かぶれの世界(新)

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天邪鬼・豪雨に共通する被害

2020-07-19 18:13:08 | ニュース
日本全土を水浸しにした豪雨も一転して復旧モードに入った。テレビが中継した九州から中部地方まで甚大な被害を与えた線状降水帯の破壊力は凄かった。その中で私が気になったのは、メディアは経験したことのない豪雨と報じるが、水害を被った家の多くはハザードマップが危険地域と指定した地域に住んでいることは報じなかった。

2年前の西日本豪雨で実家のある愛媛県大洲市の新興商店街が肱川氾濫で冠水した。この時水害を受けた家の殆どは元々農地の上に建てたものだった。岡山県真備町など被災した他の地域も同じ状況だと友人から聞いた。60年前に私が子供の頃は堤防が低くダムもなく、毎年のように川が氾濫し田畑が冠水し休校になったが、そこは全て農地で誰も大騒ぎしなかった。

今は主要な河川は所々にダムを建設し、堤防を高く強化し、支流からの流れ込み口には水門が作られた。だが、このようなハードウェアの強化は最悪ケースの降雨量を仮定して実施されるので、それ以上の謂わば「想定外」降雨量があれば理論上は自動的に水害が発生することになる。私は何故マスコミがこの不都合な事実を伝え警報を流さないのか常々疑問に思っていた。

15日付の日本経済新聞の1面トップにこのような問題を指摘する記事が掲載された。「自治体の9割、浸水危険域でも住宅立地 」と題し、「国が浸水危険を警告した地域に居住する都市が9割ある、コンパクトシティ整備を優先し危険回避が後回し、浸水想定区域と住居誘導区域が重なる区域が全体の88%ある」と報じた。重大な指摘だが、私の記憶ではこの問題指摘は極めて珍しい。

ここは「危険だけど住んで下さい」と言われて住民は家を建てている。売る方(自治体と不動産屋)の問題だが、買う方(住民)も買う方だ。単純に騙されたとは言えない、その地域のハザードマップは公表されている、ちょっと調べれば分かることだ。こういう都合の悪い事実は何故かマスコミは報じない。有名人のスキャンダルに食いついて執拗に報じるのと対照的だ。

今回大きな被害を受けた熊本県の球磨川流域も多くは浸水想定流域と重なるという。報じられた映像を見る限り中流の人吉市は川の両側に山が迫り、盆地というよりむしろ峡谷に近く豪雨で激流が流れると人が住めるような土地は残されてないように見えた。昔から何度も氾濫に見舞われた地域だというのになぜ経験が生かされなかったのか。私の子供の時の経験のように年中行事だったのか。

何故かマスコミを含め官民ともに住宅建築となると動きが鈍い。我が国の人口は減っているのにいまだに新築住宅は増えているという。運用も含めた治水対策は重要だが限界がある。不動産物件に浸水想定区域(土砂崩れなど他の危険地域も含め)か明示する義務付けは必須、まずは危険地域に住まないことだ。800万戸になるという中古住宅の活用を推進すべきだと私は思う。■
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