筋金入りのサッカーファンとしてもう一言付け加えたい。W杯が始まる前から日本のスポーツ・メディアは本田の不調を伝えていた。しかし、いざ大会が始まったら私の目には本田のみ合格だった。1得点1アシストと総ての得点に絡み相手ゴールを脅かした。私の目にもコンディションが最高では無かったと思うが、それを乗り越え合格点の活躍をしたのは彼のみだった。
コートジボアール戦では日本唯一のゴールを豪快に決め、ギリシャ戦ではFIFAは両チームで最高に活躍した選手(MOM)に選び、コロンビア戦では唯一の得点を正確なパスでアシストした。近くで見ていたら分かるようなコンディションに問題があったのかもしれないが、試合を見て「ホンダの不調」と言い募る理由が私には理解できない。
何か偏見(或いは理解の欠如)があったように感じる。一方で決定的なチャンスを外して勝てるチャンスを逃す原因になった大久保のチームを批判するような発言が好意的に報じられた。私の理解では、絶好のシュートチャンスを外して申し訳なかった、位のコメントがあってもいいはずなのに。大久保は私の好きなタイプの選手なのだが、彼の真意は別にあったのかもしれないと思う。常識的には1点も入れられなかったFWの責任逃れ発言に聞こえる。
これ等の報道にはメディアが意図して選択的に利用したかもしれないと感じる。私の見方は損得計算などしない海外メディアの選手評価に近いのではないかと思う。FIFAは本田をMOMに選び、イタリアメディアは本田を高く評価する一方で大久保を最低評価した、明らかに日本メディアと違う評価が違う。日本の一般紙にもその傾向がある。日本メディアとの差は何なのだろうか。
点を取ることが他の何よりも圧倒的に重要だと言う世界の常識が日本のスポーツメディアに理解されていないと思う。私にはいまだに勘違いがあるように感じる。美しいパスでも個人技でもない。点を取ることだ。それと裏返しで点を取られないことでもあるのだが。勿論、全員サッカーとか色々な戦術はある。だが、何しろ点を取ることだ。
日本サッカーの予選敗退は、現実を見つめた予想ができず、選手の評価すらできなかった、スポーツメディアの敗北でもあったと認識すべきだ。25日のインタビューで本田は最後まで調子が上がらなかったと聞かれてザッケローニ監督は即座に否定した。質問は日本の常識、答えは世界の常識。ここに日本の常識(スポーツメディア)は世界の非常識が典型的に表れた瞬間だった。■