かぶれの世界(新)

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天邪鬼「格差社会」考

2006-10-08 23:27:28 | 社会・経済

再び格差社会について。年収520万円の老人の医療費負担が3割に増えたことを非難し、医療費負担増加を嘆く老人の声を流すテレビ番組を最近良く見る。本当に困っている老人は本当にお気の毒だが、この報道は問題点の全体像を見せずバランスに欠け無責任だ。

どこのテレビ番組も「70歳以上の1世帯当たりの保有資産額が最も高く30歳代が最も低い、かつその資産額の差は99年で6.7倍、2004年では何と7.3倍にまで開いている事実を伝えていない。つまり医療費負担増を問題にしている世代が日本で最も金持ち世代でもあるのだ。

フリータや派遣社員で年収が520万円の半分にも満たない若者が全て医療費3割負担しているのだ。若者にこれ以上負担を強いるべきではない。一方で我国の個人資産1500兆円のかなりの部分を保有しているのが同じ老人世代なのだ。

欧米とは異なりこの資産を抱え込んで社会に還元せず死蔵させているのが日本の老人世代の特徴だ。無駄遣いしないというのは日本の美徳だと思うが、子供に相続させるだけでは単なるケチ、これが格差を固定することにも貢献している。

私が直感的にこれはおかしいと思う理由の一つは、私の田舎の母や近所の老人達の声は医療費負担増を必ずしも悪いことだとは思っていない。又、医療費が無料時代に病院が老人のたまり場になったトラウマをまだ記憶しているからのようだ。

医療費とは異なるが田舎のタクシーの運転手さん情報によると、年金が入るとパチンコに注ぎ込む老人が沢山いるそうだ。田舎では家族と同居している老人は年金が小遣いになっている例は多い。それ自体は非難すべきことではないが、少ない給料から年金を負担している若い世代の人達が聞くと堪らない気持ちになるだろうと思う。

「弱者は腐敗する」と哲学者の言葉を以前引用したことがあるが、この報道に接すると強欲とは言わないまでもある種の「たかり」精神を私は感じる。老人世代の問題は出来るだけ老人世代で解決しようという精神が必要であり、保有している資産を同世代の問題解決に活用すべきであり、後世に負担を先送りすべきではないと考える。■

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ネチズンは民意か

2006-10-06 14:51:30 | 社会・経済

ネット調査は信頼できるか

昨日の朝日新聞の記事「ネット調査信頼できるか」(世論調査部・松田映二氏)は興味深い調査報告だった。8月の長野県知事選で、田中候補が圧倒的に有利というネット調査結果にもかかわらず落選したのがきっかけで、ネット調査が果たして世論調査として信頼できるか調べたものだ。

小泉政権登場以来高支持率が権力のバックボーンにパラダイム変換し、為政者の民意の的確な把握の重要性がこれまで以上に重要になったと感じていた。支持率は常に変動しているという視点から、「民意を測定」しながら政治を進めていくスタイルに変わると思われる。

ネット調査は田中康夫氏圧勝だった

記事のポイントは以下の通り; ネット調査の支持率は村井氏34%、田中氏66%だったが、県知事選開票結果の得票率は村井氏53%、田中氏47%となった。一方、同社がネット調査と同時に実施した郵送調査と電話調査は選挙結果を正確に予想していた。

つまり、ネット調査は有権者の一部しか代表しておらず世論とはいえない。これは揺るがせない明確で重要な結論であった。ネット調査で圧倒的に支持された意見でも世論は反対している可能性があるということだ。安易にネット調査結果を信用するなという警鐘だ。

ネット回答者は有権者を代表していない

記事は更にこの違いが何処から来たのか考察を進めている。サンプリング母体が有権者の縮図になっていない: ①ネット調査は自発的な回答に対し、郵送調査は受身である。 ②ネット回答者のピークが30代に対し、郵送回答者は70代。 ③ネット回答者の3割が政治に不満で6割が生活に不満、郵送回答者はそれぞれ2割と4割が不満を抱いていた。

総合すると平均的なネット回答者像は、教育があり政治意識が高く生活に不満を持ち、積極的に意思表示する30代ということになる。しかし有権者の中には低学歴でパソコンも無く普段政治に興味を持たない層も沢山いるのである。

それでもネット調査は意味がある

記事によるとサンプリングが有権者の縮図になっていないが、時間経過による意識変化といった相対的な傾向はかなり正確に把握できる。全ての調査結果で、選挙後村井氏の支持が増え、田中氏の支持が減る所謂事後承認の傾向を示した(小泉首相靖国参拝もそうだった)。又、来年参院選の投票については同じ傾向を示しており、将来を予測するには便利な道具になりそうだ。

専門家はこの結果に対し、ネット回答者は高学歴で政治意識が高く、不安・不満・不公平感が強い傾向を指摘し、目的を明らかにし母集団を把握してネット調査を利用していくことを示唆している。ネット調査は安価に素早く結果を出せるのでその特徴を理解した上でドンドン活用すべきだ。

ネット調査分析にIT活用を

数年前、米国で選挙結果分析にITを活用している、具体的には顧客管理(CRM)ソフトを利用していると聞いたことがある。私は今回の朝日新聞の記事を読んで分析が不十分で惜しいなと感じた。IT世界でよく使われるところの「データ・マイニング」が徹底的に足りないのだ。目の付け所は良いので、是非調査を継続してネット調査を充実させていくことを望む。

定点調査として継続してデータを蓄積し、この結果を色々な切り口で時間経過と合わせて分析すればもっと有権者の意識と変化を把握し報道にも貢献出来ると思う。穿った見方かもしれないが安倍内閣の報道官になった世耕氏はこの分野にも明るいと聞いたことがあり、メディアに先駆けてやる可能性が十分あると私は思う。

引っ掛かるところ

記事によると選挙結果を左右した選挙民の平均像は郵送回答者と一致した。だとすると、50歳以上が多数で70歳以上にピークがあった(おかしいと思うが記事からはそう読める)。完全な逆ピラミッドだ。うーん、年寄りの意見がこんなに選挙結果を左右するのか、それでは思い切った改革は難しいな、という印象を持った。

若ければいいというものではないが、2030代合わせて70代以上より選挙民が少ないというのは極めて歪な年齢構成だ。これは長野県だけでなく国政レベルでも同じだろうが。それでは若者に借金を負担させ年金改革しろという声が有力になってもおかしくない。私が覗くサイトのネチズンの意見は極端に走る傾向が強い印象がある。彼らに強い不安・不満がありそれが過激な意見に向かわせているのかもしれない。■

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米国住宅価格が暴落か(補足)

2006-10-05 10:41:25 | 国際・政治

米国住宅価格の暴落が予測されているのにダウ平均がITバブル以来の最高値をつけたのを理解できないと書き込みをした。問題提起だけしてオープン・エンドにしておく訳にもいかないので生半可な観測と承知しているが更なる理解の為とりあえず補足する。

昨日バーナンキFRB議長は住宅市場が調整局面にあり今年後半の成長率を1%押し下げる懸念があると表明した。にもかかわらず株価上昇したのは(今朝、更に大幅上昇し最高値更新)、①経済の他の分野は力強い、②FFレート(短期金利)上げの打ち止め、今後の金利下げを伺う事態になったと市場が読んだからと見られている。

このロジックは私の理解を超えている。株価上昇にはもっと具体的な潮目の変化があるように思える。先日報告した天然ガス関連の投資で大損したアマランスの例が示すように、原油価格低落が住宅市場スローダウンを打ち消す以上の大きな流れになっているように私は感じる。

ヘッジファンド等のホットマネーが資源エネルギー領域に投下され価格上昇を加速させたが、逆流すると価格低落も加速する(ビジネスウィーク)。現に最近原油だけでなく金、白金、銅価格も値を下げており、全体として投機マネーがコモディティから流出し始めた気配があり、この傾向が更に強まる可能性がある。■

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米国住宅価格が暴落か

2006-10-04 22:46:28 | 国際・政治

最近床に入って暫らくNHKの深夜放送を聞くようになった。深夜12時のニュースの後世界各地からのレポートと月曜日だけは朗読を聞いて眠りにつく。紹介される投書を聞くとNHKの深夜放送はシニア世代の絶大なる支持があるらしい。

昨晩、と言っても日付は今日だが、ロスアンゼルスから中古住宅の取引が急速に減少している、これは全米的な傾向であるとレポートするのを聞いた。今年始めまで米国景気を牽引する消費の原資が住宅市場の資産効果だっただけに心配なニュースだった。可愛い声のフジモトさんの声は妙に切迫感があった。

X 年といって毎年値打ちが下がっていく日本と異なり、米国では住宅は購入後手入れして高く売る財産形成の手段になっている。今回住宅が売れなくなったのは住宅ローン金利上昇と住宅価格が高くなりすぎ買い手がつかなくなったというもの。

しかし昨日の米国株式市場のダウ平均はITバブル崩壊後6年9ヶ月ぶりに11,727ドル34セントの最高値をつけた。原油価格下落が消費を刺激すると好感されたのが株価上昇の理由と説明されている。個人住宅市場の価格低下は景気に悪影響を与えないと見られている。

ムーディズが全米379都市の住宅価格を調査した結果、20都市の住宅価格が2桁下落(いわゆる暴落)、30都市で価格低下が始まり、70都市が間もなく値下がり、来年100以上の都市で値下がり、価格低下トレンドは2008-9年まで続く見込みと言う。その結果2007年は戦後初めて全米の平均住宅価格が低下する見込みと言う。

現在最も値下がりの大きい地域はフロリダとかネバダの中核都市で投機目的の住宅投資であると見られているが、来年平均住宅価格が下がれば資産効果が消滅し消費が弱くなるのは避けられないと私は単純に考えた。

しかし、経済アナリストは単なる住宅価格下落と見ており景気全体への影響は少ないと見ているようだ。その理由は建設業者が着工調整し適切な在庫水準に保ち、所得・雇用が順調に伸びており住宅需要は落ちないと見ている。

私が理解していないことがあるとすれば、それは米国市場の奥行きの深さだと思う。シアトルで不動産業を営む友人に聞くと当地の住宅販売は依然活発だそうだ。カリフォルニアが高過ぎると言ってお客が流れてくるという。

それで何が言いたいか?結論? 何もない。何故米国の好景気が続くのか、不安な気持ちをゲロしただけ。サンクス・ギビングからクリスマスにかけての年末商戦までには2007年がどうなるか見えてくるだろう。■

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景気は街に出て聞け

2006-10-02 11:58:51 | 社会・経済

今朝発表された9月短観は2期連続で景況感が改善され、テレビは史上最長の好景気が続く見込みと報じている。短観とは日本銀行が3ヶ月毎に実施する短期経済観測調査のことで、企業規模や業種に分けて調査し、中でも景気が良いと答えた企業の割合から悪いと答えた割合を引いた値を業況判断指数(DIDiffusion Index)と言って頻繁に景気判断の指数として引用される。

言い換えるとDIとは会社を経営している人達が景気をどう見ているか人気投票みたいなものである。今回大企業製造業のDIが前回より3ポイント増のプラス24だったのが全体の景気拡大基調をリードした。円安下で輸出とデジタル家電など国内消費が好調だったのが理由とされている。

しかし日常生活から景気を感じるのは中々難しい。会社勤めの頃はよくタクシーの運転手さんに景気を聞いた。バブル崩壊後景気がよくなったと言う話は聞かない。企業は景気が良くなっても交際費などの経費節減を続け財布の紐は堅く景気指標にはならなくなった。

そのタクシーの運転手さんに聞いたのが高速道路を走るトラックの台数が景気の目安になる。景気が良くなると物が動く、つまり輸送が活発になるということだ。深夜都心でタクシーを拾い首都高速から中央高速に乗ると続々と都心に向かうトラックとすれ違う。物が動くのは交通量の少ない夜間だ。一昨年頃からトラックが増えてきた気がする。

最も簡便な指標は新聞の折込み広告の量だ。一時に比べ広告の量が増えた、最近は特にマンションの売り込み広告が多い。先日テレビを見ていたら森永卓郎氏は街頭で配られるティッシュの数が景気の目安になるという。私の周りではパチンコ、消費者ローン、飲食店関係が多いが、多分場所によるのだろう。

田舎に行くと少なくとも一度はその街の最も賑やかな商店街を歩くことにしている。かつては繁華街を歩く人達の数だったが、今はシャッターが閉まっている店舗の数が目安とは寂しい。しかし今年の夏帰省した時改装中の店舗が多く新たな兆候を見た。今は郊外の大規模店の駐車場の込み具合だ。歩道を歩く人達は見かけないが店の中には買い物客で混雑していることが多い。

今後日本経済はGDPの約6割を占める国内消費がどのくらい頑張るか、そのためには好景気を実感できる雇用増と労働分配率の向上が鍵になる。このところ世界経済成長減速の兆しが出てきており、今まで日本経済回復を牽引してきた輸出がどうなるかも景気判断に大きく影響する。

特に米国の景気がどうなるかが決定的で、GDPの7割を占める消費者市場の動向、中でも最近冷え込んで来た個人住宅市場(新規住宅着工件数など)の行方が気になるところだ。中国の消費者市場はGDPの4割弱で、輸出依存構造の経済は変わらず、大枠では世界経済を見ておけば景気判断が出来るであろう。■

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