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<社会時評>おごれる政治 差別の放置 さらなる暴力招く 安田菜津紀

2024-01-10 | アイヌ民族関連

会員限定記事

北海道新聞2024年1月9日 10:21

 「盛者必衰」「おごれる人も久しからず」――学生時代に習った『平家物語』の「祇園精舎」の一節がふと脳裏をよぎった。政治資金パーティーをめぐり、自民党最大派閥「安倍派」を中心に、「裏金」を受けとった疑惑が次々と報道されている最中のことだ。その「疑惑」を向けられた政治家らは皆、口をそろえて「捜査に影響を与えるから説明できない」という趣旨の言葉ではぐらかすが、そうした議員が、捜査後にまともな説明をしたことがあっただろうか。

 4千万円超のキックバックを受け取った疑惑が指摘される、谷川弥一衆院議員(長崎3区)は、説明を求めるメディアの前で、「事実関係を慎重に調査・確認をして、適切に対応してまいりたい」と型通りのコメントを読み上げた後、居丈高に「これ以上言いません」と開き直った。あげく質問を続ける記者に「頭悪いね」と言い放つ始末だ。ちなみに谷川議員といえば2016年、カジノ法案審議中の質問で、「時間が余ったから」と突然、般若心経を唱えはじめたことで物議を醸した過去がある。

 ただ、こうした分かりやすい「おごれる人」のみに気を取られるべきではないだろう。「捜査に影響が」等、何ら合理性のない建前を取り繕い、「お答えを差し控える」と繰り返すこと自体がそもそも不誠実極まりない。

 「政治倫理綱領」をご存じだろうか。1976年、旅客機の受注をめぐる世界的規模の汚職事件、「ロッキード事件」が発覚し、その後も政治家の「カネ」と「倫理」が問われる事件が相次いだ。政治倫理の基本理念を示した「政治倫理綱領」は、85年の国会法改正に伴い、衆参で議決をされたものだ。そこには「みずから真摯(しんし)な態度をもつて疑惑を解明し、その責任を明らかにするよう努めなければならない」とある。「お答えを差し控える」を連発している議員らは、果たしてこの綱領に目を通したことがあるのだろうか。

 生前の安倍晋三元首相は、不祥事が続いた際に「膿(うみ)を出し切る」と繰り返してきたが、それを今こそスローガン倒れに終わらせず、実行に移すべきではないだろうか。そしてそれは、「裏金」疑惑を向けられた議員にとどまらないだろう。

 性的マイノリティーに対する差別発言や寄稿など、数々の言動の問題が指摘されてきた杉田水脈衆院議員を、岸田文雄首相は2022年、総務政務官に起用した。こうした人物を政権の要職に起用することは、「差別問題など考慮するに値しない」という負のメッセージとして社会に伝わっただろう。

 そして昨年、杉田氏の過去の投稿が、札幌・大阪両法務局から人権侵犯と認定された。2016年に開催された国連女性差別撤廃委員会の後、杉田氏は自身のブログなどに、「チマ・チョゴリやアイヌの民族衣装のコスプレおばさんまで登場」「同じ空気を吸っているだけでも気分が悪くなる」などと投稿していた。

 ちなみに杉田議員も安倍派だ。札幌法務局での人権侵犯認定が報じられた後、塩谷立座長は「しっかりその内容を受け止めて、今後の政治活動の参考にしてもらいたい」とコメントするにとどめている。これでは実質、「お咎(とが)めなし」だろう。杉田氏はその後も、反省のそぶりはない。こうして「おごれる人」であり続けているのは、自民党としての責任が大きいだろう。

 差別の放置は、さらなる暴力を招く。パレスチナ・ガザ地区では凄惨(せいさん)な殺戮(さつりく)が続いてきたが、イスラエルの高官や政治家らから、敵を「人間動物」等の非人間化する言動が相次いできている。とりわけ公権力者の言葉の影響は大きく、その扇動効果は計り知れないものがある。

 繰り返される杉田氏の差別発言に、・・・・・・

(やすだ・なつき=フォトジャーナリスト)

https://www.hokkaido-np.co.jp/article/960809/


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第4回 アトツギ甲子園地方大会出場者が決定しました

2024-01-10 | アイヌ民族関連

経済産業省北海道経済産業局2024年1月9日

 中小企業庁では、後継者によるチャレンジを後押しすることを目的に、早期の事業承継の実現と地域経済の活性化を図るためのピッチイベント「アトツギ甲子園」を実施しています。
 このたび、全国5ブロック(北海道・東北、関東・中部、近畿、中国・四国、九州・沖縄)で開催される地方大会に進む出場者68名が決定し、北海道からは6名の後継者が北海道・東北ブロック大会に出場します。
 また、地方大会、決勝大会の一般観覧を募集しています。
 あわせて、特設ウェブサイトにおいて、いいねを押して応援する後継者応援合戦を開催しています。

道内出場者(順不同)

山﨑 太地 氏 (有)山﨑ワイナリー[三笠市] 提案テーマ:ボトルに詰めるのは地域の未来。みんなで造る。みんなのワイン。

ボトルに詰めるのは地域の未来。みんなで造る、みんなのワイン。(特設ウェブサイト)

髙橋 龍太 氏 髙橋農林[芽室町] 提案テーマ:農業界に外部の知を!現場×デジタル改善支援 レガシーな世界での生産性改革を目指して

農業界に外部の知を!現場×デジタル改善支援!レガシーな世界での生産性革命を目指して。(特設ウェブサイト)

北川 佳祐 氏 (株)きたがわ[室蘭市] 提案テーマ:「ワインを楽しむ人生」をお取り寄せ ワイン初心者に向けたブランドSymn

北海道からワインを楽しむ人生をお届け(特設ウェブサイト)

村本 賢亮 氏 (株)壺屋総本店[旭川市] 提案テーマ:北海道の魅力を世界へ発信!!老舗郷土菓子メーカーを熱狂で巻き込む新たなお菓子の物語

旭川発!!北海道の魅力をチョコ×デザインで発信!RAMS CHOCOLATEの新たなチャレンジ(特設ウェブサイト)

齋藤 祐毅 氏 (株)大和商会[岩見沢市] 提案テーマ:コワーキングカフェ+副業博物館 小さな一歩を踏み出す手助けを

コワーキングカフェ+副業博物館 小さな一歩を踏み出す手助けを(特設ウェブサイト)

水野 里紗 氏 (株)水野染工場[旭川市] 提案テーマ:明治40年創業 水野染工場が美瑛町にて、アイヌ文化を復活再現

藍染でアイヌ文化を復活再現(特設ウェブサイト)

第4回「アトツギ甲子園」の地方大会出場者が決定しました(中小企業庁のウェブサイト)

(別紙5)北海道・東北ブロック出場者一覧(チラシ版)(PDF形式)

大会スケジュール

<北海道・東北ブロック地方大会>

【日時】

2024年2月22日(木) 13:00~17:30

【場所】

トラストシティ カンファレンス・仙台

(宮城県仙台市青葉区一番町1-9-1 仙台トラストタワー5階)

<決勝大会>

【日程】

2024年3月8日(金)

【場所】

品川ザ・グランドホール

(東京都港区港南2-16-4 品川グランドセントラルタワー3階)

申込方法

 一般観覧は事前申込制となっています。現地、オンライン参加ともに以下のウェブサイトより申込みください。

第4回「アトツギ甲子園」エントリー/推薦/関連イベント 申し込みフォーム一覧(特設ウェブサイト)

後継者応援合戦

 以下のウェブサイトより、いいねを押して応援できます。

アトツギ甲子園 特設ウェブサイト

問い合わせ先

第4回「アトツギ甲子園」運営事務局

E-mail:info@atotsugi-koshien.go.jp

参考

第4回「アトツギ甲子園」の地方大会出場者が決定しました(中小企業庁のウェブサイト)

第4回「アトツギ甲子園」を開催します(経済産業省のウェブサイト)

北のアトツギコミュニティ(Facebook)

https://www.hkd.meti.go.jp/hokik/20240109/index.htm


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マンガ『ゴールデンカムイ』の全話無料公開が1月31日まで実施中。日露戦争を生き抜いた“不死身”の男とアイヌの少女が埋蔵金を求めて大冒険を繰り広げる物語が丸ごと楽しめる

2024-01-10 | アイヌ民族関連

電ファミコンゲーマー2024年1月9日 18:00

集英社の運営するアプリ「ヤンジャン!」において、マンガ『ゴールデンカムイ』の全話無料公開キャンペーンが期間限定で実施されている。期間は1月1日(月)から1月31日(水)まで。

『ゴールデンカムイ』は日本の漫画家・野田サトル氏が執筆し2014年から2022年にかけて連載された作品である。作中では、日露戦争で活躍し「不死身の杉本」と評される主人公・杉元佐一(すぎもと さいち)がアイヌの少女アシリパ(リは小文字)とともに、網走監獄の死刑囚が隠したとされるアイヌの埋蔵金を求めて大冒険を繰り広げる。

人間や野生動物が繰り広げる激しい戦闘シーンや個性的なキャラクターたちが織りなす群像劇的なストーリー展開などさまざまな点で評価され、2023年8月時点でコミックスの累計発行部数は2500万部を突破している。2018年にテレビアニメ化された。

今回実施された無料公開では、本作の第1話「不死身の杉元」から最終話「大団円」までの全314話を丸ごと楽しむことができる。

発表によると、今回の無料公開は1月19日(金)に実写映画版『ゴールデンカムイ』の公開が始まるほか、原作者の野田氏が手掛ける最新作『ドッグスレッド』の1巻も発売されることを記念して実施されているとのことなので、興味のある方はこれらの作品もチェックしてみてもいいかもしれない。

https://news.denfaminicogamer.jp/news/240109v


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道内外の高校生がモニターツアー ウポポイ 探究型教育旅行を検証

2024-01-10 | アイヌ民族関連

苫小牧民報2024/1/9配信

 徳島県立脇町高、芝浦工大付属中高(東京)、札幌日大高の3校の1、2年生と引率ら計21人が6日、白老町の民族共生象徴空間(ウポポイ)を訪れ、博物館見学やアイヌ語学習、口承文芸の体験などを行った。冬季(12~3月)の高校生向け探究型教育旅行の…

この続き:328文字

ここから先の閲覧は有料です。

https://www.tomamin.co.jp/article/news/main/127432/


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浅田政志、やんツーらが参加「やんばるアートフェスティバル 2023-2024」1月20日より開催

2024-01-10 | ウチナー・沖縄

ぴあ1/9(火) 11:31配信

メイン会場

沖縄本島北部の山原(やんばる)地域で繰り広げられる「やんばるアートフェスティバル」が、1月20日(土)~2月25日(日)に開催される。

【全ての画像】「やんばるアートフェスティバル 2023-2024」広報用画像(全4枚)

沖縄島の始まりの地であり、水源地でもある山原(やんばる)。「やんばるアートフェスティバル」は、美しい自然と豊かな文化を誇るこの地を新たなアートの源にしようと2017年にスタートし、今回で7年目を迎える。総合ディレクターを仲程長治が務め、現代アートとクラフトを共存。クラフト部門では沖縄の工芸品が購入できる「YAF CRAFT MARKET」も開催される。

現代アートでは、メイン会場となる大宜味村立旧塩屋小学校で、「北/南」と題して、北海道から進藤冬華、地元沖縄から伊波リンダを紹介。自身の祖母をはじめ、北海道やサハリンなどで年配女性に手仕事を教わりながらアイヌや開拓の歴史などをリサーチしてきた進藤は、布を用いた作品を展示。伊波は、沖縄本島北部が撮影地となる写真シリーズ「Nowhere」で空間を構成する。また、写真家浅田政志は、やんばるの人々15人と、これまでに撮った膨大な写真から1枚だけ大切な写真を選んで展示するプロジェクトを展開する。

2019年に閉園となった「大宜味村喜如嘉保育所」では、金サジが、戦時中に失うも戦後に復興し国の重要無形文化財となった芭蕉布をリサーチし、人々の記憶を未来へと紡ぐ。また、オクマプライベートビーチ&リゾートでは、永井英男が、オクマビーチへの着地に失敗してガジュマルの木に引っかかった架空のスーパーヒーローの大型彫刻を出現させる。

さらに、八重山の創作や美術工芸を紐解くユニット「五風十雨」は、上勢頭亨が半世紀以上かけて蒐集した文物を収蔵する竹富島「喜宝院蒐集館」の資料を展示。日本列島本土および沖縄本島の西端に位置する八重山固有の文化に触れることができる。他に大小島真木、やんツーら多彩なアーティストが参加。多面的な沖縄を楽しむ旅に出たい。

<開催概要>

「やんばるアートフェスティバル 2023-2024」

会期:2024年1月20日(土)~ 2月25日(日)

メイン会場:大宜味村立旧塩屋小学校

時間:11:00~17:00

休館日:火水

https://news.yahoo.co.jp/articles/c74ffe07769a949c266c10026250feee3274640d


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【クイズ】この駅名、なんて読む?「吉里吉里駅」 -愛称「鳴き砂の浜」として知られる駅

2024-01-10 | アイヌ民族関連

マイナビニュース2024年1月9日(火)6時0分 

電車の乗り換え検索をしていて「読み方が分からない!」、毎日通勤で通り過ぎているけど「読み方が怪しい……」――あなたにはそんな駅名がありませんか? 難読駅名のクイズにチャレンジしましょう。

この駅名の読み方は?

岩手県上閉伊郡大槌町にある、三陸鉄道リアス線の駅「吉里吉里駅」の読み方は? 「き」から始まる駅名です。

正解は次のページで――

正解は……

「吉里吉里駅」の読み方は「きりきりえき」

「吉里吉里駅」は「きりきりえき」と読みます。

「吉里吉里駅」の近くには砂浜が美しい「吉里吉里海岸」があります。「吉里吉里」の地名は、「キリキリ」がアイヌ語で「白い砂浜」を意味するからとも、砂浜を歩くとキリキリと鳴るからともいわれています。

井上ひさしの小説「吉里吉里人」を通して、全国的にその名が知られるようになりました。

次回の難読駅名クイズもお楽しみに!

https://news.biglobe.ne.jp/trend/0109/mnn_240109_8038130078.html


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「イスラエルの戦争」を煽るばかりで本当にいいのか…岸田首相が追従する「アメリカの論理」の問題点

2024-01-10 | アイヌ民族関連

プレジデント1/9 9:17 配信

日米首脳会談、日米韓首脳会談の後の共同記者会見で握手する岸田文雄首相(右)とバイデン大統領(アメリカ・ワシントン近郊のキャンプデービッド山荘) - 写真=EPA/時事通信フォト

ロシア・ウクライナ戦争に続き、イスラエル・ハマス戦争の被害が深刻化している。評論家の八幡和郎さんは「岸田政権は、ロシアやハマスを一方的に『悪』とするアメリカに無批判に追従している。しかしアメリカの『正義の戦争』がこれまでに多くの悲劇を生んできたことを忘れてはいけない」という――。
■米民主党政権に追従する岸田首相
 岸田政権は、首脳会談やサミットなどでのふるまいは安定しているものの、ウクライナやパレスチナ問題で、米国の硬直的な外交姿勢に追従しているのはよろしくない。増税や政治とカネといった内政問題に注目が集まり、岸田外交には建設的な批判がなされていないように思う。
 2024年は米国大統領選挙の年だ。トランプ大統領の時代には大規模な戦争は起きず、安倍外交は世界秩序の守護神的な評価を獲得し、日本の国益もよく守られていた。
 ところが、2020年に新型コロナ禍が世界を席巻し、2021年にアフガニスタンから米軍などが撤退、2022年にロシアによるウクライナ侵攻、2023年にはパレスチナ自治区ガザ地区で紛争が勃発し、バイデン政権はその場しのぎの外交で悲劇を拡大させている。
 それを止められない岸田政権にも落胆するが、所属派閥の宏池会は米国民主党にもともと近いから予想の範囲ともいえる。
■アメリカの論理は決して万能ではない
 しかし、安倍元首相の主体的な外交手腕を支持してきた保守派に、「岸田政権はアメリカ支持が足らない」と批判している人が多いのは不可解だ。彼らは、WGIP(War Guilt Information Program=日本人に戦争贖罪(しょくざい)意識を植え込む戦略)から日本人は脱却すべきと言ってきたのにおかしな話だ。
 いまこそ、米国の論理が万能でないことを警告するとともに、先の戦争について、米国の硬直的な姿勢にも問題があったことを想起させ、一方的に批判されてきた日本が一定の名誉回復をするチャンスであるにもかかわらず、だ。
 中道リベラルの人々が無批判なのもおかしい。欧米以外の多く国は、ロシアに対する強硬策一辺倒に疑問をもっているし、日本にとって隣国ロシアとの関係が悪化することは平和への危機に直結する。また、イスラエルの暴虐に対して積極的な抗議をしているのは、米国のことなら何でも気に入らない過激な左派ばかりだ。
 今回は、米国外交のどこが間違っているのか、日本はどう対処すべきかを論じたいと思う。

■イスラエル首相はハマスと戦前の日本を同一視
 世界は2年近く続くロシア・ウクライナ戦争にうんざりしているし、民間人を巻き添えにガザへの軍事侵攻を続けるイスラエルに批判的だ。一方、米国は「先に攻撃したロシアやハマスは殲滅されても仕方ない」という立場を崩さない。
 これは、満州事変や真珠湾攻撃がけしからんとして、日本に無理難題を要求して戦争終結を遅らせたうえ、広島と長崎に原爆を落とし、ソ連の参戦を促し、占領下で憲法まで変えさせたのと重なる。
 イスラエルのネタニヤフ首相も「米国が第2次世界大戦の真珠湾攻撃の後で停戦に応じなかったのと同様に、ハマスの奇襲攻撃を受けたイスラエルが戦闘停止に応じることはない」「ハマスに乗っ取られたパレスチナのより良い生活を望むなら、ハマスを破壊せよ。第2次世界大戦中の日本やドイツのように、有害な政権を排除しなければならない」と発言している。
 安倍元首相は再登板時に、「戦後レジームの見直し」を唱えていたため、欧米は第2次世界大戦戦勝国がよってたつ歴史観に敵対する「歴史修正主義」ではないかと危惧した。しかし安倍元首相は、日清・日露戦争まで否定されたくない、日本が一方的に悪かったのではない、アメリカも原爆や戦後処理など行きすぎもあったと考える一方、歴史修正主義という批判を避けたいという意識を健全に持っていた。
 また、インドを価値観同盟の仲間に入れることを提案し、プーチン大統領と信頼関係を築いただけでなく、イラン訪問や米国抜きのTPP発足、EUとの経済連携協定(EPA)などを実現した。
■ロシアやハマスは全面的に「悪」なのか
 安倍元首相であれば現在の状況でもう少し柔軟な外交を展開しただろうが、岸田外交は、アメリカに対して独自性を示さず、気前のいいATM的存在になってしまっている。
 しかし、「ロシアやハマスは悪」として、ウクライナとイスラエルを支持する米国の論理を鵜呑みにしていいのだろうか。
 〈「パレスチナとイスラエル、結局どっちが悪いの?」日本人が答えを出しにくい“世界の難問”を考える〉で整理したように、パレスチナの望ましい未来は、イスラエルがパレスチナの人々の権利を侵害したことを認め、その被害を償う意思を明確にしたうえで、パレスチナ人に有利な形で二国家共存体制を構築することしかない。
 欧米人は長くユダヤ人を迫害し、ナチスによるホロコーストを防げなかった贖罪感から、パレスチナの人々の正当な権利を軽視しすぎだ。2000年前にユダヤ人の国があったからといって、勝手に建国することが正当なはずがない。

■イスラエルの黒歴史が許されることはない
 ユダヤ人による入植は平和裡でなかったし、イスラエル建国はテロの結果でもある。一方、国連決議でイスラエル国家の存在は認められたし、オスロ合意でパレスチナも二国家共存を容認したのだから、イスラエルの自衛権は否定できない。
 ただ、現状が肯定されても、過去の黒歴史が許されるわけでない。欧州系の人々が、北米やオーストラリアにいることや、彼らの国家が存立することは合法だが、そのことが、先住民に対する暴虐の過去を許すものではないのと同じだ。
 ハマスのテロは、容認されないが、反撃は被害に見合った規模と国際法で許された手段に限られるべきだ。イスラエルがそれ以上の軍事作戦を展開しているようであれば、国際社会は毅然(きぜん)として批判しなくてはいけない。
■欧米はロシアの未来像を持ち合わせてない
 ロシアのウクライナ侵攻は国際法違反だが、2004年のオレンジ革命では選挙で選ばれた親露政権転覆を米国が支援したし、ウクライナにNATOやEU加盟の夢をちらつかせて混乱を煽ったのも戦争の原因だ。法的にはロシアが悪いが、真珠湾攻撃したから日本がすべて悪かったという日本人にとって不愉快な歴史観と同じ理屈だ。
 欧米がロシア周辺地域でいかなる国際秩序を目指しているのか理解しがたい。この地域で、地元勢力と西欧勢力が結んでロシアと対立する十字軍的試みは、800年も繰り返されてきた。ロシアはNATOやEUから排除するが、ほぼ同じ民族のウクライナは入れるというのは理不尽だし、核保有国のロシアを解体することは世界の安定を危機にさらす。
 アメリカが支援するイスラエルやウクライナが、民主主義を体現しているかも疑わしい。イスラエルはアラブ系住民を差別し、ウクライナはロシア語話者を不利に扱ってきた。ネタニヤフ政権は司法の独立を否定しようとして厳しい反発を受けており、ウクライナは世界で最も汚職が横行し、腐敗している国の一つだ。
 パレスチナの2006年総選挙で勝利したのはイスラム原理主義組織ハマスだったのに、欧米やイスラエルがファタハ(パレスチナ解放機構の主流派政党)を支持して政権に居座らせている。

■日露関係が悪化する大きすぎるリスク
 プーチンは、一応まともな選挙で選ばれ国民に支持されているし、ソ連解体のときには、ウクライナのほうが一人あたりのGDPが多かったのに、現在ではロシアの3分の1と逆転した。5200万人いたウクライナの人口は約30年間で4100万人に減り、今回の戦争で数百万人が逃げ出した。もしEUに加盟したとしたら半分も残るか疑わしい。
 ソ連とロシアを同一視して、第2次世界大戦で不可侵条約を侵犯したとか、北方領土を不法占拠したというが、スターリンはジョージア人、北方領土問題の主役だったフルシチョフはウクライナ共産党のトップ出身、ブレジネフはウクライナ生まれでドニエプル川流域の軍事産業を基盤としていた。シベリア抑留はウクライナでも行われたし、北方領土の多数派住民はウクライナ系だ。
 ウクライナは、中国に空母を売り、北朝鮮にミサイル技術を輸出した疑惑が報道されるなど(在日大使館は疑惑を否定)、日本に友好的とはいえなかったし、2023年のG7広島サミットではゼレンスキー大統領が原爆の悲劇をウクライナの現状と同等だと矮小(わいしょう)化した。
 一方、日本にとってロシアは隣国だ。経済協力の可能性、北方領土交渉、漁業、アイヌ、対北朝鮮・韓国・中国でロシアが相手方についたときの面倒を考えると、ロシアとの関係悪化がもたらすマイナスは計り知れない。
■軍事侵攻を機に、大飢饉が「大虐殺」に
 ウクライナやイスラエルの主張には、日本が困るものも多い。近代国家は同系統の民族を統一していくことで発展してきた。ウクライナは、ロシア革命前に独立国であったことがない。ロシアとの縁切りが唯一の正義なら、独立国だった沖縄はどうなるのか。無条件に欧米の論理に与することは、中国の沖縄への干渉を正当化しかねない。
 ウクライナ開戦後に歴史認識が変更されたことも問題だ。1930年代にソ連の一員だったウクライナでは「ホロドモール」という大飢饉(ききん)が起き、数百万人が餓死した。その原因は農業政策の混乱だった。
 このホロドモールについて、ロシア南部やカザフスタンでも同様に犠牲者が出ていることなどから、これまでは欧米でもウクライナ人へのジェノサイド(大量虐殺)とするのは適当でないと考えられてきたにもかかわらず、ロシアの軍事侵攻を機に、欧米の一部でジェノサイドと認定されるようになった。これは、戦前の日本が悪意でやったわけでないことまで批判された経緯とよく似ていている。

■アメリカの行為を日本が肯定する必要はない
 たしかに日本軍が真珠湾攻撃を行ったことは事実であるから、それについて妙な弁解をしないほうがいいだろう。ルーズベルト米大統領が攻撃を事前に知っていたとしても理由にならない。日中戦争についても同様だ。中国側にも批判されるべきことは多いが、相対的には日本が悪い。
 しかし、原爆を落とし、東京大空襲のような無差別攻撃をし、ソ連に不可侵条約を反故にさせただけでなく、戦後は根本的な体制変革を強制し、自分たちの国際法違反は棚に上げて東京裁判を押しつける米国の行為を、日本人が積極的に肯定する必要はない。
 米国は、相手が降伏しない限り、自分たちの何十倍もの死者が相手方に出ても平気で戦争を続ける。太平洋戦争における日本の軍人・軍属民の死者は約230万人で米国は10万人、イラク戦争でも米軍死者の100倍の犠牲を出した。イスラエルもテロで死んだ自国民の何十倍ものパレスチナ人を殺している。
■アメリカの「正義」の戦争で混乱が広まった
 「正義」を掲げた戦争によって、かえって混乱が広まっても結果論で片付ける。日本との和平条件をつり上げたことの結果が、南北朝鮮の分断であり、中国の共産化だったが、米国は自分の責任だと認めない。平和は維持が容易なバランスの取れた勢力均衡のもとでこそ可能なのだ。
 ウクライナに対する支援が、中国や北朝鮮の野望を挫くという人もいる。しかし、台湾や韓国の人は、アメリカや日本におだてられて、同じ民族で戦う羽目になることを恐れている。
 この1月13日には台湾総統選挙と総選挙が、4月10日には韓国の総選挙が行われる。台湾総統選挙は野党分裂にもかかわらず、対中強硬路線を続けようとする与党・民進党と中国との緊張緩和を掲げる野党・国民党が接戦を繰り広げており、議会選挙は台湾も韓国もどちらも野党優勢となっている。
 日本の保守強硬派のアジア認識は、偏っていて危うい。台湾の政治家も企業も、安全のために中国にパイプを持っていることは常識だと思うが、知らない人が多いのだろうか。

■無条件な追従も敵対も馬鹿げている
 逆に韓国は、尹錫悦大統領が対日改善に取り組んでいるのに、日本の保守派は応援しない。それどころか、松川るい参院議員のように対韓関係改善に熱心な議員は保守派から批判されて、「エッフェル塔写真」を発端にしたフランス研修問題が彼らに針小棒大に攻撃されて炎上した。
 対中国でも、やみくもに敵対しては互いに損をするだけだ。バブル崩壊後の日本経済を、輸出、安い消費財などの輸入による生活防衛、観光客によるインバウンド需要などで支えてきたのは中国との関係だ。
 外交は押したり引いたりしながら進めるもので、無条件の追従も敵対も馬鹿げている。日米同盟が外交の主軸であるから、基本的には欧米との共同歩調はやむを得ないが、ウクライナやパレスチナについては積極的に平和のために仲介の労もとるべきだろう。
■イラク戦争で米国一辺倒だった小泉外交
 しかし、日本にとってメリットがない話には、一番後ろでついて行けば十分だ。イラク戦争でブッシュ大統領(当時)の暴走を後押しした小泉首相の判断は、とりあえず日米関係を好転させてその場しのぎにはなったが、世界での評判を落としたし、愚行に協力してくれたからといって米国民に感謝されるはずもない。
 同じ立場だった英国のブレア首相(当時)はそのために歴史的評価を落としたが、日本人が小泉氏を糾弾しないのはおかしいことだ。
 岸田首相は、安倍氏がそうであったように、米国大統領から助言を求められ、影響力を与えられてこそ「外交の岸田」たりうる。
 また、与野党の政治家もマスコミも、20年後に次の世代の人々に胸を張って説明できる発言をしてほしいと思う。
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八幡 和郎(やわた・かずお)
徳島文理大学教授、評論家
1951年、滋賀県生まれ。東京大学法学部卒業。通商産業省(現経済産業省)入省。フランスの国立行政学院(ENA)留学。北西アジア課長(中国・韓国・インド担当)、大臣官房情報管理課長、国土庁長官官房参事官などを歴任後、現在、徳島文理大学教授、国士舘大学大学院客員教授を務め、作家、評論家としてテレビなどでも活躍中。著著に『令和太閤記 寧々の戦国日記』(ワニブックス、八幡衣代と共著)、『日本史が面白くなる47都道府県県庁所在地誕生の謎』(光文社知恵の森文庫)、『日本の総理大臣大全』(プレジデント社)、『日本の政治「解体新書」 世襲・反日・宗教・利権、与野党のアキレス腱』(小学館新書)など。
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プレジデントオンライン

https://finance.yahoo.co.jp/news/detail/953199f1d9abd7a95c0501986492abbdbbe1fd22


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第81回「ゴールデングローブ賞」授賞式 米「WWD」がベストドレッサーに選んだのは?

2024-01-10 | 先住民族関連

WWD1/9

第81回「ゴールデングローブ賞」授賞式が1月7日(現地時間)、カリフォルニア州のビバリーヒルズで開催された。「モエ・エ・シャンドン(MOET & CHANDON)」が公式シャンパーニュを務め、「ノブ(NOBU)」による和食と共に、約3000人のゲストの特別なひと時を彩った。

ドラマ部門では、作品賞を「オッペンハイマー」、主演女優賞をリリー・グラッドストーン(Lily Gladstone /「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」)、主演男優賞をキリアン・マーフィー(Cillian Murphy/「オッペンハイマー」)が獲得した。コメディ・ミュージカル部門では、作品賞を「哀れなるものたち」、主演女優賞をエマ・ストーン(Emma Stone/「哀れなるものたち」)、主演男優賞をポール・ジアマッティ(Paul Giamatti/「The Holdovers(原題)」)が獲得した。助演女優賞をダヴァイン・ジョイ・ランドルフ(Da'Vine Joy Randolph/「The Holdovers(原題)」)、助演男優賞をロバート・ダウニー・ジュニア(Robert Downey Jr. /「オッペンハイマー」)が受賞した。また、監督賞をクリストファー・ノーラン(Christopher Nolan/「オッペンハイマー」)、脚本賞をアルチュール・アラリ(Arthur Harari/「落下の解剖学」)、作曲賞をルドウィグ・ゴランソン(Ludwig Goransson/「オッペンハイマー」)が受賞。そして、主題歌賞を「What Was I Made For?」(「バービー」挿入歌)、非英語映画賞を「落下の解剖学」、長編アニメーション映画賞を「君たちはどう生きるか」、興行成績賞を「バービー」が獲得した。

米「WWD」は初のスタイルアワードを実施し、会場でひときわ目立ったセレブリティーから「ベスト新人賞」「ベストビューティー賞」「ベストメンズウエア賞」「ベストジュエリー賞」「ベストシューズ賞」「最も大胆なスタイル賞」「ベストドレッサー賞」「アイコニック賞」の8部門を選出した。

WWDスタイルアワード受賞者

「ベスト新人賞」
リリー・グラッドストーン

リリー・グラッドストーン GOLDEN GLOBES ©︎ FAIRCHILD PUBLISHING, LLC

ドラマ部門主演女優賞を受賞したリリー・グラッドストーンは、先住民族カルチャーとヨーロッパカルチャーをミックス。「ヴァレンティノ(VALENTINO)」のドレスとブラックコートを着用した。アクセサリーは「ブルガリ(BVLGARI)」のダイアモンドネックレスと、ビーズアーティストのレニーズ・オメアスー(Lenise Omeasoo)による「アンテロープ ウィメン デザイン(ANTELOPE WOMEN DESIGN)」のイヤリング。

「ベストビューティ賞」
エリザベス・デビッキ

エリザベス・デビッキ(Elizabeth Debicki)は、“ノーメイク”メイクで登場。なびかせたヘアが「ディオール(DIOR)」のメッシュメタルドレスにマッチした。

「ベストメンズウエア賞」
コールマン・ドミンゴ

コールマン・ドミンゴ(Colman Domingo)は、ファレル・ウィリアムス(Pharrell Williams)による「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」のミリタリージャケットとフレアパンツ、ブローチを着用し、新たなロックテイストを披露した。

「ベストジュエリー賞」
アリアナ・グリーンブラット

アリアナ・グリーンブラット(Ariana Greenblatt)は、「サンローラン(SAINT LAURENT)」のタキシードを着用し、「ショパール(CHOPARD)」のダイヤモンドジュエリーをたっぷりと飾った。「全ての指にダイヤモンドをつけたい」とコメント。

「ベストシューズ賞」
ナターシャ・リオン

ナターシャ・リオン(Natasha Lyonne)は「スキャパレリ(SCHIAPARELLI)」のブーツを合わせた。デザイナーのダニエル・ローズベリー(Daniel Reseberry)とメゾンのルーツであるシュールレアリスムを賞賛。

「最も大胆なスタイル賞」
ビリー・アイリッシュ

「What Was I Made For?」が主題歌賞を獲得したミュージシャンのビリー・アイリッシュ(Billie Eilish)は、ニューヨークを拠点とするメンズブランド「ウィリー・チャバリア(WILLY CHAVARRIA)」に身を包んだ。オーバーサイズのスラウチを穿きこなし、ヘアメイクで近未来的に仕上げた。

「ベストドレッサー賞」
ナタリー・ポートマン

ナタリー・ポートマン(Natalie Portman)は、手縫いの刺しゅうが施された「ディオール」のオートクチュールガウンで登場した。

「アイコニック賞」
メリル・ストリープ

メリル・ストリープ(Meryl Streep)は、「ヴァレンティノ」のスパンコールスカートスーツとホワイトボウタイブラウスをまとった。映画「プラダを着た悪魔」でメリルが演じたミランダを思わせるスタイル。

https://www.wwdjapan.com/articles/1718944


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歴史的快挙! リリー・グラッドストーン、先住民女性として初めてゴールデン・グローブ賞主演女優賞を受賞

2024-01-10 | 先住民族関連

BAZAAR2024/01/09

マーティン・スコセッシ監督の『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』で主演女優賞を獲得

BY BIANCA BETANCOURT公開日:

RICH POLK/GOLDEN GLOBES 2024//GETTY IMAGES

俳優のリリー・グラッドストーンが第81回ゴールデン・グローブ賞ドラマ部門で、先住民女性として初めて主演女優賞を受賞するという歴史的快挙を成し遂げた。

マーティン・スコセッシ監督の『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』でモリー・バークハート役を演じたリリーは、受賞が発表されるとスタンディングオベーションを受けながら登壇。

モンタナ州のブラックフット族の言語であるシクシカ(Siksiká)を使って、スピーチを始めた。自分たちの部族やアメリカ全土にある他の先住民の文化に感謝し、ハリウッドでもようやく先住民の表現が見られるようになったという内容だった。

これはxの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。

「流ちょうではありませんが、ほんの少しだけでも自分の言語を使って、ここで話すことができることにとても感謝しています。なぜなら、昔は先住民の俳優は英語で話し、サウンドミキサーが逆に回して先住民の言語にしていたからです。これは私だけの受賞ではなく、歴史的勝利です。私の美しい姉妹たちみんなとともに受賞したのです」と述べた。

また、スコセッシ監督と共演のレオナルド・ディカプリオが、先住民のストーリーを理解し、広く伝えてくれたことにも感謝。

「ありがとう、マーティ(マーティン・スコセッシ)。ありがとう、レオ。あなたたちが状況を変えてくれた。仲間になってくれてありがとう」と述べていた。

Translation: Mitsuko Kanno From Harper's BAZAAR.com

https://www.harpersbazaar.com/jp/culture/culture-news/a46321580/lily-gladstone-wins-best-actress-golden-globes-2024-240109-lift1/


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オーストラリアで受け継がれる薬用植物

2024-01-10 | 先住民族関連

DLonline2024/01/10

 昨年9月、オーストラリアのパースとメルボルンへ行ってきました。パースでは、西オーストラリア州固有の植物が集められている市内の植物園で、「ワイルドフラワーフェスティバル」が開催されており、参加してきました。

ログインして全文を読む

https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/di/column/misako/202401/582633.html


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解説:なぜ台湾は世界にとって重要なのか?

2024-01-10 | 先住民族関連

SWI2024/01/09 09:00

台湾総統選に世界が注目する。民主的プロセスに注目しているというよりも、中国の非友好的な振る舞いが注目される理由だ。

1月13日、約2千万人の台湾人が、新しい総統と議会を選出する。過去30年間、台湾は反共軍事独裁政権から模範的な民主主義政権へと変貌した。世界第16位の貿易大国(スイスは20位)には平和と繁栄が君臨している。

中国の圧力にさらされる台湾の将来は、地政学的に非常に重要な意味を持つ。だが、それはなぜなのか。台湾に何ができるのか。そして、西側諸国にとって台湾はどのようなイデオロギー的意義を持つのか。

swissinfo.chはチューリヒ大学の中国学者シモーナ・グラノ氏、米ジョンズ・ホプキンス大学の政治学者ホー・フォン・フン氏に話を聞いた。台湾情勢にまつわる重要な疑問を解説する。

なぜ台湾が世界にとって重要なのか?

TSMC―― この4文字が、重要な理由の1つを示している。これは新竹市に本社を置く 「Taiwan Semiconductor Manufacturing Company(台湾積体電路製造) 」の略称だ。ここで世界の半導体の大部分が生産されている。スマートフォンやノートパソコン、自動車、冷蔵庫、テレビ、デジタル兵器システムに搭載されているマイクロチップは、半導体がなければ動作しない。

チューリヒ大学のシモーナ・グラノ氏は「さらに、グローバル・サプライチェーンと海上貿易ルートの中心にあるという地理的立地も1つだ」と話す。台湾の現状維持が「世界の安定」にとって極めて重要なのはこのためだという。

なぜ中国は台湾を自国の一部だと考えるのか

中国政府の敵対的な態度は、1949年まで続いた国共内戦にさかのぼる。当時、毛沢東率いる共産党は蒋介石の国民党を打ち破った。敗戦後、蒋介石は200万人以上の中国人とともに台湾に逃れた。台湾はそれまでポルトガル、オランダ、そして最後は日本の植民地支配を受けていた。蒋介石の中国国民党は40年間、独裁政権として台湾を統治し、中国全土の領有権を主張した。1987年に最初の野党が公認されて以来、台湾は民主主義のロールモデルとして発展してきた。

 「歴史上、台湾が1949年に建国された中華人民共和国の一部であったことは一度もない」と、米ジョンズ・ホプキンス大学教授のホー・フォン・フン氏はswissinfo.chに語る。

しかし、中国政府は「台湾は逆賊の省」であり、「必要ならば武力で祖国と統一しなければならない」という立場だ。これは習近平国家主席が2024年の新年の辞でも強調している。

中国の拒否権により、台湾は現在、国連の加盟国ではない。中国は自国政策の一環として、台湾の独立を承認した国とは外交関係を結ばない。このため台湾を公式に承認している国は現在、グアテマラ、ハイチ、バチカン市国を含む12カ国にとどまる。

スイスも台湾を正式に承認していない。「スイスは一つの中国政策に倣う。スイスは台湾を独立国家として承認しない」とスイス連邦外務省は述べている。

小さな台湾が中国に対抗するためにできることは何か?

観念上、台湾には切り札がある。「イデオロギー的には台湾は重要だ。西洋の価値観や民主主義は中国の文化や土着の価値観とは相容れない、という中国の主張と矛盾するからだ」とグラノ氏は説明する。ホー・フォン・フン氏によれば、こうした実績が、今日の台湾のコンセンサスとなっている。「中国に対する政治的態度は異なるものの、今日の台湾国内政治における最も重要なプレーヤーは、1つの問題で一致している。誰もが、近年勝ち取ってきた人権と独立した民主主義社会を守り抜くことを望んでいる」

しかし圧倒的な軍事力に直面したとき、社会のまとまりは何を達成できるのだろうか?事態がエスカレートした場合、台湾がはるかに大きな隣国に対抗できる措置をほとんど持たないことは明らかだ。とはいえ、政府は中国が攻撃を仕掛けた場合の対抗措置を増やすために多くのことを行っている。例えば、2024年1月1日から兵役義務が4カ月から12カ月に引き上げられた。米国も台湾に軍事支援している。台湾政府はまた、ロシアのウクライナに対する侵略戦争を背景に、議会や政府への非公式チャンネルを強化している。

台湾の選挙はどうなる?

台湾はいかにして民主主義の模範となったのか?

グラノ氏は、台湾を「権威主義的な一党支配から、権威主義的な後退なしに活力ある民主主義への移行に成功した国の類まれなる例」と表現する。

移行は平和的だった。1996年の最初の自由選挙以来、3回の政権交代があった。選挙が政治的変化をもたらすかどうか、選挙に負けた政府が権力を放棄するかどうかは、民主主義が機能しているかどうかを測るリトマス試験紙と考えられている。2019年、台湾はアジアで初めて同性婚を導入した。グラノ氏にとってはっきりしているのは、「アジアにおいて、台湾は多様性、人権、市民的自由が尊重される最もリベラルで自由な国の1つ」ということだ。

国際的な認知を求める戦いは、人権と民主主義の面で模範を示そうとする台湾の政治勢力の原動力となっている。ホー・フォン・フン氏によれば、台湾社会におけるこうした願いは、香港で権威主義的な動きが強まる中で大きくなってきた。同氏は「中国政府が約束した、2つの異なる制度を持つ1つの国というものには何の価値もない」ことを示していると話す。このような脅威的な状況ではあるが、台湾の独立という未来には楽観的な見方だ。

なぜスイスが台湾にとって重要なのか?

グラノ氏は多くの類似点があるという。「台湾と同様、スイスも小国・民主主義国家であり、市民の自由が強く尊重されている。スイスにとって、民主主義を世界に広めることは憲法で定められた使命だ」。このことは、国民の直接民主的権利に関するスイスと台湾の活発なやりとりを見ても明らかだ。これがきっかけで台湾は2003年に直接民主制を導入し、その後何度か改革を行っている。

とりわけ、国民発議や国民票決(レファレンダム)の署名のハードルが大幅に引き下げられたことで、近年、食の安全、原子力発電、民主主義の組織化といったテーマで国民投票が多数行われた。「スイスは直接民主制という点で、明らかに台湾の参考になる」とフン氏は話す。 

台湾におけるスイスのプレゼンスは?

台湾は、スイスにとってアジアで5番目の重要貿易相手国だ。クラウディア・フォンタナ・トビアセン駐台スイス代表によると、両国の貿易額は「2010年以来、ほぼ倍増している」。現在、台湾には「120以上のスイス企業」が進出し、その中には鉄道車両メーカーのシュタドラーレールも含まれる。シュタドラーレールは最近、港湾都市・高雄にある地下鉄道の大型案件を受注した。

スイスは中国の拒否権により台湾を「独立国家」として承認していないため、外交関係は台北の「スイス産業貿易事務所」とベルンの「台北文化経済代表処」が台湾側を担当する。両代表部はそれぞれの外務省に報告し、キャリアを積んだ外交官が責任者を務める。

歴史的にも、スイスのベツレヘム宣教会のカトリック宣教師や専門家は、職業訓練、医療、台湾の16の先住民族の少数民族保護など、過去70年にわたって台湾の発展に貢献してきた。

編集:Benjamin von Wyl、独語からの翻訳:宇田薫

https://www.swissinfo.ch/jpn/politics/解説-なぜ台湾は世界にとって重要なのか-/49109482


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北極圏の先住民、イヌイット伝統の手作りゴーグルが一周回って近未来感

2024-01-10 | 先住民族関連

カラパイア2024年01月09日 

image credit:"An inuit wearing snow goggles"Julian Idrobo.CC BY

 どことなく近未来感があって、タイムトラベラーのように感じられるのは、男性の目を覆うアイテムのせいだろう。なんならM78星雲界隈からやってきて、なんなら変身すらできそうな気配

 でも実はこれ北極圏で暮らす先住民族、イヌイットが手作りした目を保護するためのゴーグルなのだ。

 一面の銀世界といえばロマンチックだが、晴天の日にどこもかしこも真っ白なツンドラを移動するのはまぶしくって仕方がない。そこで彼らは木や動物の角や骨などを加工してこのアイテムを開発した。

 古くから利用されている伝統的な手作りゴーグルは、シンプルながら強烈な雪の照り返しから彼らの目を守ってくれるという。

古くから北極圏で暮らす人々に伝わる伝統の手作りゴーグル

 ひときわ目を引く粋なゴーグルをつけた男性。だが彼は最先端ファッションアイテムとして身に着けているわけではない。彼はツンドラを横断するのに必要なアイテムを装着しているだけだ。

 北極圏で暮らす先住民族として知られるイヌイットやユピクなどの人々は、雪原を移動する際にこのように素朴で効果的なゴーグルで目を保護するのだ。

材料は北極圏で入手できるものだけ

 これらのゴーグルは、北極圏で手に入るいろんな素材でできている。

 最もよく使われる素材は流木や動物の骨、セイウチの牙、トナカイのツノなどだが、海岸の草で作られたものも見つかっている。

 このゴーグルは着用する人の顔にしっかりフィットするように削られている。鼻に当たる部分をつないだメガネタイプもあるが、一体型のものは裏側に深い溝が彫られている。

 見ての通り耳に掛けるつるなどは無く、セイウチの皮やトナカイの腱で作った細めのバンドで固定する。

イヌイットのスノーゴーグルと木製ケース

雪の照り返しを軽減する手作りのアイデアグッズ

 むしろ視界を遮って不便そうに見えるデザインだが、このゴーグルは横長の水平な切り込みが、目に入る光の量を減らすため、太陽の反射による雪のまぶしさを抑える効果がある。

 なお、こうしたゴーグルはたいてい着用者自身が手作りするため、デザインも形もサイズもバラバラだという。

 一面が雪氷に覆われる北極圏を生き抜く人々。彼らの大切な目を守り続けるゴーグルは、その暮らしに根差したハンドメイドの品なのだ。

https://karapaia.com/archives/52328503.html


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ニュージーランドとフィジーにおいてグリーン水素の製造・輸送・利活用に関する実証事業を開始

2024-01-10 | 先住民族関連

大林組2024年 01月 09日

株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:蓮輪賢治)は、ニュージーランド(以下、NZ)の大林グループHalcyon Power Limited(以下、ハルシオンパワー)およびフィジー共和国(以下、フィジー)のエネルギー供給事業者Fiji Gas Pte Limited(以下、フィジーガス)と共同で、NZおよびフィジーにおけるグリーン水素の製造・輸送・利活用に関する実証事業を開始します。本実証事業は、環境省が公募した「令和4年度二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(二国間クレジット制度資金支援事業のうち水素製造・利活用第三国連携事業)」として採択されたものです。

本実証事業では、(1)ハルシオンパワーがNZのタウポに保有する水素製造プラントで地熱発電由来の電気によりグリーン水素を製造し、(2)その水素をオークランド港からフィジーのラウトカ港まで海上輸送します。そして、(3)その水素を使い、フィジーガスのLPG貯蔵施設に据え付けられた水素とディーゼルの混焼発電機で発電し、同施設内電力として利活用します。

大林組は、実証事業の代表事業者としてプロジェクト全体の統括やフィジーでの現地調査、グリーン水素の海上輸送、フィジーガスの水素混焼発電機導入のサポートなどを行います。一方、共同事業者のハルシオンパワーはグリーン水素の製造と供給(タウポ・オークランド間の陸送)を、フィジーガスは実証期間中の混焼発電機の運転・維持管理を行います。

【実証のイメージ】

NZでは系統電力の約86%(2023年現在)を水力や地熱を中心とする再生可能エネルギーで賄っており、2030年までにその比率を100%とする目標を掲げています。さらに、2050年までのカーボンニュートラル実現を目標としており、水素はその実現のための重要な手段の一つと位置付けられています。

大林組は、NZにおける再生可能エネルギーの将来性に早くから着目し、2018年に先住民マオリをオーナーとする土地信託組織であるTuaropaki Trustと共にハルシオンパワーを設立して、地熱発電由来の電力を用いるグリーン水素製造プラントを建設しました。そして、NZでのグリーン水素サプライチェーンの構築に取り組み、NZ最大都市であるオークランドにて、燃料電池バス・燃料電池車に水素を供給する事業を行っています。

一方、グリーン水素の利活用先であるフィジーは、2036年までに発電における再生可能エネルギー比率を100%まで引き上げる目標を掲げており、太平洋島しょ国の一国として、地球温暖化による海面上昇の影響を強く懸念し、再生可能エネルギーの導入に積極的に取り組んでいます。このため、水素への関心も高く、同国の政府船団を水素燃料船に置き換えることを2021年のCOP26(開催地:グラスゴー)で発表しています。大林組は、本実証事業を通じて、フィジーにおける再生可能エネルギー利活用の現況と政策動向を調査し、同国における再生可能エネルギー事業と水素普及の可能性を検討していきます。

大林組は、国内外でのグリーン水素のサプライチェーン構築を推進することで、社会的課題であるカーボンニュートラル社会の実現に貢献していきます。

ハルシオンパワーの概要

会社名

Halcyon Power Limited(大林組とTuaropaki Trustの合弁会社)

 

 

設立

2018年

 

 

所在地

ニュージーランド・タウポ市

 

 

事業内容

地熱発電由来グリーン水素製造

 

 

Webサイト

https://www.halcyonpower.nz/

 

 

フィジーガスの概要

会社名

Fiji Gas Pte Limited

 

 

設立

1956年

 

 

所在地

フィジー共和国レワ州スバ市

 

 

事業内容

商業用・産業用・家庭用LPG、およびLPG関連製品(ボンベ、LPG発電機・LPGエアコンなど)の販売

 

 

Webサイト

https://www.fijigas.com.fj/

 

 

以上

この件に関するお問い合わせ先
大林組 コーポレート・コミュニケーション室広報課
お問い合わせフォーム

プレスリリースに記載している情報は、発表時のものです。

https://www.obayashi.co.jp/news/detail/news20231222_1.html


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道内外の高校生がモニターツアー ウポポイ 探究型教育旅行を検証

2024-01-10 | アイヌ民族関連

苫小牧民報2024/1/9配信

 徳島県立脇町高、芝浦工大付属中高(東京)、札幌日大高の3校の1、2年生と引率ら計21人が6日、白老町の民族共生象徴空間(ウポポイ)を訪れ、博物館見学やアイヌ語学習、口承文芸の体験などを行った。冬季(12~3月)の高校生向け探究型教育旅行の…

この続き:328文字

ここから先の閲覧は有料です。

https://www.tomamin.co.jp/article/news/main/127432/


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【ゴローズ・受け継がれしもの】- Part.5 - ゴローズ創業者「 髙橋吾郎」を知る

2024-01-10 | 先住民族関連

Eaquire2024/01/09

ネイティブ・アメリカンの文化により傾倒していた頃、無数のインディアンジュエリーを身につけたゴローさん。

米兵との交流をきっかけにレザークラフトの腕を磨く

1939年、東京・十条で生まれた髙橋吾郎(以下ゴローさん)。子どもの頃からウエスタンスタイル、特にネイティブ・アメリカンの文化に強い憧れを抱いていました。中学生のときに湘南・葉山での臨海学校に参加したゴローさんは、レザークラフトでものづくりをしていたアメリカ軍の駐屯兵と運命的な出会いを果たします。

彼からカービング(彫刻)などの技術を学び、その楽しさを知ったゴローさんは臨海学校が終わってからも彼のもとに通い詰めます。そうして2 人の交流は、駐屯兵がアメリカに帰国するまで続くことに。そして帰国の直前、ゴローさんは彼から工具を譲り受け、その後も独学で腕を磨いていくのでした。

中学を卒業したゴローさんは、その工具を使ってレザーベルトにウエスタンの花柄の彫刻を施し、学校の友人など身近な人たちにつくっていました。そうして手がけたベルトを、上野の「中田商店」に持ち込みます。当時の社長である中田忠夫氏はゴローさんの才能を見抜き、即座に100本のベルトをオーダーしたということ。その後もバッグをはじめとしたウエスタン小物を中田商店とつくり続け、ゴローさんはポスターやカタログなどの制作にも携わりました。

1956年、ゴローさんは東京・駒込で自身のブランド「ゴローズ」を立ち上げます。創業から1960 年代後半にかけてのゴローズの商品はカービングを施した革製品が中心で、それから徐々にオリジナルで真鍮のバックルや金具などの製作に着手するようになります。ゴローさんはやがて、南青山のキラー通りにあるセントラル青山にアトリエを構え、そこで生活をはじめるようになります。雑誌『メンズクラブ』に初めて登場したのも、ちょうどこの頃です。

ゴローさんは、なんでも自分でつくってしまう人でした。ベルトやバッグは言わずもがな、例えば鹿革のジャケットやパンツなどは、先に紹介した小誌のファッションページからも見て取れます。テーブルや椅子などの家具、そしてソファや自動車のシートを革張りにしてカービングを施すことも…。1960年代後半から70年代前半のこの時期は、赤坂の「ビブロス」「ムゲン」といったディスコで多くのファッションデザイナーやアーティストとの交流が生まれ、菊池武夫氏や同じくセントラル青山にブティックを構えていたコシノジュンコ氏からも、ゴローさんの作品は高い評価を得ていました。

そして1972年、ゴローさんは原宿に現在のショップをオープンすることになる。

日本人として初めてのネイティブ・アメリカン

初めてニューヨークに訪れた際、アリゾナ州北部の中心都市フラッグスタッフに立ち寄ったゴローさんはそこで、シルバー職人のジェッド氏に出会います。ゴローさんはそこで自作のレザーベルトやバッグを彼に渡し、コンチョ、リングなどのつくり方を学ぶことに。そうしてゴローズでは、インディアンジュエリーも扱うようになっていきます。

その後も幾度となく渡米したゴローさんは、サウスダコタ州を拠点とする米先住民族ラコタ族のリトルスカイファミリーと出会い、多くを学び、交流を深めていきました。そして1976年、ネーミングセレモニーの儀式を受けます。長時間にわたる儀式の中でゴローさんはイーグルに出会い、“東から来た鷲”を意味する「イエローイーグル」というインディアンネームを拝受します。1979年にはラコタ族の神聖な儀式「サンダンス」を受け、日本人で初めてネイティブ・アメリカンの仲間入りを果たすのでした。

神聖な儀式を経てゴローさんは、ゴローズを代表する2つのモチーフを生み出します。ひとつが言わずと知れた「フェザー」。セレモニーで使用した本物のイーグルの羽根は普段持ち歩くことができないため、シルバー製のフェザーをつくって身につけたいという思いから生まれました。

もうひとつは「イーグル」。これは「イエローイーグル」のインディアンネームをもつゴローさんが最も大切にしてきた、創作活動の根幹をなす存在です。以降、ここから派生したさまざまなアイテムが展開されていくことになります。

1980~90年代にかけて、渋カジの流行とともにゴローズの知名度は上がっていきます。当時のゴローさんはハーレーダビッドソンやインディアンなどのバイクをカスタムし、千葉の海岸で出会った愛犬「スノー」を乗せて走る姿が原宿の名物に。その頃はひとりで店を切り盛りしていました。ですが、万引きに悩まされたこともあり、お客さんを1 組ずつ順番に招き入れ、しっかり話しながら接客するというスタイルを考案します。1991年には、冬場に冷たいガードレールに座って入店を待つお客さんのことを思い、9メートルもの丸太を表参道の歩道に設置。2002年に撤去されるまで、原宿の風物となっていました。 

2000年代になるとゴローさんは店を任せて、都内のアトリエで創作活動に専念。そして2013年11月25日、74年の生涯に幕を下ろす。ゴローさんの意志は家族やスタッフ、そして多くのファンに受け継がれ、今も変わらず息づいています。

レザークラフトの技術はもはや芸術的レベルでした

1960~70年代にゴローさんが制作した革の絵。当時、猟銃を扱うお店からケースにカービングを施す依頼があり、その見本としてつくっていたのだとか。彫るのではなく、水に浸した革をたたいてつくり上げる。

https://www.esquire.com/jp/mensclub/mensclub-fashion/a46294545/goros-part5-20240106/


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