かぶれの世界(新)

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周回遅れの読書録15(2)

2015-03-08 10:52:03 | 本と雑誌
今回のお勧めは(特に個人投資家にピンポイントで)、「敗者のゲーム」(Cエリス)で証券会社の宣伝に惑わされることなく長期投資計画を立て、目先の上げ下げにその場凌ぎの方針変更をせず運用を続けよと説く。最大のリスクは相場の暴落ではなく恐怖で投げ売りし損失を確定すること、売りは常に最悪というのは新鮮。私にも身に覚えがあり、個人投資家に是非とも一読を勧めたい。

「経済財政戦記」を読むと第2次安倍内閣になっても同じことを繰り返している、「日銀デフレ大不況」は過去の日銀金融政策がデフレを深刻にし、現在の黒田日銀総裁の異次元金融緩和を予感させるもので興味深い。

(2.0)2 経済財政戦記 官邸主導小泉から安倍へ 2007 日本経済新聞 小泉政権の最後の年から安倍政権まで経済財政政策決定プロセスの詳細を追ったもの。竹中氏主導の諮問会議から郵政民営化後に与党を関与させるやり方に変え、第1次安倍内閣初期の手さぐりの政策決定プロセスまで。首相の立場の強さと意向で官僚・政府・与党・民間議員まで役割が流動的になる様子を描いている。同じ争点が今も議論され方向性が確立していないのにいささか呆れる。

(2.0+)2 「日銀デフレ」大不況 若田部昌澄 2010 講談社 失われた20年の原因は日銀の無為無策であり、唯一の解はインフレ目標(2%)設定と量的緩和であると歴史を遡り主張する。現在のアベノミクスに先立って金融政策を提案するものだが、黒田日銀総裁の異次元の量的緩和程の大規模なものではない。量的緩和が具体的にどの程度の規模でどう実行されるべきか、あるべき姿は本書についての議論が無いのは残念。

(2.5)L 敗者のゲーム Cエリス 2011 日本経済新聞 個人投資家(アマチア投資家)の為の真面目な入門書である。アクティブ投資の勝率(市場平均より高い運用成績)は手数料等を加味するとたった15%で、個人投資家はデータに基づいて敗者のゲーム(インデックス或いはETFに投資)を勧める。専門家の意見(宣伝)を全て無視し長期投資方針を貫き通せという。

(*.*)L 天保悪党伝 1992 藤沢周平 角川文庫 河内山宗俊を始めとする6悪人の歌舞伎ネタの登場人物を、藤沢流の哀愁を加味して個々の悪党の姿を描き直したもの。気分転換になった。

今回初めて東野圭吾の小説を読んだ。私は若い頃から自分の好みに合う作家を決めると、その人の作品ばかりを読む傾向がある。学生時代の漱石から始まって、社会人になってから大岡昇平、松本清張、新田次郎、司馬遼太郎、藤沢周平などと読み尽してきた。固いNFものばかりを読んで飽きてくると、時々寄り道をして好みの作家探しを兼ねて興味あるベストセラー本を読んだ。

東野圭吾のことは良く知らない、と言うか名前しか知らなかった。彼の作品が映画やテレビドラマ化されたり、海外でも人気があると聞いたことがある程度。地域の図書館で文庫本の帯書きを見て時間潰しに読んで見ることにした。ジャケ買いみたいなもんだ。

今回はコメディタッチの「しのぶセンセ」の探偵ごっこ2冊と、殺人犯の兄を持った青年が押し流されながらも家族を作り必死で生きていく姿を描いた社会派タッチの不朽の名作「手紙」(帯書きによれば!)を読んでみた。著者の守備範囲が広いことがこの3冊を読んだだけでも分かった。「手紙」は深刻で辛い内容だが読んでてどうしようもなく重いとは感じなかった。もう少し読んでみよう。

(*.*)L 浪花少年探偵団 1991 東野圭吾 講談社文庫 
(*.*)L しのぶセンセにサヨナラ 1996 東野圭吾 講談社文庫
(*.*)L 手紙 2006 東野圭吾 文春文庫 

凡例:
 (0):読む価値なし (1)読んで益は無い (2):読んで損は無い
 (3):お勧め、得るもの多い  (4):名著です  (5):人生観が変わった 
 0.5:中間の評価、例えば1.5は<暇なら読んだら良い>と<読んで損はない>の中間
 -/+:数値で表した評価より「やや低い」、又は「やや高い」評価です。

 2: 古本屋で手に入れた本
 L: 図書館で借りた本
 新: 「定価」で買った本
コメント
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