている。和人に興味津々で、杉元や彼らの仲間になった白石由竹(しらいしよしたけ)などに「自分たちと違う耳たぶを持つ」という意味のアイヌ語「シンナキサラ!」を連呼する。日がな一日遊戯に明け暮れる姿が描かれているが、負傷した第七師団の谷垣源次郎(たにがきげんじろう)がアシリパ達に連れられてくると、フチと共に谷垣の世話をするようになる。谷垣に心を開き、常に付き添い、幼い身ながら窮地には助力した。また、谷垣がコタンを出て行く際は未完成ながらも自作のテクンペ(手甲)を渡し、涙ぐんで見送った。
オソマの装備・能力
遊戯具
セイピラッカ(貝下駄)
オソマお気に入りの遊戯具。ほっき貝の殻としなの木の樹皮を編んだ縄で作ったもので、連日遊ぶほどハマっていた。傷の癒えた谷垣にも遊ぶように勧めるが、セイピラッカで遊ぶには谷垣は重すぎたために貝が砕け、足の裏をざっくりと切る大けがを負った。
ムックリ(口琴)
手で紐を引っ張って演奏する。ビイヨヨーンという音がする。オソマは唇が腫れるほどムックリを夢中になって演奏していた。
キサラリ
耳長お化けという意味の棒。恐ろしい声と共に窓の外から突然突き出し、子供を驚かすおもちゃ。アシリパのキサラリが一番怖く、オソマは思わず漏らしてしまう。
アイヌの衣服
アットゥシ
オヒョウという木の繊維で織られた衣服。川の近くに暮らすアイヌの生活に適応しており、水にぬれても乾くのが早い。和人からは厚司と呼ばれている。
オソマの来歴・活躍
和人との出会い
谷垣たち第七師団の襲撃後、小熊を連れてコタンに戻ることになった杉元とアシリパ。和人を歓迎しないだろうと考えていた杉元の意に反し、彼はアイヌたちに受け入れられた。そこへ「シンナキサラ」と杉元を指差して登場してのが、アシリパの従妹・オソマだった。「シンナキサラ」とは、「私たちと違う変な耳」という意味で、アイヌの丸くて厚い耳たぶとは違う和人に興味津々である。杉元に名を聞かれると、『あたし「オソマ」』と自己紹介し、杉元たちが連れ帰った子熊をアシリパのフチ(祖母)が世話する様子を見ていた。
杉元がコタンに滞在する間は、窓の外から棒をちらちら出しながら、この世のものとは思えない声を出して子供を驚かせるキサラリ(耳長お化け)によって、お漏らしするほど怖がったり、ウコ・カリプ・チュイ(投げ輪突き)といって、つる輪を高く投げ上げ数人で競って棒で受ける遊びに興じていた。
谷垣との交流
悪魔の熊撃ちと恐れられた、刺青の囚人・二瓶鉄造(にへいてつぞう)と杉元たちが決着をつけた後、アマッポと呼ばれるアイヌの毒矢を受けて重傷を負った谷垣が、アシリパたちに連れられてコタンにやって来た。コタンに辿り着くと早速、杉元一行に加わっていた刺青の囚人・白石らに向かって「シンナキサラ!!」と叫び、興味を抱く。さらにオソマは怪我を負っている谷垣のため、フチと協力して食事を摂らせようと世話をする。
やがて、松葉杖を付いて歩けるまでに回復した谷垣は、コタンの子供たちと共に焚きつけになるシタッ(白樺の樹皮)を集めていた。コタンに戻ると、フチの家の中の様子を伺うオソマの姿があり、中に和人がいることを伝える。しかし、そこにいたのは杉元たちではなく、第七師団の造反組である尾形百之介(おがたひゃくのすけ)と二階堂浩平(にかいどうこうへい)だった。谷垣と尾形たちとの間に緊迫した雰囲気が漂う中、オソマは一人、和人がたくさんいることに興奮する。その後、尾形たちが去ると、フチたちに迷惑をかけたくない谷垣はコタンを出る決意をする。世話になった恩返しをしたかったが、もう出て行かなくてはという気持ちを伝えようとするが、和人の言葉が分からないフチには通じない。和人の言葉が分かるオソマに通訳を頼むが、谷垣に心を開いていたオソマは彼がコタンを去ろうとしていることを知り、悲しくて首を横に振ることしかできなかった。再びフチに話しかけた谷垣は思わず涙をこぼし、オソマは「シンナキサラ!」と叫んで彼の耳を引っ張りあげた。その瞬間、谷垣の額を弾丸がかすめた。コタンを去ったと見せかけ、尾形たちは遠距離からの狙撃で谷垣を殺そうとしたのだ。オソマの行動がなければ、尾形の銃弾が脳天に命中していたはず。オソマの行動は、谷垣の命を救った。実は尾形はフチの家を出ていく際に、谷垣の銃のボルトを抜き取っており、その為に銃を使うことができなくなった。狙撃の達人と銃なしでどう戦うのかと考えあぐねていたところ、そこへオソマが泣きながら「リュウが安心するから寝るとこに隠しとけって」と二瓶の銃を持ってやって来た。幼いながらも谷垣を助けるために行動したオソマ。彼女の機転により、銃を手にした谷垣は、尾形らを出し抜ぬいて彼らを退けると、無事コタンに戻った。オソマはフチと共に笑顔で谷垣を出迎えたのだった。
谷垣との別れ
冬が終わり、春がやって来た。オソマは傷の癒えた谷垣と共に、山菜や野草を採る。サクラマスを捕ってきた白石らがコタンに戻ると、皆で春に食べる汁物で一番おいしいイチャニウのオハウ(サクラマスの汁物)を食べた。
しかし穏やかな時間は長くは続かず、占いを得意とするアイヌの女性・インカラマッがコタンに現れ、フチにアシリパの仲間の中に裏切り者がいること、彼女の命が危ないことを告げる。その話を側で聞いていたオソマは、ショックからおねしょをするようになってしまった。落ち込むフチのために、今まで世話になった恩を返す時だと、コタンを出る決意をした谷垣。旅立ちの日、オソマは泣き続け、谷垣の方を見ようとしない。父に促され、ボロボロのテクンぺ(手甲)を渡した。アイヌの女は好きな男にテクンぺを作って渡すのだそう。フチに手伝ってもらって、片方だけ何とか作れたテクンペはボロボロだったが、谷垣からは「ありがとうオソマ 必ず戻るからもう片方作っておいてくれ」と言われ、コクリとうなずいた。
網走監獄襲撃や、樺太でのアシリパ奪還を経て北海道に戻ってきた谷垣。アシリパからの伝言をフチに伝えるためにコタンを訪れた。その際、オソマは二度見して瞳をうるませたが、アイヌの少年に名前を呼ばれると、谷垣ではなく、笑顔で少年の元へ走って行った。
オソマの関連人物・キャラクター
アシリパ
のっぺら坊ことウィルクの一人娘。アイヌの少女で北海道の自然に詳しく、弓の名手である。トリカブトの毒を用いた毒矢でヒグマをも倒してしまう。普段は明るくて無邪気であるが、一方で聡明で鋭く、洞察力が高い。
オソマの従姉にあたり、一緒に食事を摂ったり、オソマを含めたコタンの子供たちと遊ぶ姿が見られた。
フチ
アシリパやオソマの祖母。みんなからアイヌ語で「おばあちゃん」という意味の「フチ」と呼ばれている。
和人の言葉は分からないものの、アシリパやオソマなどを介して杉元たちとコミュニケーションをとる。コタンを訪れる客人をもてなす優しい人物。オソマはよくフチの家に出入りしており、フチが山菜取りをしたり、子熊の世話をするのを手伝ったり、怪我をした谷垣を二人で介助していた。
マカナックル
アシㇼパの母方の叔父でオソマの父。アシㇼパからはアチャポ(叔父さん)と呼ばれている。和人を相手に商売をしているため、日本語の読み書きができる。先祖のアイヌらが集めた砂金の存在を知っているが、川からの恵みを尊んで川を汚さないようにしてきたアイヌの生き方から外れていたことから、砂金を「呪われたもの」と評していた。杉元や谷垣にアイヌの文化を教えるだけでなく、数々の助言をした。
杉元佐一(すぎもとさいち)
『ゴールデンカムイ』の主人公。「不死身の杉元」の異名を持ち、驚異的な生命力と戦闘力を持つ。物語当初は故郷の幼馴染の女性の目の病気を治す為に金塊を狙うが、物語が進むにつれてアシリパの力になりたいという想いから金塊を狙うようになる。
オソマとの出会いは、アシリパに連れられて彼女の住むコタンを訪れた時である。その際、オソマから「シンナキサラ!」と声をかけられた。その後も杉元とキサラリを使った遊びをしたり、一緒に食事を摂る姿が見られた。
白石由竹(しらいしよしたけ)
アイヌの隠し金塊の在処を示している刺青を持つ囚人の1人。「脱獄王」の異名を持ち、柔軟な体と関節を自在に外すことができる特異体質により、どんな場所でも抜け出すことができる。博打と女が好きで頼りないが、杉元とアシリパに可能性を感じ、彼らと共に行動をする。
オソマとはアシリパのコタンを訪れた際に出会う。この時彼女から「シンナキサラ!」と声をかけられた。
谷垣源次郎(たにがきげんじろう)
第七師団第27聯隊に所属する一等卒。戦争前は地元の秋田でマタギとして生計を立てていたため、山での追跡や戦いが得意。鶴見の忠実な部下であったが、杉元を追ううちに様々な人物と出会い、マタギの谷垣としての心を取り戻していく。シカ猟の為に仕掛けたアイヌの毒矢を受けて瀕死の重傷を負うが、アシリパの処置とフチたちの看病のお陰で回復した。
オソマもフチと共に谷垣の世話をし、次第に彼に好意を抱くようになる。谷垣もオソマの遊び相手をする描写が度々登場する。また、尾形たちから襲撃を受けた際、オソマの言動により命拾いをしたばかりか、狙撃の名人を退けることに成功した。彼がコタンを出発する際には涙ながらに別れを告げ、自分で作ったテクンぺを渡していた。
尾形百之助(おがたひゃくのすけ)
第七師団第27聯隊に所属する上等兵で、作中きっての狙撃の名手。父親は第七師団長の花沢中将であるが、妾の子であり、正式に認知されていない。幼い頃に両親からの愛情を得られなかったことが心に闇を作り出した。尾形は祖母に育てられた過去を持つため、おばあちゃん子と自称している。
杉元と初めて戦った際に重傷を負ったが、療養していた病院から二階堂を連れて姿を消した。その後、谷垣が滞在するコタンに現れ、二階堂と共にフチの家に上がり込む。その際、オソマも家にあがり、尾形や二階堂の耳を指さしては、和人が大勢いることに興奮していた。
一旦はコタンを去るが、谷垣に造反組であることを悟られないように口封じしようと、遠方から狙撃。オソマが偶然にも耳を引っ張ったことで、谷垣は命拾いをした。
二階堂浩平(にかいどうこうへい)
第七師団第27聯隊に所属する一等卒。見た目がそっくりの双子の兄弟、二階堂洋平(にかいどうようへい)を杉元に殺されたことから、彼に異常なまでの執着を抱くようになる。尾形と共に造反組としてフチの家に上がり込み、谷垣に脅しをかける。
フチの家に和人が来ていることが気になったオソマも谷垣と共に家にあがり、二階堂たちの耳を指さして「シンナキサラ!シンナキサラ!あー忙しい!!」と和人が沢山いることに興奮していた。
オソマの名言・名セリフ/名シーン・名場面
「シンナキサラ」
オソマが和人を見るたびに口にする言葉が「シンナキサラ」である。意味は「私たちと違う変な耳」であり、丸くて厚いアイヌの耳たぶとは違う杉元たちの耳を指さしては口にしている。アイヌの文化や言葉を伝えるだけでなく、和人に対する興味を抑えきれない子供らしさを感じさせるセリフである。
「リュウが安心するから寝るとこに隠しとけって」
コタンを訪れた尾形たちと戦う決意をした谷垣。しかし肝心の銃はボルトを抜かれて使うことができない。狙撃の名手と銃なしでどう戦うのかと考える谷垣に、オソマは「リュウが安心するから寝るとこに隠しとけって」と言って、悪魔の熊撃ちと恐れられた男・二瓶の銃を持ってきたのだ。自分とフチも危機的な状況におり、恐怖を抱いているはずだか、谷垣を助けたいと機転の効いた行動をとったオソマ。彼女が機転を利かせたお陰で、自分とフチが窮地を脱しただけでなく、谷垣が虚をついて尾形らを退けることへとつながった。
オソマの裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
アイヌ文化を読者に紹介するキャラクター
作中にアイヌ文化がよく登場する『ゴールデンカムイ』。オソマは子供の遊びを中心に、アイヌ文化を紹介するキャラクターとしても活躍している。セイピラッカ(貝下駄)やムックリ(口琴)に熱中し、キサラリ(耳長おばけ)を死ぬほど怖がるなど、アイヌの子供たちの生活を知ることができるシーンが多い。
名前の由来
オソマとは、本来「糞」を意味するアイヌ語。このような名前がつけられた理由は、病魔から子供を守るためにあえて汚い言葉を子供の名前としてつけるアイヌの文化にある。この名前はずっと使うものではなく、6歳ごろになってその子供の性格が出てきたり、その子を表すような象徴的な出来事が起こると、改めて名前をつけるのだそう。ちなみにオソマのその後の名前は明らかになっていない。
金塊争奪戦から3年後の姿
金塊争奪戦終結から3年後。アシリパのコタンで暮らす杉元に、白石からの手紙が届いたと告げるオソマ。幼い頃の面影を残しつつ、ぐ大人っぽくなった彼女の姿を見ることができる。
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