かぶれの世界(新)

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二枚舌の世界

2015-03-15 22:33:55 | 国際・政治
大抵のことでは驚かない私も、中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)に英国が参加表明したというニュースには驚いた。報道によれば英国は日米独など主要7か国への事前根回しはなかったらしいく、AIIB参加表明にG7当局は仰天したという(日本経済新聞)。

中国はかつてIMF、WTOや先進国から相手にされないならず者の独裁政権を支援し、不透明な外交をして顰蹙(ひんしゅく)をかったことがある。又、国内の少数民族を強権的にも欧米各国は批判的だった。特に英国は北京五輪の頃に少数民族の人権問題を取り上げ、ダライラマを支援し中国が強く反発した経緯がある。しかし、今回キャメロン首相は優先順位を変えようと決断した。たとえ米国等同盟国の反発を受けても自国の為になると。

後から考えれば、英国の国是(建前?)のはずの人権とか自由とかに最近口を閉ざしていた。最近の皇室外交(ウィリアム王子の訪中)も両国の関係改善が狙いの一つだったのだろうか。兆候があったのだ。英国は建前とは別にプラグマティズム(実利主義)の国なのだ。英国の変わり身の早さは驚きには当たらない。世界に先駆けて一早く元の取引を立ち上げ、ロンドン市場の優位を保ちたい、今回そういう姿勢が見え見えだ。

本音は中国のお金を取り込む、別名「国益」という美しい名前で。国益と言えば総てが説明され国民は納得する。英国だけではない。欧州危機でも建前を譲らないドイツも中国の市場に取り入る為には、欧州がよって立つ理想像にも目を瞑った。英国ほど露骨でないにしても国益という名の下では大抵は説明できる。日米だってやや複雑な損得計算をしているが本音は同じだと思う。米国が実利をとって中国に付くのを恐れる論調は事あるごとに出て来る。

建前と実利のどちらをとるか、議論するだけ無駄かもしれない。世界の国々は例外なく二枚舌を持っておりその時々において使い分けているのだ。個人レベルでは信念を持ち思い悩むが、国のレベルになれば二枚舌が横行する。今日の日本経済新聞によれば米国が広島長崎に投下した原爆が米国の歴史のトゲにになっているという。戦後70年のテーマは決して日本だけではない。

原爆投下がトゲになっていること自体が米国の個人の良心だと私は思う。政府レベルでの公式見解は原爆投下は妥当であり、これからも変わることはないと思う。だが米国かぶれと自称する私でも、35万人もの民間人を惨殺した原爆投下に正当な理由などないと確信する。米国政府も他国がやれば非難したに違いないと思う。それに対し我が国が必要に米国を非難しないのを良しとしたい。これも謂わば二枚舌だ。

私は国家の二枚舌は避けられないと思う。建前を大事にし、事あることに正しかったか問いかけることは是としたい。だが、その為に他国を利する必要はないと思う。世界は二枚舌であり総ての為政者は国益の為だけに(国民の支持を得る為だけに)働いているのだ。悲観的に過ぎるだろうか。■
コメント
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