先住民族関連ニュース

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歌手島田歌穂さん、ピアニスト島健さんコンサート 東川で9月9日、映画「カムイのうた」披露

2023-08-31 | アイヌ民族関連
会員限定記事
北海道新聞2023年8月30日 21:55(8月30日 22:01更新)

コンサートに出演する島田さん(左)と島さん(所属事務所提供)
 【東川】アイヌ文化伝承者、知里幸恵(1903~22年)の生涯を描く映画「カムイのうた」に出演する歌手で俳優の島田歌穂さんと、夫でピアニストの島健さんによるコンサートが9月9日、町複合交流施設「せんとぴゅあ1」で開かれる。島田さんが映画の主題歌を初めて披露する。
 島田さんはミュージカル「レ・ミゼラブル」の日本公演に1987年から2001年まで出演し、世界ベストキャストとして英国王室主催のコンサートでも歌声を披露した。島さんは作曲家や音楽監督としても活動し、サザンオールスターズの編曲を手がける。
 ・・・・・
(和泉優大)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/901087/

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特別展 アイヌ工芸品展「AINU ART-モレウのうた」

2023-08-31 | アイヌ民族関連
美術展ナビ2023.08.30

公式サイト
https://s-migishi.com/tokubetsu02.html
アイヌ工芸品展は、アイヌ民族文化財団が1997年からアイヌ文化の振興と研究の推進を目的に全国の美術館、博物館で開催している展覧会。国内外の優れたアイヌコレクションを紹介するほか、現在活躍する作家の活動を取り上げてきた。
令和5年度(2023年度)は、アイヌ文様の特徴のひとつであるモレウ(渦巻き文様、カラフトではオシカリカリヘコンパ)をキーワードにして、現代のアイヌアートとともに、先人たちが遺した木彫品や衣服を概観し、多様性とデザイン性に富んだ造形力に注目する。古きものに新しさを発見するほか、現代作家の作品の中にも伝統が息づいていることがわかるだろう。
本展では、小笠原小夜(イラストレーション)、貝澤幸司(木彫)、貝澤徹(木彫)、川村則子(布アート)、下倉洋之(金工)、関根真紀(デザイン)、楢木貴美子(刺繍)、西田香代子(刺繍)、藤戸康平(ミクストメディア)、藤戸幸夫(木彫)、結城幸司(版画ほか)らの近作、新作によりアイヌアートの今を見つめるとともに、国立アイヌ民族博物館、公益財団法人アイヌ民族文化財団などが所蔵する19世紀から20世紀のアイヌコレクション等を展覧。また、尾張徳川家と北海道八雲町のかかわりについても紹介する。
開催概要
会期 2023年9月16日(土)~11月19日(日) 
会場一宮市三岸節子記念美術館
http://s-migishi.com/index.html
  一宮市小信中島字郷南3147-1
観覧料金 当日一般1,000円 詳細は公式サイトへ
休館日 月曜日(9月18日、10月9日は開館)、9月19日、10月10日
お問い合わせ 0586-63-2892
https://artexhibition.jp/exhibitions/20230827-AEJ1558420/

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文化継承、多くの人に 民族共生象徴空間(ウポポイ)職員・茂木涼真さん /北海道

2023-08-31 | アイヌ民族関連
毎日新聞 2023/8/31 地方版 有料記事 2246文字
 「イランカラプテ」。7月、白老町の国立施設「民族共生象徴空間(ウポポイ)」で爽やかな明るい声が響いた。「こんにちは」を意味するアイヌ語だ。公益財団法人・アイヌ民族文化財団の茂木涼真さん(31)。アイヌの家系にありながら、一度はアイヌの世界と距離を置きたいと思った。しかし、一人でも多くの人にアイヌ文化を伝えたいという思いは消えなかった。【山田豊】
就職で一度離れた夢への情熱、再燃
 白老町出身。幼いころは活発で、いつも外で遊び回っては、体に傷をつけて家に帰った。性格や特徴から名付けられるアイヌのあだ名(ポンレ)。茂木さんは傷が付くという意味を含む「ピロマ」と名乗っている。
 父方の祖母が白老町出身のアイヌだが、家族間でアイヌに関する話題が上ることはほとんどなかった。小学生のときに祖母は亡くなり、遺品整理の際、アイヌ文様の着物の切れ端を見つけた。「話を聞きたかった」と思ったことを覚えている。
 「上の世代の人に比べると、差別されたという意識はほとんどない」と語るが、中学校で抱いた疑問がある。日本史の授業中、ふと教室で「日本史の授業はあるのにアイヌ史がないのはなぜだろう」と考えた。教科書をめくっても、アイヌに関する記述は数行だけだった。「学校でルーツを勉強することもできないのか」
 友人らと「アイヌにルーツがある」と話をすることもほとんどなく、アイヌ、和人の区別を意識することのない学生生活を送ったが、「教科書に2行だけのアイヌは、その前にどんなことがあって、その先はどうなったのか。アイヌにしかルーツがない人は、日本の学校教育だけでは先祖のことも満足に知ることができない」と感じた。
 アイヌを意識するようになったのは高校2年のとき。札幌大学から届いた「ウレシパ奨学制度」に関する資料がきっかけだった。制度は「所定の要件を満たすアイヌ子弟が札幌大に入学し、ウレシパ・プロジェクトに主体的に参加しながら修学に努めれば、授業料相当額の奨学金を得られる」という内容で、茂木さんはウレシパ2期生として応募し、札幌大に入学した。
 奨学生は積極的にアイヌ文化に関わる学習活動を行い、成果を社会に向けて発信する使命を持って修学することが求められる。茂木さんは大学で学芸員資格を取得した。「歴史を学ぶだけでなく、生まれ育った白老以外の二風谷や阿寒などのアイヌとも交流し、アイヌ文化の奥深さを知ることができた」と振り返る。学芸員として、魅力を多くの人に知ってもらいたかった。
 ところが、大学卒業後は自動ドアメーカーに就職した。「深い理由はないけれど、大学時代にみっちりと関わり過ぎた反動かもしれない」と言う。アイヌの世界から少し距離を置きたいと考えるようになっていた。
 27歳まで営業職として働いたが、ある日、インタビューを受ける機会があった。「民族共生象徴空間(ウポポイ)」が開業する前、博物館の職員から「今、アイヌにルーツがある人は、どんな仕事をしているのか」というテーマで話を聞きたいと誘われた。
 快諾し、受け答えを繰り返す中で、「高校卒業後はすぐ働いてもいい」と思いながらも、大学に進学した初心を思い出した。それは「アイヌ関連施設で、自分のルーツでもあるアイヌ文化を守り、一人でも多くの人に興味や関心を持ってもらえるように伝えたい」という夢だった。インタビューを受ける中で、目標に向かって懸命に励んだあの頃の気持ちが掘り起こされた。
 ・・・・・
 長く差別と偏見に苦しんできたアイヌ民族。法律で初めて「先住民族」と規定したアイヌ施策推進法(アイヌ新法)が施行されてからまだ4年あまりだ。差別が解消されたと言えない中、「内なるアイヌ」と向き合い、ルーツをつなごうとしている人たちがいる。その群像から「手を重ね合わせる(エテケカンパ)」共生社会のあり方を探る。=随時掲載
https://mainichi.jp/articles/20230831/ddl/k01/040/010000c

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アイヌ文様の 刺しゅう体験 ランチョンマット作る  白老

2023-08-31 | アイヌ民族関連
苫小牧民報2023/8/30配信
 白老町の一般社団法人白老モシリは26、27両日、町末広町のしらおいイオル事務所チキサニで「刺しゅう体験」を行った。町内外から11人が参加し、2日間かけてアイヌ文様の刺しゅうを施したランチョンマットを制作した。  町内のアイヌ文様刺し…
この続き:219文字
https://www.tomamin.co.jp/article/news/area2/116450/

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ウポポイの 役割で意見交換 白老でシンポジウム

2023-08-31 | アイヌ民族関連
苫小牧民報2023.08.30
白老町の民族共生象徴空間(ウポポイ)の中核施設・国立アイヌ民族博物館と、北海道大学アイヌ・先住民研究センター(札幌市)は29日、シンポジウム「共生の道をいかに歩むのか」をウポポイ内で開いた。オンラインを含め約200人が参加し、対談や講演を通じてウポポイの在り方を考えた。

対談する加藤センター長(右)と佐々木館長
 両主催者が2020年に締結した学術連携・協力に関する協定による事業。アイヌ文化の復興・創造や差別のない多様な文化を持つ社会構築のため、開業3年を迎えたウポポイがどのように象徴としての役割を果たしていくのかを考えようと実施した。
 対談では、同センターの加藤博文センター長と同館の佐々木史郎館長が登壇。加藤センター長はこれまでの研究について、アイヌ民族が関わる機会がないまま研究者によってつくられた歴史観が発信されてきたと指摘し、同博物館では「展示を通じて北海道のアイヌ民族独自の歴史をつくっていくことも役割の一つだ」と強調した。
 佐々木館長は開館当初、和人が作った物も展示したことにネット上で疑問の声が上がったことに触れ、「アイヌが手に入れ、独自の解釈で使用しており、アイヌ文化を示す物として欠かせない資料だ」と力を込めた。
 同センターの山崎幸治教授の講演では、海外博物館での先住民族の文化展示事例を紹介し「課題や挑戦は世界共通。国外を見て、ウポポイからも発信することで学び合える」と話した。
https://hokkaido-nl.jp/article/30660

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カタツムリは「殻のあるナメクジ」ではない…日本人が誤解している「カタツムリ」と「ナメクジ」の意外な関係

2023-08-31 | アイヌ民族関連
プレジデント8/30(水) 17:17配信
カタツムリは殻を取るとどうなるのか。沖縄大学の盛口満教授は「殻の中には内臓が詰まっており、カタツムリは死んでしまう。『ナメクジになる』と誤解している人は多いが、全く別の生き物だ」という――。
 ※本稿は、盛口満『マイマイは美味いのか』(岩波書店)の一部を再編集したものです。
■カタツムリは虫なのか
 私は現在、大学で小学校教員養成課程を軸とする学科に所属している。その関係で、小学校に出張授業に出かけることがある。その授業の中で、小学生のカタツムリに対しての認識の一端を知る機会があったので紹介することにしよう。
 小学校3年生の理科の単元の一つに、「こんちゅう」の学習がある。その単元に関する授業を頼まれたら、まずクラスの子どもたちに「好きな虫」「キライな虫」を教えてもらっている。子どもたちが「虫」というものに、どんなイメージをもっているかをさぐるためである。いくつかの小学校での「キライな虫」の回答例を取り上げて、図表1にしてみた。
 ゴキブリのようにどのクラスでも名前があがる定番の虫もいるが、それ以外にも、実にさまざまな「虫」の名があがっている。授業ではこのやりとりから「虫にもいろいろいるけれど、虫にはどんなグループがあるかを考えていこう」……つまり、昆虫と、昆虫以外の生き物をきちんと分けてみようという内容に進むのだけれど、ここで注目したいのは、小学生の子どもたちにとって、ナメクジやカタツムリは、しばしば「虫」というくくりとして認識されているという点だ。
 カタツムリは「虫」だろうか。
■「虫」の定義は意外とあいまい
 ここで、江戸時代の1800年代に出版された、小野蘭山の手になる本草書である『本草綱目啓蒙』をひもといてみることにする。『本草綱目啓蒙』では動物を獣部、禽部、鱗部、介部、虫部に分けている。このうちハマグリやアワビは「介」と呼ばれる生き物としてひとまとめにされている。加えてカニやカメの仲間も「介」に含まれている。カタツムリは「介」ではなく、虫部の中の湿生類に置かれている。『本草綱目啓蒙』の虫部には、カタツムリのほかにミミズやムカデ、ヒル、カエルも含まれている。
 このように日本語の「虫」は、きわめてあいまいな範囲の生き物を指し示す用語だ。そして日本の伝統的な生物分類にならうなら、カタツムリは「虫」なのだ。そのため、小学生がカタツムリを「虫」に分類するのは間違いではない。そして、私たちがカタツムリを見ても食欲がわかないのも、そうした認識のありようがからんでいるように思う。
 アイヌの人々にとっても同様で、カタツムリはアイヌ語ではアネ・ケム・ポ(細い針。針は触角や眼柄を表しているらしい)、キナ・モコリリ(草にいる巻貝)と呼ばれる。「殻をもち、陸上生活をするカタツムリは、〈カイ〉と〈ムシ〉の両義的性格をもつが、〈ムシ〉に類別される。(中略)カタツムリが〈ムシ〉に類別されるのは、殻をもつという〈カイ〉との形態的類似よりも地表をはうという〈ムシ〉との類似に因る」とあり、カタツムリは「虫」の仲間として認知されていたという。
■ヨーロッパでは貝の仲間に分類されていた
 しかし、生物学的に見た場合は、一般的に「虫」という名称で思い浮かぶ、昆虫やクモといった節足動物に分類される陸上無脊椎動物と、カタツムリはかなり縁の遠いもの同士だ。カタツムリは、海に棲んでいる巻貝(軟体動物)のうち、陸上に進出したもののことである。
 端的にいえば、カタツムリは貝(陸に棲む貝なので、陸貝と呼ぶ)だ。ただし、貝は海に棲む生き物というイメージが強いせいか、はたまたデンデンムシという名称が影響しているのか、カタツムリは貝とは別の生き物であるというイメージがもたれてしまうわけである。
 なお、アリストテレスによって紀元前4世紀に書かれた『動物誌』を見てみると、アリストテレスは動物を有血動物(現在の脊椎動物に相当する)と無血動物の二つに分け、さらに無血動物を、軟体類、軟殻類、有節類、殻皮類などに分けている。そして、カタツムリは、そのうちの殻皮類に海の貝と一緒に分類されている。
 ヨーロッパではこのように、生物分類の試みの当初から、カタツムリを海の貝と同じ仲間に区分けしていた(英語でカタツムリをland snail――陸の巻貝――と呼ぶこともあり、ヨーロッパの人々はカタツムリを虫の仲間とは思わないのではないだろうか)。
■「カタツムリは殻を脱いだらナメクジ」は本当か
 沖縄島に移住してしばらくしてから、地元の新聞で、子ども向けの自然記事の連載を始めることになった。ある年、その新聞への寄稿者を集めた忘年会の席で、思いがけなくカタツムリの話となった。
 「カタツムリの殻のないのがナメクジじゃなくて、別のものなんですか?」
 そんなふうに、まず聞かれた。
 この質問について少し解説すると、これは、質問者が「カタツムリは殻を脱いだらナメクジになる」という認識をもち、その認識に基づいて質問をしていることを示している。つまり、「カタツムリの殻が脱げたのがナメクジだと思っていたのですが、カタツムリとナメクジはもともと別の生き物なのですか?」と、この人は聞いてきたわけである。
 この発言に見られるような、「カタツムリは殻を脱いだらナメクジになる」、すなわち「カタツムリの本体は、ヤドカリのように殻を出入りすることができる」という認識を、私は「カタツムリ=ヤドカリ説」と名付けている。最初に私がこの認識の存在に気づいたのは、埼玉の学校での教員時代、生徒とのやりとりの中においてだ。あとでまた紹介するが、この認識は、私の勤務している大学の学生たちの中にも少なからず散見される。
■カタツムリとナメクジが同じ呼び名の地域もある
 過去にさかのぼって、日本人がどのようにカタツムリとナメクジの関係を認識していたのかを調べてみると、古い時代においても「カタツムリ=ヤドカリ説」につながるような記述を見ることができる。
 寺島良安の手になる江戸時代の百科事典、『和漢三才図会』(1712年成立)を見ると、ナメクジの項には「蛞蝓と蝸牛とは二つの異なったものである。蝸牛の老いたものと同一物とするのは甚だ謬(あやま)りである」と書かれてあり、両者はまったく異なるものであると説明がなされている。ただし、わざわざそう書かれているということは、両者は同一物と思う人が少なからずいたということでもある。
 一方、『和漢三才図会』に先だって出版された、人見必大の著した食物百科、『本朝食鑑』(1697年刊)には、薬材としてナメクジのみが取り上げられている。そこには、いまだ殻を脱していないものをカタツムリといい、すでに殻を脱したものをナメクジという、といった内容が書かれていて、「カタツムリ=ヤドカリ説」に通じる認識がこの時代にも存在していたことが、はっきりわかる。
 おもしろいことに、カタツムリの方言を全国レベルで調べ、『蝸牛考』という論考を書いた柳田國男によると、地域によって、カタツムリとナメクジを同一の名称で呼ぶところがあり、それどころか同一の名称で呼ぶことは「決して珍らしい例でも何でもないのである」という。
 柳田によると、肥前・肥後・筑後の各地や壱岐ではカタツムリをナメクジというほか、津軽ではナメクジ、カタツムリを両者ともナメクジリという、とある。また秋田・比内ではカタツムリをナメクジリ、ナメクジをナメクジというほか、飛驒の北部では、カタツムリとナメクジの両方をマメクジリやマメクジラと呼ぶと書いている。なお、長崎県の諫早ではカタツムリはツウノアルナメクジ、つまり「甲羅のあるナメクジ」といい、ナメクジのほうが命名の基準となっている。
■生物学的には殻が退化したのがナメクジ
 生物学的な視点に立てば、ナメクジというのは、カタツムリのうち、殻を退化させたもののことである。だから、ナメクジの先祖はカタツムリだ。また、カタツムリのほうがナメクジよりも圧倒的に種数が多い。そうしたことからいえば、例えばナメクジに対して「ハダカカタツムリ」なる呼称を附与するとしたら、その理屈はわかる。
 けれど、その逆に、カタツムリに「ツウノアルナメクジ」と命名する理屈はすぐにはわかりにくい。これは、ナメクジがナメクジとカタツムリ共通の「本体」で、ナメクジが殻に入っている状態がカタツムリ(「ツウノアルナメクジ」)と思っていた(つまり、「カタツムリ=ヤドカリ説」による認識)ということを意味しているように思える。もっとも、これは推測にすぎない。言語学上、両者の関係が、なぜそのようにとらえられていたのかということをきちんと解き明かすのは、私には難しい。
■カタツムリとナメクジが入れ替わることはない
 ともあれ、一生の間に、カタツムリとナメクジが入れ替わることはない。カタツムリからナメクジへの変化は、進化と呼ばれる長い年月の間に起こった現象だ。ナメクジの中には、まだすっかりナメクジ化しておらず、背中に先祖ゆずりの殻の名残を背負っているものもいる。
 なお、カタツムリからナメクジへの進化は、さまざまなカタツムリの系統において、独自に起きている。つまり、「ナメクジ」とひとまとめにされる生き物は、生物分類学的にいうと同一のグループに所属しているわけではなく、見かけ上の似た者同士をひとくくりにしたものの総称にすぎない。
 参考までに、日本産の主なナメクジ類の分類上の位置づけを紹介すると、図表2のようになる。
 潮の引いた干潟や磯に行くと、イソアワモチという、一見ウミウシのような殻をもたない貝の仲間が岩や泥の上を這い回っている姿を見るが、このイソアワモチは、海に棲む収眼類の貝だ(図版1)。
 収眼類のナメクジは、陸上で貝殻を退化させた柄眼類のナメクジたちとはまったくグループが異なり、もともと海に棲んでいたときから貝殻を退化させていたグループである。すなわちアシヒダナメクジやイボイボナメクジなどの収眼類のナメクジは、柄眼類とは別個に陸上に進出したものであり、生態的にも興味深い仲間である。
■殻を外されるとカタツムリは死んでしまう
 実際問題、カタツムリの殻を「脱がす」と、カタツムリは死んでしまう。カタツムリとナメクジは別の生き物であり、カタツムリの中で、殻をなくす方向に進化したものがナメクジである。そうしたことを、忘年会の席上、「カタツムリ=ヤドカリ説」を信じていた質問者に説明した。
 「昨日や今日、殻をなくしたわけじゃないんですね」
「そうですよ。よく、カタツムリの殻を取ったらナメクジになる?  なんて言う人がいますけど、カタツムリの殻を取ったら、内臓が出てきて死んじゃいますよ。ナメクジはその内臓を体の中にしまったんです」
「えっ、内臓があるんですか?」
 今度は、こんなことを聞き返されてしまう。カタツムリの殻の中身がどうなっているかは、一般的にはブラックボックスであるわけだ。
 「アフリカマイマイもカタツムリですか?」
 続いて、そんな質問が繰り出された。アフリカマイマイは、沖縄の島々では普通に見かけるカタツムリだ。殻は一般的なカタツムリのように丸まった形ではなく、海に棲む巻貝でよく見かけるような先細りをした形だ。最大で20センチにもなるというが、よく見かけるのは殻長が10センチたらずの大きさのものだ。
 アフリカマイマイは戦前、食用になるという触れ込みで沖縄に持ち込まれ、その後、野生化して作物の害虫と化した。また体内に、人にも被害を及ぼすことのある寄生虫(広東住血線虫)を宿しているため、大型で目立つだけでなく、沖縄ではきわめて知名度が高い生き物となっている。もっとも、知名度が高いというのは「キラワレモノ」としてだ。
■カタツムリに詳しい人は多くない
 ところで、こうしたやりとりによって気づいたのは、どうやら沖縄の一般の人々は、陸に棲む貝に対して、認識上、「ナメクジ、カタツムリ」という区分とは別に、「アフリカマイマイ」が特別に意識される存在となっている、ということだ。「アフリカマイマイは、カタツムリとは別物」という認識の存在も見え隠れする。
 この点について、私のゼミ生だった照喜名愛香さんが、大学生を対象にアンケート調査を行ってくれた。「知っているカタツムリの種類」についてのアンケート結果(総数95名、複数回答あり)は、無回答が31名(32%)、アフリカマイマイと回答した者が61名(64%)、ナメクジと回答した者が2名(2%)という結果だった。なお、愛香さんの調査では、エスカルゴのほか、「アオミオカタニシ」といった、カタツムリの個別名をあげた回答が8例見られた。
 以上のことから、沖縄の一般の学生のカタツムリの認識は次のようにまとめることができる。
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・カタツムリはナメクジと区分されている(ただし「カタツムリ=ヤドカリ説」を信じている場合がある)。
・カタツムリの個別名はほとんど知らない。
・カタツムリの中でアフリカマイマイはきわめて知名度が高い(ただし、先に書いたように、カタツムリとは別の区分として、アフリカマイマイをとらえている場合もある)。
・なお、個別名を知らない場合でも、カタツムリに「普通のカタツムリ」と「特別なカタツムリ」という区分がなされている場合がある。後者に含まれるのはエスカルゴなどのカタツムリである。
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 日本全体では、カタツムリとナメクジを合わせて、陸貝は1000種ほどいる。『沖縄県史』によれば、沖縄県だけでも陸貝は140種ほどがいるとされている。しかし、学生のほとんどは、カタツムリにも種類があることはうっすら認識してはいるものの、個別名までは知らない。カタツムリにいったいどのくらい種類があるのかも知らない。
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盛口 満(もりぐち・みつる)
沖縄大学教授
1962年千葉県館山市生まれ。千葉大学生物学科卒。自由の森学園中高等学校理科教師を経て、2000年に沖縄へ移住。以後、珊瑚舎スコーレの活動にかかわる。2007年からは沖縄大学人文学部こども文化学科の教員に。2019年より沖縄大学学長に就任。最近の著書に『生きものとつながる石ころ探検』(少年写真新聞社)、『ゲッチョ先生のトンデモ昆虫記』(ポプラ社)、『めんそーれ!化学』(岩波ジュニア新書)、『琉球列島の里山誌』(東京大学出版会)などがある。
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沖縄大学教授 盛口 満
https://news.yahoo.co.jp/articles/b635372ffad072a45bd84d9a6be58902afab2a8f

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【書評】『海のアイヌの丸木舟』 失われた「お金には変えられない心の問題」の回復

2023-08-31 | アイヌ民族関連
週刊ポスト2023.08.30 16:00

『海のアイヌの丸木舟 ラポロアイヌネイションの闘い』/青柳絵梨子・著
【書評】『海のアイヌの丸木舟 ラポロアイヌネイションの闘い』/青柳絵梨子・著/寿郎社/2640円
【評者】岩瀬達哉(ノンフィクション作家)
 アイヌ語で「大勢で歌うこと」を意味する「ウポポイ」は、北海道開拓史において、明治政府が先住民であるアイヌから奪い取ってきた独自の文化や歴史を広く伝える施設にも名付けられた。
「総事業費約二〇〇億円」を投入した「国立の観光施設」の開業式典で、著者は「何か忘れていませんか」と、むなしさに捕らわれる。
 先住民族のアイヌと、日本民族との「共生の象徴となる空間」と謳ってはいても、最も重要なコンセプトが欠けていたからだ。先祖代々、サケやシカを捕って暮らしてきたアイヌの「先住権」について語ることなく、アイヌの「着物や工芸品」を展示し、「伝統舞踊」を披露するなど、「文化振興」一色にまとめられていたことへの違和感だった。
 北海道浦幌町で漁業などを営む「九人」のアイヌの人々が、十勝川でサケを捕獲するための「先住権」の確認を求め、札幌地裁に訴訟を起こすのは、ウポポイの開業から一カ月後のことだ。
 彼らは、訴訟に先立ち、伝統的な漁法で漁をするための「丸木舟」を完成させていた。「先祖が営んできた川サケ漁を文化的側面から証明」し、行政の規制を受けることなく、アイヌの生業を復活させるために。
 通信社の記者として、その活動を取材してきた著者は、アイヌの権利回復がいかに困難かを、驚くべき情熱で克明に記録している。彼らの祖父母や父母たちは、学術研究と称して「アイヌ民族人体骨」をコレクションにしていた北海道大学や札幌医科大学などを相手に、先祖をアイヌの土地に戻し、眠らせるための「遺骨返還訴訟」を闘った。「お金には変えられない心の問題」が、サケを捕獲する「先住権」訴訟に繋がっている。
 この裁判の行方は不透明ながら、決着前に「北海道知事の特別採捕許可を得て」、丸木舟による伝統的漁法を復活させている。アメリカインディアンの「先住権」回復の歴史にも踏み込み、民族共生社会の多様性について、深く考えさせられる労作。
※週刊ポスト2023年9月8日号
https://www.news-postseven.com/archives/20230830_1899662.html?DETAIL

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クリミア先住民の迫害非難 米、ロシアに拘束者解放求める

2023-08-31 | 先住民族関連
産経新聞2023/8/30 07:23
ブリンケン米国務長官は28日、ロシアが実効支配するウクライナ南部クリミア半島で先住民族クリミア・タタール人への「迫害を続けている」とX(旧ツイッター)に投稿し、ロシアを非難した。新たに大勢が拘束されたとして、解放を要求した。
タタール人はトルコ系で、2014年のロシアによるクリミア半島の併合に強く反対した。(共同)
https://www.sankei.com/article/20230830-Z3DILURPTBIEFDO37247JR2GIM/

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世田谷・瀬田に焼き菓子店「HEIDI'S BAKE」 台湾素材をフランス菓子に

2023-08-31 | 先住民族関連
みんなの経済新聞8/30(水) 9:00配信

店内の様子
 焼き菓子店「HEIDI'S BAKE(ヘイディズ ベイク)」(世田谷区瀬田2)が8月3日、瀬田交差点近くにオープンした。(二子玉川経済新聞)
 台北の「ジョエル・ロブション」や銀座のミシュラン2つ星店「エスキス」、「エスキス」の姉妹店「アジル」で腕を磨いた台湾出身のパティシエHuang Shihching(ファン シーチン)さんが、独立オープンした。店は間借りマッチングプラットフォーム「シェアレストラン」を利用し、「Photo Studio & Cafe TUNE(フォト スタジオ&カフェ チューン)」で間借り営業する。席数はテーブル=8席。
 ファンさんが作るのは、フランス菓子をベースに、台湾のエッセンスを加えた焼き菓子。「最後まで飽きずにさっぱり食べやすい軽い食感を追求している。組み合わせた素材の香りと、サクフワ、サクトロ、フワモチ食感が、口に入れた時に一体となる感じを楽しんでもらいたい」と話す。
 毎朝焼き上げる菓子は、台湾産シナモンを使った「シナモンアップルフィナンシェ」(325円)、パイナップルの甘みにピンクペッパーのアクセントが特徴の「パイナップルピンクペッパーフィナンシェ」(330円)をはじめ、台湾の先住民族タイヤル族が古来使っていたという山胡椒(やまこしょう)で、レモングラスのような香りがするという馬告(マーガオ)を使った「レモン馬告山胡椒スコーン」(320円)、軽やかなサクサク感を出すため3日かけて作るというパイ生地を使った「台湾風サクトロエッグタルト」(280円)、リュウガンの炭で焙煎(ばいせん)したウーロン茶とグラン・マルニエ酒の風味が広がる「台湾炭焼ウーロン茶シュークリーム」(370円)などを用意する。300円増しで、焼き菓子にアイスクリームやミックスベリーなどのソースをトッピングする「焼き菓子アイスサンド」もイートイン限定で提供する。
 ドリンクは、コーヒー(450円)、カフェラテ(500円)をはじめ、茶の益虫ウンカの影響によりマスカットのような甘い香りがするという「蜜香(みっこう)紅茶」(500円)、「自家製レモンスカッシュ」(600円)など。今後はギフトセットなどの通信販売も強化していきたいという。
 ファンさんは「スパイスを使ったフィナンシェや、台湾のウーロンミルクティーをイメージして作ったシュークリームなど、おしゃれな焼き菓子を提供していきたい。窓が大きく明るい店内で、ゆっくりくつろぎながらお気に入りのスイーツを見つけてもらえれば」と話す。
 10時開店(売り切れ次第閉店)。不定休。完全キャッシュレス決済。
https://news.yahoo.co.jp/articles/11af95ac3d63e17f7169b71fdd852ad2804a500a

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【News】ミンダナオ島レイクセブのティボリ族農民グループ、伝統的な稲作復興を目指す

2023-08-31 | 先住民族関連
ダバウオッチ2023年8月30日

レイクセブ
ミンダナオ島南部レイクセブ周辺の少数民族ティボリ族のグループが、ソクサージェン地方で伝統的な作物と農業技術の回復に取り組んでいる。
今年4月に植えた稲が9月に収穫されるまで、ラネル・サムルデ氏(44)は天候不順も苦にせずに仕事を続けている。日中の気温が高くても、午後に雨が降り始めても、傾斜のある高台の畑では、耕運機で土地を耕し、10種類以上の伝統的な稲を育てている。
サムルデ氏は収穫量を増やしたいと考えており、親から何年も前に教わった伝統的な農法にこだわっている。「化学肥料を使わない安全な米が必要。肥料や殺虫剤を買う必要がないので、経済的だし、それでも60袋分躯体は収穫できる。土壌は害虫が少なく、収穫後も肥沃な状態を保てる」とのことだ。
何十年もの間、ティボリ族の食糧システムは、化学合成肥料や化学製品を使用した商業的農法の導入により崩壊し、軽視されてきた。高価値作物の栽培は、地元で栽培されていた陸稲の衰退に繋がった。陸稲はハイブリッド種に取って代わられるにつれ、ティボリ族の伝統的な農法は次第に衰退し、実践者はごく少数となった。
しかし、試験農場の設立により、ティボリ族コミュニティの共同体意識が再燃し、伝統的な陸稲栽培を復活させるという共通の目標に向かって結束が強化された。レイクセブの町では、Lem Bulul農民組合(以下LAF)と呼ばれるティボリ族のグループによって、1ヘクタールの試験農場が運営されている。LAFのリダ・サマル氏は、「この組合は、試験農場に在来品種の種を植え、持続可能性を確保するために共同体意識の向上を目指している」と述べた。また、幹事のウェルナ・サムルデ氏は、陸稲は主に家庭内での消費に回されており、「収穫物を市場に出すことはしない」と語った。
レイクセブ周辺の3つの村の先住民族は、種子バンク都市圏農場の運営を開始し、伝統的な方法を継承し、試験で成果の出た伝統的な品種を利用することに同意した。試験農場は社会的な活動へと発展し、作物のブランディングや維持管理に先住民族の農民全員が参加するようになった。
ティボリ族というとティボリ織(ティナラク)が有名で、その技術が現在も受け継がれているが、農業でも独自の技術を復活させようという動きがあるようだ。農業という点だけでなく、先住民族の共同体の成功例の1つとしても興味深い。今後の組合の運営にも注目したい。
https://davawatch.com/articles/2023/08/30/55303.html

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聖カテリ・テカクウィタの生涯に学ぶ、教皇一般謁見

2023-08-31 | 先住民族関連
バチカンニュース2023年8月30日

教皇フランシスコは、8月30日(水)、バチカンで一般謁見を行われた。
 教皇フランシスコは、8月30日、バチカンのパウロ6世ホールで水曜恒例の一般謁見を行われた。
 「福音宣教の情熱:信者の使徒的熱意」をめぐる謁見中のカテケーシスで、この日教皇は「使徒的熱意の証し人」として、北米の先住民で初めて列聖された、聖カテリ・テカクウィタの生涯を見つめた。
 教皇のカテケーシスの要旨は次のとおり。
**********
 「使徒的熱意」の考察として、今日は、北米の先住民で初めて列聖された聖カテリ・テカクウィタを取り上げたい。
 聖カテリ・テカクウィタは、1656年ごろ、現在のニューヨーク州の村に、モホーク族の酋長と、アルゴンキン族でキリスト教徒の母を両親として生まれた。母は、娘に祈ることや賛歌を歌うことを教えた。わたしたちも、家庭の中で、特に母や祖母から神との出会いをもたらされた者が多いだろう。小さな単純な行いを通して、親たちは子たちが祈りの中で神との語らいを学ぶことを助ける。カテリの信仰の基盤がこうして作られたように、わたしたちもこのように信仰の基礎を据えられた。
 カテリが4歳の時、天然痘の流行により、両親と弟を失った。彼女自身も感染し、顔に瘢痕が残り、視力にダメージを負った。これ以降、カテリは多くの困難に直面することになった。天然痘の後遺症の問題だけでなく、1976年の復活祭にキリスト教の洗礼を受けたことにより、迫害や脅迫に晒されることになったのである。これらのすべてはカテリに十字架への大きな愛を育んだ。十字架は最後までわたしたちに与えつくしたキリストの愛のしるしである。福音を証しするためには、忍耐と信頼、希望をもって日常の十字架を背負うことも必要である。聖カテリ・テカクウィタの生涯は、心をイエスに開き、その恵みを受け取ることで、あらゆる困難に打ち勝つことを教えてくれる。
 受洗後、カテリはモントリオールの近くのイエズス会のミッション内で生活するモホーク族たちの間に逃亡しなくてはならなかった。そこでカテリは毎朝ミサに与り、聖体を礼拝し、ロザリオの祈りをし、贖罪に生きた。カテリの霊的生活はミッションの人々に大きな印象を残し、彼女の中に神への深い愛から生まれた聖性へのあこがれを認めた。同時に、カテリは子どもたちに祈りを教え、病者や高齢者の世話をし、神と隣人への謙遜な奉仕の模範を与えた。
 キリストに完全に生涯を捧げることを望んだカテリは、修道会に入ることはできなかったが、1679年3月25日、貞潔の誓願を立てた。彼女の選択は使徒的熱意のもう一つの側面を示している。それは主への完全な献身である。カテリのように誓願を立てることはできなくとも、すべてのキリスト者は、神と隣人に愛をもって仕えながら、それぞれの召命において心を込めて努力するように召されている。
 カテリの生涯は、使徒的熱意には、祈りと秘跡に培われたキリストとの一致と、キリストのメッセージの素晴らしさを固有の召命への忠実を通して伝えたいとの決意が必要であることを証ししている。カテリはその臨終に、「イエスよ、お愛しします」という美しい言葉を遺した。
 わたしたちも、聖カテリ・テカクウィタのように、神から力をくみ取り、日常的な行為を素晴らしいものとすることを学び、信仰と愛とキリストの熱心な証しにおいて毎日成長していこう。
https://www.vaticannews.va/ja/pope/news/2023-08/udienza-generale-passione-per-evangelizzazione-20230830.html

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WCC「太平洋の諸教会、廃水の投棄を停止するよう日本に呼びかけ」 

2023-08-31 | 先住民族関連
キリスト新聞2023年8月30日

 太平洋教会協議会(PCC)は他の非政府・市民団体に加わって、福島の核廃水を日本が海洋投棄しているのに反対しようと、フィジーの首都スヴァで平和的なデモを行った。世界教会協議会(WCC)が8月29日、公式サイトで明らかにした。
 「日本が最初にこの廃水を投棄する計画を発表したのは2013年」とWCCは説明した。しかし、ロイター通信は2013年8月7日、福島第一原発の汚染水が1日300トン海に流出していると資源エネルギー庁が試算したと報じており、それは計画的な海洋放出とは異なるものであった。
 「教会や他の国々、そして市民社会の組織からの強い異議にもかかわらず、日本は8月24日、その廃水を放出し始める計画を確認した」と続けた。
 WCCによると、太平洋教会協議会の総幹事であるジェームズ・ブハグワン牧師は、太平洋諸島フォーラムによって任命された独立した世界の専門家委員会によって疑われている国際原子力機関の最近の報告書に対してフィジーのシティベニ・ランブカ首相が出した声明に言及したという。
 「これらの専門家たちはフィジーが太平洋諸島フォーラムの議長だった間に任命された」とブハグワン総幹事は述べた。「機能不全に陥った福島の原発から放射性廃棄物が太平洋へと2年間漏れ出していたことが、2013年に日本政府によって明らかにされて以来、過去10年間に、太平洋教会協議会はこの問題について懸念を示してきた」
 その行進の間に、ブハグワン牧師は太平洋へ廃水を投棄するその計画が、実は日本による、最善ではなく最も安い解決策であると、懸念を表した。
 「太平洋教会協議会は同時に、130万トンの核廃水を太平洋に放出するという日本政府と東京電力の決定を覆すために太平洋諸国によってなされた進歩の欠如に対して、深い懸念を表明した」と、WCCは記した。
 WCCはその記事の中で、「6月に発表された共同声明で、太平洋教会協議会や数十の他の団体が、廃水を投棄するというその決定の撤回を呼びかけた」と記した。この「共同声明」は、8月25日に本紙が「PCCは今年の6月20日、太平洋地域にある他の24の団体や32人の学者たち、海外を含む15の支援団体などによる署名を得て、太平洋諸国の指導者たちに対し、福島の廃水投棄に反対するよう求める公開書簡(英文)を発表していた」と報じたものと同じ文書を指している。
 WCCはその記事の最後で、その書簡から一部引用し、「『私たちは現在進行中の気候危機とともにこの地域内における核実験の膨大な遺産を認識しており、それらの両方とも河川や海洋を核の投棄場所扱いにし続ける態度によって悪化するだろう』とその声明には書かれている。『私たちは気候変動の解決策として原子力を推進することや、トリチウムを無害な物質として特性評価することが、発展途上国や先住民族の社会を犠牲にして何十億ドルも生み出す核の秩序を下支えし続けることに気がついているのだ』」と結んだ。
(エキュメニカル・ニュース・ジャパン)
写真=Petero Lalagavivi/Pacific Conference of Churches
http://www.kirishin.com/2023/08/30/61989/

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オーストラリア 先住民に関する憲法改正 10月に国民投票へ

2023-08-31 | 先住民族関連
NHK2023年8月30日 16時45分

オーストラリア政府は、アボリジニなど先住民がオーストラリアの「最初の人々」であることを明記することなどを含む憲法の改正について、ことし10月14日に国民投票を行うと発表しました。
この国民投票は、オーストラリアの先住民、アボリジニとトレス海峡諸島の人たちをオーストラリアの「最初の人々」であることを憲法に明記することや、先住民の声を政策に反映しやすくするための専門機関の創設を憲法に盛り込むことの是非を問うものです。
オーストラリアのアルバニージー首相は、30日午前「先住民とその歴史を憲法で認め、先住民の生活と未来に変化をもたらすことにつながる」と述べ、ことし10月14日に国民投票を行うと発表しました。
アボリジニなどの先住民はオーストラリアの人口の3%余りですが、平均よりも世帯収入や教育水準が低かったり、平均寿命が短かったりして格差が解消されていません。
しかし「優遇は国民の間で分断を生む」として反対する意見もあり、大手全国紙が行った世論調査ではことし4月の時点では賛成派が多かったものの、先月には逆転して、反対する人が48%と、賛成する人の41%を上回っています。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230830/k10014178681000.html

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豪、先住民巡る改憲国民投票 10月に実施

2023-08-31 | 先住民族関連
ロイター2023年8月30日5:17 午後

8月30日、オーストラリアのアルバニージー首相は、先住民の地位を明文化する憲法改正の是非を問う国民投票を10月14日に実施すると発表した。写真は2022年5月、キャンベラのアボリジナル・テント大使館に掲示されたアボリジニー旗’2023年 ロイター/Loren Elliott)
[シドニー 30日 ロイター] - オーストラリアのアルバニージー首相は30日、先住民の地位を明文化する憲法改正の是非を問う国民投票を10月14日に実施すると発表した。
投票では、憲法を改正し、先住民であるアボリジニとトレス海峡諸島民が連邦議会に政策を提言できる諮問機関「議会への声」を設置するかどうかを問う。
アルバニージー首相は国民の団結につながるとして賛成票を投じるよう呼びかけているが、野党・自由党の先住民問題担当幹部は、先住民の諮問機関設置は国の分断につながると反対。
世論も割れており、ここ数カ月は賛成派が減っている。賛成派は国の団結と先住民の医療・教育・雇用・住宅問題を優先できると主張。反対派は人種による国の分断につながり先住民に過剰な発言権が与えられると訴えている。諮問機関は象徴的で実際の権限はないとの見方もある。
先住民は全人口の約3.2%を占めるが、大半の社会経済指標で全国平均を下回る生活を送っている。
国民投票で憲法を改正するハードルは高く、全国で過半数の支持を得た上、6州中4州以上で過半数の支持を集める必要がある。
https://jp.reuters.com/article/australia-indigenous-referendum-idJPKBN3050JX

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明和電機の新感覚楽器「オタマトーン」の呪術性は、アメリカ先住民の「魚を殴る棒」から学んだ!?【CEDEC 2023】

2023-08-31 | 先住民族関連
インサイド8/30(水) 13:00配信

メディアライターの特権のひとつ、それは「憧れていた人物に会えること」です。
CEDEC2023に明和電機の土佐信道氏が登壇すると知った時、筆者は興奮しました。小学生の頃、「地球のプレゼント」を聴いた時はその創造性豊かなサウンドに驚いたものです。「こんな音楽があるのか!?」と……。当時の日本はいよいよ先の見えない不景気に突入し、しかも阪神淡路大震災やオウム真理教のテロリズムが大きな影を落としていました。大人たちが気丈を装いつつも明らかに動揺している中、明和電機の曲は「新しいもの」を子どもたちにプレゼントしてくれたのです。
【画像全5枚】
ただ、筆者より一回り年下の読者にとっての明和電機とは“オタマトーンの開発者”として有名かもしれません。今回の講演でも、オタマトーン制作に至るまでの道程を土佐氏自らが説明しました。
明和電機と「ニュー・ウェイヴ」
土佐氏の父は、かつて新明和工業の社員でした。この新明和工業という会社ですが、戦前は「川西航空機」という名で二式大艇(二式飛行艇)や紫電改などの傑作機を開発しています。戦後も数々の飛行艇を作り、自衛隊に納入しています。
そんな会社から土佐氏の父は独立し、「明和電機」という会社を設立します。これは新明和工業の分社……というわけではまったくないようで、土佐氏曰く「勝手に名前を拝借した」そうな。一時期は100人ほどの従業員を抱えていた明和電機ですが、オイルショックのあおりを受けて倒産してしまいます。
一方、打楽器大好き少年だった土佐氏はロックの一大潮流であるニュー・ウェイヴの影響を受けます。この時代、電子計算機が電卓として小型化したのと同様にシンセサイザーも小さくなっていきます。ヤマハやローランドが手軽なサイズのシンセサイザーを次々に発売し、音楽に大革命をもたらしました。
「魚打棒(なうちぼう)」と呪術性
筑波大学に進学した土佐氏は、音楽と並行して電子工作に打ち込みます。卒業制作に選んだのが、何と「妊婦のロボット」。我々凡人にはいささか突飛な話ですが、とにかく土佐氏は「妊婦のロボット」を制作しました。
しかし、これが一時期のスランプを呼び込むきっかけとなってしまいます。
「私は生命を作りたかったのに、“生命のハリボテ”を作ってしまいました」
そのスランプを経て、大学院進学後に作ったのが「魚器(なき)シリーズ」。その第1弾は「魚打棒(なうちぼう)」という、魚を撲殺するための棒でした。
「大阪の民泊に行った時、“ネイティブアメリカンが魚を殴って殺すための棒”というものがありました。それには表面に魚の顔が描かれています。歯を剥き出しにした、非常におどろおどろしい顔です。これにはピーンと来ました。本来であれば、魚の顔を描く必要はありません。ですが、“命を締める”行為に対する弔いの意図があったのでしょう」
土佐氏はこの魚の顔を「呪術性」と形容しました。
「不安定」を楽しむ
さて、話はオタマトーンに戻ります。
オタマトーンには「顔」がついています。この顔は明和電機が2004年に制作した「チワワ笛」がきっかけになっていますが、製品に「呪術性」という概念がちゃんと存在することにも注目。「顔」があるからこそオタマトーンは大衆に広く受け入れられた、と言っても過言ではないはずです。
2003年制作の「SEAMOONS」は、人間の声帯や肺、唇を人工的に再現したロボットのような装置です。モーター駆動でフイゴに風を送ってゴム製の人工声帯を鳴らす仕組みですが、これはコントロールが難しくて音がズレてしまうということが多々起こってしまいます。
ですが、この不安定さを人間に当てはめればどうでしょうか? 音のズレとその修正をリアルタイムで繰り返すのはまさに「コブシ」や「ビブラート」そのもの。つまり、「不安定な音」は決して悪い要素ではないというわけです。
オタマトーンは、当初ギターのようなフレットが装着されていました。しかし、きっちり演奏するのではなく敢えて不安定さを加味するためにフレットを省きます。
オタマトーンは人生で最も大事なことを教えてくれる!
土佐氏の話を聞きながら、筆者は目をつぶってあることを思い出していました。それは、中学生の頃に散々お世話になったとあるジャズミュージシャンのAさんのことです。
一時期はAさんのボーヤ(バンドボーイ)になろうかと本気で考えていた筆者ですが、毎回のようにAさんの演奏を聞いているうちに「同じ曲、同じライブハウスでもAさんの気分次第で弾き方や曲調が大きく違う」ということに気がつきました。その理由は、本当に「気分次第」。Aさんに言わせれば「日毎に弾き方が違うのは当然だろ。野暮なことは聞くな」とのことでした。
この当時は冒頭に書いた通り日本は不景気の真っ只中で、上司の言うことを1mmのズレなくきっちりやらないとリストラされると言われていた時代。そんな中、己の気まぐれで毎回の曲調を変えてしまうという発想は決して良くは思われていませんでした。
ですが、人生はどうなるか分からないもの。「不安定」を拒まず、むしろ己の身体に装着する発想が魅力的な作品や製品を生み出し、また多くの人の心を掴んでいます。
可愛らしい顔のオタマトーンには、人生で最も大事な要素が詰まっています。
インサイド 澤田 真一
https://news.yahoo.co.jp/articles/9551a6a2a385aab7e7af8d3b4326f293427adbb8

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